第5話 宝くじ

 宝くじに当たった。

 8億7千万円。


 早速、列車でみずほ銀行の青森支店に向かう。


 店内に入ると、奥の部屋に案内された。


 高額当選者の心得を瑠々、説明される。

 以前にも、聞かされていた内容だった。

 心は早ったが、我慢をするしかない。


 

 いざ、当選金の引き渡しとなった。


 僕は異なった二つの銀行に当選金の振り込みを依頼したが、


「当行では現物支給に成っておりますので、しばらく、お待ちください」


「現金って事ですか?」


「・・・」


 今か今かとじりじりした思いで待って居ると、

 行員たちが部屋に入って来て、テーブルにドントと真新しい証券の様な物を山積みにした。


「こんな物を渡されても、僕には使い方が分からないし、持って帰るにしても~」


 行員は、


「当行では、こう云う事に成っておりますので~」


「そんな事を言われても、僕にはどう仕様もないんですけど」


「・・・」


 行員たちは黙って立って居るだけで、それ以上は応えてくれなかった。

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