第2話

ガチャッ。

私はドアノブをひねる。簡単にドアノブは回った。

「鍵、かかってなくて良かった…」


鍵がかかっていたらあの部屋で餓死にでもしていただろうな。


扉を開けると廊下のような場所が広がっていた。


「!!」

廊下に誰かが蹲っていた。

小柄で白髪、子供のようなあどけなさがある。


私は、前の部屋で入手したナイフを持ち、近づいて声をかけた。


「あの、こんにちは…?貴方は誰なの?」

その人は驚くこともなく顔を上げた。


綺麗な顔をしている。男の子のようだ。髪だけでなく、眼も白色なのか。多分、年は10歳を超えていないぐらいだろう。


「人間、か。待ちくたびれたぞ。」

「私のことを待っていたの?」

「待つも何も、ここにお前を連れてきたのは俺だ。」


私はニコニコしてその子と会話する。

「そうなんだ。子供なのに随分口達者なのね。」

「む、子供ではない。貴様、俺を憶えておらんのか。俺はとっくに1000を超えている。」

「へぇ…そうなんだ。嘘をつくのが上手ね。」

「だから子供ではない。本当に憶えていないようだな。さっき誰、と聞いてきたのもそのせいか。俺が天使なのも憶えていないのか。」

「え…天使?」


天使の存在は憶えている。

天使はその殆どが3000歳まで生きるらしい。

天使である証拠は、背中にある羽、足首にある金でできたリング。


「天使なら、1000歳というのは納得はいくけれど、羽を見せて貰わないと信じれはしないわ。貴方には羽がないわ。本当は何歳なの?」

「はぁ……羽は極力出したくないんだが仕方ないか。」


男の子はパーカーを脱ぎ、「見てろよ。」と言った。

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