第5話

 『第一発見者は被害者の娘さんか…』

 『聞き込み行ってきます』

 警察署の会議室で刑事同士が話している。会議後に雑談している。

 「先輩、自分休みなのになんでこんなことになってるんですか?」

 Yは眠たそうに会議室に入ってきて話し始めた。窓の外はすっかりと日が暮れて暗くなっていた。

 「おせぇよ!殺人だよ!殺人!Y!お前は休みの日はいつまでも寝てるんだからよぉ!」

 先輩は以前Yの教育係となった刑事である。30後半の強面でいかにも刑事といった姿だ。

 「すみません、それが生きがいでして」

 困った顔をして笑いながら答える。呆れられながら、今回先輩と2人一組になることを伝えられた。さらに先輩からは事件の概要について説明があった。被害者は高齢女性で夕方の雨上がりに、娘によって発見された。金品が奪われており、強盗殺人として捜査本部がつくられた。凶器は現場に残されているが、雨で犯人の足跡がほとんどなく、目撃情報を集めるのも厳しいらしい。

 「大変そうですね」

 Yは渋い顔をしながら、手帳のメモ見直し、ペラペラとページをめくる。

 「夜になったから近くのコンビニの防犯カメラを当たるぞ」

 「了解です」

 2人は捜査用の一般車両に乗り込み、雨上がりの暗く沈んだ水たまりを超えて街に消えていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る