だってまだ...2
怖い夢をみた。石獣に殺される夢だ。
目が覚めた。「知らない天井だ」
「元気なようで何よりです」
服装からしておそらくナースであろう女性がにこやかな笑顔で返してきた。
「まさか1日でここまで回復するとはさすがは冒険者ですね」
自分の体を見てみると全身に包帯が巻かれ...てない。なんで?
「あの...」と声をかけようとしたら、お医者様をお呼びしますねと出ていってしまった。
広い病室に一人っきり。
突然の静寂に包まれる感覚が何秒か続いた後...
「なんで生きてるんだろう」自然と口から溢れた。
そうだ。なんで生きてるんだろう、普通死ぬはずなのに。生き残れないはずなのに。
こうして五体満足で生き残ってしまっている。
確か配信はつけっぱなしだったはずだ。スマホは、ベット横の机の上に置かれている。私はドローンの記録を確認するべくスマホにゆっくりと手を伸ばす。
すべての答えがここにある。
気がする....
*****
[このメッセージは規制されました]
[無理かな]
[これはダメだろ]
[流石にダメか、]
[みなさん!!このような可愛らしい少女が未来ある若者が、簡単に命を落としてしまう。そんな場所がダンジョンなのです。どうか私たち反ダンジョン教会と共に、全てのダンジョンコアを破壊し、この日本から、躍々は世界からダンジョンという異物を消し去ろうではありませんか]
[このメッセージは規制されました]
[このタイミングでよく来れるよな]
[人がダンジョン関連で居なくなるって時にいつも来るよな、教会も、煽り中もお前ら暇なん?]
[来れ、なくなるな]
[ダブルミーニングなの上手い]
[同接増えてきたな]
[このメッセージは規制されました]
[俺は初期からの推しだからな最後まで見届ける]
[数字は増えてるけど、増えたヤツの大多数が教会か、煽りの二択だからな〜]
[素直に喜べないの悲しい]
[万超えたか、]
[早すぎてコメ欄読めない]
ドローンが映すのは壁にたたき助けられた甘党と、鼻息を荒くし、いまにも走り出しそうな30層ボス、石獣の姿のみであった。
「止まれ」
僕がそう呟くと石獣は動きを、生命活動を、全てを止める。ヨシ、これでいいかな?
よかったね、甘党さん、僕の幼馴染に感謝するんだよ。
ま、わからないか
[え?]
[石獣が、]
[いきなり]
[倒された?]
[どういう事?]
[わからん]
僕は、人前にノコノコと顔を出すほどバカじゃ無いんだ。
あとはこの層目指して頑張ってる救助隊に任せるとして、帰るか。
********
「なにがあったの?」
私にはわからなかった、映像を何回も見たけど、いきなり石獣が倒れた。それしかわからない。
でも、これでまだ復讐が続けられる。
少女の口元には少し不気味な笑顔が浮かんでいた。
幼なじみと縁の下の力持ちやってたらなんかバズってた。 ククノ宮八一 @ankana
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