第4話 委員長と買い物デートみたいな…?
「ねえ、これ見てよ、かわいくない?」
「無駄遣いできませんからねー、買うものは食料と使えそうな武器だけって自分から言ったじゃないですか」
「もー、佐藤くんは真面目だなぁ」
冒頭からラブコメみたいになってるが、※これは異世界ラノベですって、注意書き書く必要絶対あるでしょ。
「すげー、魔法瓶とかあるんだ…」
「これが欲しいの?何々、魔力増強、瞬発力上昇、これで金貨一枚!?ぼったくりでしょ!」
「まあ俺たちがもらったの一人で銀貨十枚ですもんね。二人合わせても二十枚。絶対これは買えない…」
ちなみにこの世界には銅貨、銀貨、金貨が存在し、価値的には
銅貨一万枚=銀貨百枚=金貨一枚、というふうになっている。
一般的にこの世界の人々が一日生活するのに必要なラインが銀貨十枚といえるので、俺たちはジョブと銀貨だけを渡されて放り出されたと言える。
「一応私たちって魔王討伐するんでしょ…それなのにこの待遇って…」
「これでも結構優遇されてるほうだと思う、この町の生活を見たらすべてわかる」
ぼろぼろの洋服に、やせ細った子供。子供を売りに出したり、暴力が日常と化している。
「ひどい…」
「王都ですらこの有様だから地方はもっとひどいはず…」
スラムでもない、田舎でもない、ここは紛れもなく王都だ。そのはずなのに、なぜ人々がこんなに飢えているのか…俺はたまらなくなって道を歩いていた子供にポケットから取り出したパーフェクトバーを与える。
「ごめんな、こんなものしかやれないけど」
「ううん、おいしい!ありがとうお兄ちゃん!」
バーをおいしそうに食べる子供、そしてその匂いにつられたほかの子供がたくさんやってくる。
「ねえねえお兄ちゃん、私にもそれちょうだい」
「僕にも僕にも、おなかがすいてるんだよ」
「俺にもくれよ、ちょっとでいいからさ」
手元にあるのは銀貨二十枚、ここでこれを使ったら…いいや、そんなことなんてどうでもいい。
「わかったわかったから、委員長、この子達に銀貨全部はたいて食べ物買ってあげてもいい?」
「は!・なに言って…わかったわ…」
委員長は少しだけ頭を抱えた様子だったが、俺はその場にいた十何人かの子供に屋台のごはんを奢ってあげた。子供たちの空腹はなくなり、俺たちの銀貨もなくなった。
「じゃあね!ほんとにほんっとにありがとう!」
「お兄ちゃん!またご飯奢ってね!」
「わかった、気を付けて帰るんだぞー」
しばらくたってから委員長が屋台飯を食べながら近づいてくる。
ハフハフ言ってんじゃねえか、熱そう。
「佐藤くんは優しいのね」
「いや、こういう困っている人を見るとほっとけないというか…でも、銀貨全部使っちゃったからさすがに怒ってますか…ね?」
すると委員長は笑顔で屋台飯を俺に差し出す。
「ううん。私も佐藤くんのその心構え、見習いたい。そして、何か食べないと…銀貨足りなかったからってなにも自分だけ無理する必要ないから」
「いや、俺は大丈夫です。おなか減ってないんで…」
そして、おなかの音が鳴る。もはやお馴染み。
「いいから、食べて(圧)」
「いいや、大丈夫で…」
「食べるよね…ねえ、ねえ!(圧)」
そして委員長は屋台飯を無理やり俺の口へねじ込んできた。ん?待てよ、これさっきまで委員長が食べてたよな?口付けてたよな、間接キ…
「委員長これって間接キ…」
「言わない。しかも、こんな状況ならしょうがないわ。さあ、おなかも満たされたことだし、行きましょ!」
「おいてめえ間接キスごまかそうとしてるよなおいこら」
ーーーー
「兄ちゃん姉ちゃん、こっち寄ってけよ」
「はい?あなた誰ですか?」
見れば明らかにギルマスっぽいごつい男がそこに仁王立ちしている。
強そう(小並感)
「その顔、金がなくて困ってんだろ?いい仕事紹介してやるよ。話だけでも…」
「結構です、私たち魔王倒さないといけないので…」
「武器も資源調達してきたら作ってやるよ。仕事もそんなに怖い仕事じゃない、スライム倒すだけで金貨一枚とか」
悪い話ではない、スライムで金貨一枚か。俺は構わないが委員長は…
「乗った!早速仕事私たちに紹介して…」
「おっ!活きがいい女は嫌いじゃねえぜ!」
こうして、俺たちはギルマス(仮)の店へ入って行った。
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