第6話
コンビニを3店舗巡り聞き込みをし、防犯カメラの映像を集めた。その後、警察署に戻り、事件発生が昼過ぎごろだったので、その前後の映像を先輩とYは確認した。デスクには山盛りの書類。書類の間のパソコンを先輩は食い入るように見つめている。Yはぼーっと気の抜けた表情で眺めている。映像は雨がしきりに降っているだけでごく稀に車や歩行者が映るだけであった。
「あれ?これ…」
Yの呟きに反応して、書類の山を乗り越えてYの眺める画面を覗き込んだ。
「どうした?」
「いや、この自転車乗ってるやつ友達なんですよ」
Yはじーっと目を細めてその画面を見つめている。
「まだ、なんかあんのか?」
「いや、先輩、この時間帯って犯行時刻にかなり近いですよね…」
「まじか!…とりあえず、朝方こいつの家に事情聞いてみるか。ただお前友達なのか?もしそうなら違う奴等に行ってもらうしかないな。もしかしたら捜査から外れることになるかもしれん」
先輩は重々しい口調で話した。少し間を置いてYが口を開いた。
「…まじすか」
「お前!ちょっと楽できるかもしれねぇとか思ったろ!ニヤついてんじゃねぇよ!」
真夜中にも関わらず先輩がYの肩を軽快に叩く。思わずYも先輩も笑ってしまった。
翌朝、別の捜査員が『私』の家に事情を聞き取りに行ったらしい。もちろん、そこにはもう『私』はいない。
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