第十二話 脱出計画
俺は自分の魔法が発動しないことを素直に受け入れることにした。
戦い方的にはバランス良さそうだし・・・
「ここから脱出するための目処は立ってるのか?俺は深夜になったらこっそりここから出ればいいと思うんだけど。」
「それは無理ね、私たちには探知魔法が付けられているわ。」
「効果は?」
「この孤児院を出た者のいる方角を伝えるというもよ。この孤児院にいる間は場所を探知されないわ。」
「解く方法ってあるのか?」
「あるにはあるんだけど、解いたら術師側に解いたことがわかるのよ。」
「それじゃあ解いてすぐに逃げるっていうのは・・・無理だな、俺は今魔法を使えない。足手纏いになる。」
「魔法を使っても無駄よ、ここの用心棒なのかは分からないけどアルベルトっていう怪物がいるのよ、どんなに早く逃げても子供の体では無理ね。」
「それじゃあ、探知魔法の使い手を倒してしまうのはどうだ?」
「その探知魔法を使うのもおそらくアルベルトよ。彼は闇魔法の使い手だもの。」
どうしてそんなことを知っているのか疑問に思ったが、聞かないことにした。
前に話したように、言いたくないことはそれぞれある。
ここは向こうから話してくれるのを待つことにしよう。
「アルベルトを倒すのは無理だとして脱出する方法を考えないとな。」
「そんなことはないわ。あなた頼みになってしまって申し訳ないけど、あなたがアルベルトの攻撃を三十秒ほど耐えてくれるなら勝つ方法はあるわ。」
「三十秒ならできると思うぞ。」
三十秒と聞いて楽勝じゃんと思ってたがテシアが言葉を続ける。
「三十秒を甘く見ないほうがいいわ。特に生死を分ける時の時間は通常よりも長く感じるはずよ。それに今のあなたは魔法が使えないし、格上との戦闘になるのよ。技術を持つ者と持たない者とでは勝負にすらならないわ。」
「じゃあ俺はどうすればいいんだ?」
「延期になった武術訓練があるのは知ってるでしょ。そこで技術を奪うだけ奪い取ってきなさい。あなたの才能次第だけど、身につけないよりはマシだと思うわ。」
フィジカル頼りかよ!!
まあでもやるしかないよね。せめて魔法が使えたらいいんだけどな。
「武術訓練は頑張るとして、魔法が使えなくても使えるみたいな道具ってないのか?魔道具的なの。」
「うーん、作ってみる価値はありそうね。流石にあなたの可能性に賭けるっていうのも現実的ではないし・・・ここにあるものだけでは作れそうにないから時間かかるし、どれくらいの量作れるか分からないわ。初めての試みだしね。」
「そんなに難しいのか?」
「道具に魔術を埋め込むのよ。ずっと魔力を固定するのにも技術が必要なのに、発動状態の魔法をとどめておくみたいなものだもの。」
テシアの説明を聞いてどれだけ精密な魔力操作が必要なのか見当もつかない。
俺では無理なことだけはわかるけど・・・
「時間、時間!!時間、時間!!」
部屋に急に音が鳴り出してびっくりする。
そんな俺にテシアが笑いながら話しかけてきた。
「大丈夫よ、ただのアラームだから。部屋に戻ることを忘れないようにするものなの。アラームが鳴ったし、そろそろ戻ったほうがいいわね。」
「だいぶ眠いしな。」
あくびをしながら答えた。
「なんかあったらこちらから連絡するわ。」
「わかった。」
「基本的接触はダメよ。なるべくリスクは負わないように。それぞれ力をつけましょう。」
「頑張ろうな。」
そう言って俺らは部屋を後にした。
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