魔術学院編
第11話 頭痛
「いてて…」
頭痛と喉の渇きで目が覚める。まだ、日も昇っていない。
俺が起きるときは大概…
【どうされましたか、主様】
ステラも起きている、正確には起こしたのかもしれないが。
「ステラはさ、寝なくていいの?」
蛇口からコップに水を注ぎ、口に運ぶ。
【いいえ、
「あぁ…」
あの出来事から数日、異世界の暮らしには慣れてきたが、やはり急遽いなくなったペアとジョブをそのペアに奪われてしまった仲間。
俺はここ数日…何もできなかった。
「ステラ…俺はっ…」
【なにも言わなくても大丈夫ですよ…主様はいつも頑張っています。それに、本日は重要な謁見です。もう少し寝ときましょう】
「ありがとう…けど二度寝はいいよ。それと、あれから俺のこと
するとステラは少し間を置いて、
【いずれ主様にも分かる日が来ます】
そう言い残してステラはまた消える。よくよく考えてみれば、ステラっていったい何者なんだ?あんな強い委員長に傷一つなしで勝ってしまうし、
(まあ、今はとりあえず、日が昇るのを待とう)
ーーーー
「…」
「おいおい、朝から今日はにぎやかだな、なあ佐藤?」
「お前…この状況を見てにぎやかって思うのかよ…」
数時間後…食堂、朝食の時間だが、今日はいつもと雰囲気が違う。いや、正確に言えばいつも重い雰囲気がさらに重くなっている。にしても五十嵐はほんと空気が読めない。
「なんか今日、やけに暗くないか?」
「まあそれもこれも全部謁見のせいだ。いろいろ思うところがあるやつもいるんだろ」
そうだ、今日は二度目の王との謁見だ。異世界に来てジョブを奪われてしまった仲間もいる。そういうやつらは現実世界に帰れだとか、戦うなだとかいろいろ言われるのだろう。それに…
「こないだのことの責任とか…やばいな俺たち」
「ああ。でも考えても仕方がない、今は飯を食うことだ」
今日の朝食は目玉焼きにソーセージにお好みでコーヒー、異世界に来たばかりは朝食までもが豪勢だったが、今では夜飯すら質素なものになっている。
「これが…この世界の現状ってことかっ…」
「食わないなら俺がもらうぞー」
ーーーー
一度部屋に戻り、身支度を整える。髪型は?ばっちりだ、ブレザーのネクタイは?しっかり締めた。糸くずは?ついていない。よし、完璧だ。
【主様、靴、磨いておきました】
「さんきゅーステラ!」
そして磨いてくれた靴を履き部屋をでる。
さあ、今から謁見だ。
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