当日

「リュー! 何でその蛇まで持ってきちまったんや! キモいからどっかに捨てろ!」

「何いっとんのやツッツ、あない怖い思いさせられたんやで。あっこの〝住人〟にはきっちり御礼をくれてやらなあかんやろ」

「あっ、あーしもやるやる! つーかただの肝試しで何でここまでビビらせられんのっつー。やっぱコイツがいたのも原因やし? きっちり分からせないと、みたいな?」

「お前ら趣味わりいな――俺の車には乗せへんからな。やるならここでやっていけよ」

「あいよ~……つー訳でな、よくも俺らをビビらせてくれたな――っと」

「お~、リューの千枚通せんまいどおしやっぱガチつええ! 目ん玉一発やん」

「次、次、あーしね! このやろっ、ビビらせんじゃ、ねーよっ!!」

「あーあー、血が飛び散ってきたやんか~! どうすんのこの服おきになのに~!」

「あーあーごめんね。そんなけあーしの怒りが強かったってことでひとつ」

「つかこの石、いい感じにとがってね? ここにガツンと振り下ろしたらどお?」

「アホか彰穂あきほ、そんなん一発オダブツやろが、御礼ちゅうんはな、ねん、いり、にっ!」

「おい、そろそろいくで! ケーサツきそうやからはよせえ!」

「ノブもツッツも一発いれてけよ~」

「いんや、俺はええ。さっさとそいつ捨てろよ、いくぞ」

「ちぇっ、つまらんの~。まあしゃーないか。んじゃ……お前、災難やったな~、ちいっとはかわいそうなことしたかな~思わんでもないけれどもやな……ま、楽にしたるわ」

「おいおい、そこまでするんかリュー」

「ああ、こういうんは最後、一気に楽にしちゃるんが情けってもんや。まあ、スッキリしたしありがとな、お前。ほんじゃ――サイナラ」

「何やリュー、結局そのとがった石でトドメかよ。芸のないヤツ」

「やかましいわアホウ。ほら、さっさと行くで。サイレン聞こえてきよった」

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