第7話: 冒険者ギルドへの登録
レンは、冒険者ギルドの前に立ち、改めてその巨大な石造りの建物を見上げた。アルヴァナの街の中でひと際目立つこの建物は、冒険者たちの集う中心的な場所であり、レンにとって新しい人生の始まりとなる場所だ。緊張と興奮が入り混じる感情の中、レンは一歩踏み出し、ギルドの重厚な扉を押し開けた。
扉を開けると、広大なホールが目の前に広がり、賑やかな雰囲気が一気に押し寄せてきた。無数の冒険者がカウンターに並び、依頼掲示板の前で議論したり、仲間同士で談笑したりしている。壁には数えきれないほどの依頼書が貼られており、それぞれが冒険者たちの手を待っている。
「ここが……冒険者ギルドか」
レンは、ギルド内の熱気に圧倒されながらも、ゆっくりと歩を進めた。中央には大きなカウンターがあり、その背後には数名のスタッフが忙しく冒険者たちの対応をしている。レンはカウンターへと向かい、自分も冒険者としての登録を行う必要があることを思い出し、意を決してカウンターに近づいた。
「ようこそ、冒険者ギルドへ」
カウンターの受付にいた女性が、レンに笑顔で声をかけてきた。彼女は柔らかい笑みを浮かべ、親しみやすい雰囲気を持っている。
「今日はどのようなご用件でしょうか?」
「冒険者として登録したいんです」
レンがそう告げると、女性は手際よく書類を取り出し、レンに手渡した。
「かしこまりました。では、こちらの書類に必要事項をご記入ください」
レンは手渡された用紙に名前や簡単なプロフィールを書き込みながら、彼の胸は少しずつ高鳴っていた。この紙に自分の名前を書き込むことで、正式に冒険者としての人生が始まる。彼は用紙にペンを走らせながら、ユニークスキル「無限成長」についても軽く触れた。
書類を書き終えると、それを受付の女性に手渡した。彼女は書類を確認しながら、冒険者ギルドのシステムについて詳しく説明を始めた。
「冒険者ギルドでは、冒険者ランクというシステムを導入しています。すべての冒険者は最初、6級からスタートします。そして、依頼をこなし、実績を積み上げることでランクが上がります。依頼を受けるたびにポイントが加算され、一定のポイントに達すると昇格試験を受ける資格が与えられます」
「なるほど、6級からか……」
レンはその説明を聞きながら、自分が最下級から始めることを認識した。だが、彼には「無限成長」のスキルがある。このスキルがあれば、どんな困難も乗り越えて上位ランクに進んでいけると確信していた。
「ランクは6級から1級まであり、1級になると一部の特別な依頼やダンジョンに挑戦できるようになります。そして、最上位のランクである『特級』は、限られた冒険者にのみ与えられる特別な称号です。特級になれば、古代ダンジョンに挑戦することが許されます」
「特級……そして古代ダンジョンか」
レンは、その言葉に興味を抱いた。古代ダンジョン――それはエルトリア全土にわずかしか存在しない、伝説的なダンジョンである。古代文明の遺物や強力なモンスターが眠ると言われ、その攻略は最も優れた冒険者だけが挑むことを許される。
「古代ダンジョンは各大陸に一つずつ存在しており、特級冒険者のみが挑戦できる場所です。そこには、古代の力が秘められた遺物やモンスターが存在し、多くの冒険者が命を賭けてその攻略を目指しています」
レンは、その話を聞きながら、自分の最終的な目標が見えてきた。まだ先の話だが、いつか自分も特級冒険者となり、古代ダンジョンの攻略に挑む日が来るだろう。だが、今はまず自分にできることから始める必要がある。
「ダンジョンについても少しお話ししますね」
受付の女性はさらに続けた。
「この世界には大小さまざまなダンジョンが存在し、冒険者はそれを探索してモンスターを討伐したり、希少なアイテムを発掘したりします。ダンジョンはランクごとに分類されており、6級冒険者は6級のダンジョンから挑戦できます。各ランクのダンジョンを攻略し、そのダンジョンを踏破することで、冒険者ランクも昇格します」
「ダンジョンを攻略することで、ランクも上がるんですね」
レンはその仕組みに感心しながら頷いた。ダンジョン探索はただモンスターを討伐するだけでなく、冒険者としての実力を証明する場でもある。そして、各ランクのダンジョンを攻略していくことで、自然と冒険者としてのランクも上がっていくのだ。
「まずは6級のダンジョンに挑戦し、経験を積んでくださいね。そして、ランクを上げていくことで、より難易度の高いダンジョンに挑戦できるようになります。無理をせず、自分のペースで進めていくことが大切です」
レンはその説明をしっかりと頭に刻みながら、ギルドカードを手に取った。カードには彼の名前と「6級」というランクが刻まれている。これが冒険者としての自分の証明であり、依頼を受けたり、ダンジョンに挑む際には必要なものだ。
「まずは、自分にできることから始めよう……」
レンはカードをポケットにしまい、受付の女性に感謝の意を伝えた。
「では、次に依頼掲示板から自分に合った依頼を選んでください。初心者向けの依頼は、危険度が低いものが多いですが、最初は無理をせずコツコツとこなしていくことをお勧めします」
レンはアドバイスに従い、掲示板へと向かった。掲示板には数多くの依頼書が貼られており、それぞれに依頼内容や報酬が記載されている。討伐依頼、護衛依頼、運搬依頼、調査依頼――依頼の種類は豊富で、レンはじっくりと自分に合ったものを探し始めた。
「まずは……簡単な討伐依頼からだな」
レンは、初心者向けの討伐依頼に目を留めた。それは「ホーンラビット討伐」という依頼で、危険度は低いとされている。ホーンラビットは小さなモンスターで、初心者冒険者の訓練にぴったりの相手だ。
「よし、これにしよう」
レンはその依頼書を手に取り、再びカウンターに戻った。受付の女性は依頼書を確認し、優しく微笑んだ。
「ホーンラビット討伐ですね。最初の依頼としては良い選択だと思います。気をつけて行ってきてくださいね」
レンはギルドを後にし、アルヴァナの街の外へと向かった。ギルドカードをしっかりと握りしめ、これから始まる冒険に胸を躍らせながら、彼の冒険者としての一歩を踏み出した。
「これが俺の最初の依頼……ここからが、俺の冒険の始まりだ」
ーーーーーーーーーーー
1日1話ずつ7:00に更新していきます。
【応援のお願い】
いつもありがとうございます!
☆をいただけると大変助かります。皆さんの応援が大きな力になりますので、ぜひよろしくお願いします!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます