第7話

今年のサンクスギビングデーは、冷え込んだ。(それまで暖かい日も多かったのが、やっと例年通りの気候に戻ったともいえるが。)

数年前までは、ダウンタウンでのパレードに参加するため早朝から外出していたことを思えば、この寒さの中ゆっくり朝寝を決め込んでいられるのはありがたい!

今年も我が家のメニューは、ターキーではなくてチキン。ターキーは大味で、家族の好みではない。

以前は、チキンとはいえ丸焼きにこだわったこともあるが、このごろは見栄えよりも時短、食べやすさ優先。一応骨付きの部位を用意して、オーブンで焼くのが2種類とフライパンでもう一種類の予定だが、各々1時間もあれば出来上がるので朝から仕込むような手間はない。

家族以外のゲストもないので、のんびりした休日の朝となった。


私の一番最初のサンクスギビングデーは、新婚旅行?を兼ねたロードトリップの最中だった。

この国に来てまだ数か月の私はともかく、すでに学生時代から暮らしていた夫が

サンクスギビングホリデーのあれこれを考えていなかったのはどうかとも思うが、

とにかく旅先でこの日に開いているレストランに出くわす幸運など滅多にあるわけもなく、もちろんファストフードのチェーンさえも軒並みクローズド。

結局どこで何を食べたんだっけ?


その翌年は日本から母が来ていた。私が10月に長女を出産したばかりで、手伝いに来てくれていたのだ。

当時の家はオーブンが使えなくて丸焼きなど到底無理だと思っていたが、

母は「塩窯で蒸し焼きにすれば?」という。

実家では塩窯蒸しなど作ってもらったこともなかったが、

母は中華鍋を使って見事な塩窯丸焼きチキンを調理してくれた。


以降、招かれて本格的なターキーをいただいたことも何度かあるが、

記憶に残る一番のサンクスギビングメニューといったら、母の塩窯チキンです。

子供たちにとってのサンクスギビングメニューは、どうなんだろう。

かわりばえのないチキンソテーでは、ちょっと申し訳ない気もするけれど。



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