第4話 上玉の部類


「なよっとしてる」

 彼女はテーブルからゆったりと起き上がってそう言った。

「分かりますか」

 スプモーニは女性に人気な酒として知られているが

 これくらい少し検索を掛けたら分かる程度のメジャーな情報だった。

 そう、女性向けの酒とでもキーワードに打ち込めばの話だが。

 夜遊びの経験が浅い

 女を引っ掛けるのも初めて

 緊張して手先が固まっているところも

 彼女の中で評価をぐっと高まらせた。

 彼女の好みは俗に言う、可愛らしさのある童貞だった。

 遊び慣れた男に飽きてしまったことが一番の理由だが

 なんと言ってもベッドの上で自分が主導権を得ることに

 一層の快楽を感じることができたからだ

 その点

 隣の男は、彼女が夜中に虎視眈々と狙う男性の中で

 上玉の部類に入る男と言える。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る