第4話 初体験の彼女と
今回の話の前に、少し説明が必要だと思います。
僕の初体験は中三の時で、相手は他校の中一の女子でした。
その時から、かなりの年月が過ぎています。
時折、彼女の顔を思い浮かべようとするのですが、思うに任せず、その面影さえ思い出せませんでした。
駅前のアーケード街で初めて出会った場面、
夏休みの学校の裏門を彼女が駆け下りて来る場面、
盆踊りの会場を次から次へと自転車の後ろに彼女を乗せて回って居た場面、
薄ぐら闇の中で体を寄せ合った場面等、
克明に思い出せるのですが、
どうしても、彼女の顔がぼやけて居てハッキリとはしませんでした。
ところが、そんな僕の思いが夢の中で叶ったのです。
僕は彼女と家具の位置を移動して居ました。
部屋の模様替えです。
どう云う訳か、その部屋は道路の真ん中に在って、上を見れば空が見えて居ました。
そんな事にはお構いなく彼女は、
「ここだと、通る人に迷惑がかかるね」
二人して、テーブル等をあっちにしたり、こっちにしたりと移動させ、何とかケリが着きました。
道路の真ん中に在る部屋でしたが、人通りもないので、僕らはソファーに寝転びました。いちゃついている内に、どちらともなく怪しげな雰囲気になりました。
初体験の時と同じように僕は彼女を体に覆い被さりました。
見つめ合う二人。
彼女の顔はあの頃のままで、ハッキリと見えて居ました。
まるで、プレイバックです。
歯と歯がカツンとぶつかります。
互いの顔がニヤついています。
ほんのりと盛り上がった胸に唇を侍らすと、彼女の身体がピクッと震えます。
なにかしらの儀式の様な瞬間が訪れました。
「うっ」
と、彼女の口から小さく漏れました。
僕は別世界の扉を開いたような気がしてなりませんでした。
この夢のお陰で、前よりはハッキリと彼女の顔を思い出せるようになりました。
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