第2話 ドアの開く音


「私、ウィスキーに欲情してるみたいだわ」

「私が口を出すことじゃありませんがね。

 もっといい男を探しなさい。熱いのは最初だけ

 そういう男に限ってマリッジブルーが早い。――お冷を入れましょう」

「浮気はしないの」

 そんな時に後ろからドアの開く音がした。

 バーテンダーに薄く微笑んで

 それから

 その客は空きの多い席の内から彼女の隣を選び、静かに座った。

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