第3話 スプモーニ
男は「やあ」と短い挨拶を彼女にかけた。
女はちらりと男を見て
じっと見つめたあとに「こんばんは」と返した。
好みの男だった。
清潔なシャツと、少し太った体格。
何といってもその柔らかなブラウンの瞳が彼女を惹いた。
なよっとした男性はぎこちなくメニュー表を手に取って
度数が低いスプモーニを2つ注文した。
苦みと甘さ、そして口当たりの良さで人気な
酸味の強いグレープフルーツを混ぜて
トニックで割ったカクテル。
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