第十七話 黒刀
チョコレート対決の次の日・・・
「おい、アルシ。そろそろ剣術を教えようと思う。」
「それって、剣を使った訓練ができるということですか?」
「そうだ。」
よっしゃーーー!!
ついに待ちに待った剣術訓練だ!!
今まで地獄の基礎体力訓練を乗り越えてきた甲斐があったぞ。
「こっちについて来い。」
そう言って教官は武器庫へと歩み始めた。
武器庫に着く。
武器庫には訓練用の木剣や革鎧、刃こぼれされた剣が並んでいた。
教官は表にある武器には目もくれずに武器庫の奥へと歩みを進める。
縦長の木箱の前で教官は止まった。
「あったぞ。これだ、アルシ。」
そう言って教官は木箱の上にかかっていた布をどかす。
適当に仕舞われた木刀が姿をあらわにした。
「仕舞方、なんか雑じゃないですか?」
「そりゃ、誰も使ってないからな。ハッハッハ!!」
笑い事じゃない気がしが・・・
「まあ、とにかく選べ、これからお前が使う木刀だ。」
木刀の数は10刀ほどだ。
たくさん種類があって迷うが実は一眼見た時から決めていたものがある。
木刀の中で一刀だけ異質なもの。
黒見がかった木刀だ。
これって妖刀とかそういう類の刀じゃないだろうか?
妖刀で異世界チート的なことになるんじゃね?
「教官、これにします。」
そう言って黒い木刀を手に持った。
「アルシ、お前・・・」
おっもしかしてこの木刀を選んで正解ということだろうか?
ふっふっふーこの俺の目に間違いはない!!
「ガキみたいな一面もあるじゃねか。」
教官は腹を抱えて笑い出した。
「へっ?」
「その木刀だけ黒いから他のと違っていいとか思ったんだろ。」
うん、思ったよ。
「その木刀が黒いのは木の材質の違いだ。」
「それじゃあ、他と違う性能とかって?」
「ないぞ。」
「ないの?」
「ない。ブフォー」
教官は笑いを堪えなかったらしくまた笑い出した。
「じゃ、じゃあどの木刀がいいんですか?教えてください。」
「この木刀にしておけ。」
教官は俺に普通の見た目の木刀を手渡した。
「他の木刀と特に変わらない気がしますけど・・・」
「これは他の木刀より重いんだ。訓練にピッタリだろ。」
「ちなみに〜一番軽いのって?」
「黒の木刀だ。黒の木刀にするか?」
「いえ、その木刀を使わせていただきます。」
そんなこと言われても今更黒の木刀を選ぶわけないだろ!!
選んだら最後、使う時に毎回揶揄われる。
重い木刀使って筋力作り頑張るか。
気が進まない。
「よしっ、木刀も選んだし訓練場に行って俺の流派の剣を教えてやる。」
「はーい」
俺は気の抜けた返事をした。
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アルシの赴くままに 森林幹 @moribayasimiki5082
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