第7話 討伐作戦①

 「決まりだ、が黒だ」

 「くそっ、信じたくなかったがやはりか…」


 昨日の寝る前…


 「なあ、魔術師よ。ジョブって一人に一つなんだよな」

 【左様でございます】

 「じゃあ、違う人間同士が同じジョブを持つことは…」

 【あり得ません。また、その場合は…】

 「言わなくても分かってる」

 

 委員長はあの時確かに「私のジョブは「雷」だと言った。

 しかし、ステラの話ではそれはあり得ないということ、そして、委員長がその「雷」のジョブ、つまりは水野瀬と同じジョブを持っているということは…


 (委員長が略奪者プランダー!?)


 それだけでは正直、信じがたかった。理由は委員長が略奪者プランダーなわけがないと信じたかったから、だから俺はステラに訊いた。どうすれば委員長が略奪者プランダーなのか、確かめる方法を。


 そして今日の朝方、


 【工藤様(委員長)の部屋の隣は石田様と上田様です】

 

 ステラは続ける。


 【二人のジョブは操縦者パイロット思考者ミラクラーで、操縦者パイロットは相手の思考や行動を意のままに操り、思考者ミラクラーは相手の思考を読むことができます】

 「は!つっよ、強すぎじゃんそのジョブ」

 【そして工藤様が略奪者プランダーであれば、二人のジョブは喉から手が出るほど欲しいものかと。それに、操縦者パイロットのジョブを手に入れれば、水野瀬様のように、みんなにばらされることはありません】

 「都合のいい二人が都合のいい場所にいるってことか、なるほど。でももし委員長と戦闘になったりしたら、その二つのジョブで俺が圧倒的に負けるんじゃないか…?」


 ステラは空間から魔導書を取り出す。


 【そのご心配はございません。この『魔術無効化』の魔術を使えば、一定時間、ジョブにあるすらも効かなくなります】

 「それはいいね、あいつにもかけてやるか」


 そうして今日の朝、俺の部屋で五十嵐にも魔術無効化をかける。五十嵐も、昨日は一日中、事件のアリバイなどを聞きまわっていた。そうして、なんとなくだが自力で委員長が怪しいということにたどり着いた。恐るべき捜査力。


 「まあ俺のジョブは狩猟者ハンターだからよ、五感も鋭くなって、指紋とかの証拠とかも全然わかっちゃうわけよね~」

 「自力でその答えにたどり着いたのはすげえな、でも、俺は正直あんな心優しい委員長が人を傷つけてまでジョブを奪う人間だなんて思いたくない。だから…」

 「ああ、わかった。なにがあっても、佐藤の意思を優先する」

 

 そうして、委員長と目が合う。そして…

 「おはよう、委員長」

 「おはよう、佐藤…くん」


 きっと今、俺に操縦者パイロット思考者ミラクラーの固有魔法をかけたのだろうが、魔術無効化を使っているので、一切効かなかった。そして、その証拠に、一瞬だが委員長が動じた。


 「決まりだ、が黒だ」

 「くそっ、信じたくなかったがやはりか…」


 そして、平然を装い朝食を済ませる。

 すると、斎藤がこちらに絡んでくる。


 「佐藤ーお前委員長となんかあったのかー?大丈夫か?俺に相談してみろよ」

 「何もねえよ、それよりも朝の支度をすませたほうがいいんじゃないか?」

 「ったく、五十嵐もなんか言ってやれよー」

 「あ、あぁ、えっとそうだね…」


 (委員長、分かりやすすぎるよ。そこまでしたら、もうほぼ確実に委員長が…)


ーーーー


 「佐藤くん、今日も行きましょうか」

 「うん、まあスライム討伐かなぁー」


 そして、昨日のギルマスの店に訪れ、クエストの紙をもらうと、昨日のように町をでて、草原につく。


 「さ、今日もここで…」

 「佐藤くん、ついてきて」


 そして、委員長と草原を歩きに歩いて、森へとやってくる。


 正直、委員長と二人っきりになるのは正直まずい。

 無詠唱で魔術無効化を重複してかけているものの、「雷」なども持っているため、大変危険すぎる。


 「ねえ、佐藤くん。何か私に隠してることない?」

 「さあ?なんのことかな?委員長こそ俺に隠してることない?」

 「隠していること…私が…略奪者プランダーなことくらい!?」


 委員長は来ていた制服ごと、空間から出した刀で切腹する。

 もちろんブレザーは血に染まり、そして、委員長が異空間から出した刀には緋色のエンチャントが付与される。


 「くそっ!やっぱりかよ!」

 「ええ、あはははは、私が略奪者プランダーよ!あれー?五十嵐くんはどうしたのかなぁ?あははははは!」


 そういえば、後ろからついてくるといった五十嵐が全くついてきていない…まさか!

 

 「やれ、下僕ども」


 

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