第十話 sideテシア2

キューブ状の部屋に飛んだ。

転移魔法だったようでひとまず安心だ。

部屋の奥には看板だけが置いてある。

近づいてみてみると看板には辞書よりも小さな文字がずらりと並んでいた。


「ここまできてくれてありがと〜!!でも残念でした〜ここってね、二人しか入場で

きないの。ドンマイ!!元気出せって!!だからね人数をこの場で減らすとかしないと無理なわけ。お一人様は可哀想だけどどうしようもないんだ。餓死するまで待つか、自殺してね☆よろぴく〜!!え?ひどいって?悪魔?そんなわけ無いですってば。善良なダンジョン精霊ちゃんですよー。あっそうだ、多分君、もしくは君たちは死んじゃうと思うから教えてあげちゃうんだけどー。このダンジョンって、闇堕ちした使徒君が作ったんだよねー。帝国が終わりを告げた頃って言えばわかるかな?帝国潰してやりたかったことがある変態さんなんだよ!!その理由がさugfu@lfpkrでさ、ありゃ、文字化けしちゃったか。ごめんね教えられそうにないや。で、私が言いたかったことって言えば、そんな大昔からあるダンジョンをまだ誰もクリアできていないということ。さっきも言ったけど、ここをクリアするのは無理無理。最後まで読めばヒントがあるって期待しちゃったかな?しちゃったんじゃないの?したんでしょー!!ご愁傷様です。ゆっくり休んでね☆おっやすみ〜。」


う、ウザい。

何、この煽り性能抜群の文章は。

きっとここに来た人たちは悔しい思いで死んでいったんだ。

どうせ二人になっても入場できないなんてこともありそうな気がしてきた。


______


この部屋を探索してみたけど、どこにもつながってないし魔法を打ってもびくともしない。

この部屋からの脱出は無理だろうね。

できてたらこのダンジョンもクリアされてるはずだし。

とにかく、ここの魔法陣を使うのはやめておくことにする。

絶対にそうする。

でも、そうなると孤児院からどうやって抜け出すか考え直さないとね。

最初からここの魔法陣頼みだったし。

私自身の残りの時間も少ないと思うから正面突破も視野に入れないとなー。

よしっ!!時間を巻き戻したら、また五歳まで準備して決行する。

私はこの場所から出るために自殺した。


______


あれから何回も巻きもどった。

闇に紛れて脱出したり正面突破したりと試してみたがすぐに場所が割れて捕まる。

私を捕まえるやつの情報もほんの少しだけだけどわかってきた。

名前はアルベルト。

ゴリゴリの筋肉マッチョ。

魔法打ってもびくともしないし、すぐに接近戦に持ち込まれるからまず勝ち目は無い。

私は中級魔法までは無詠唱で使える。

でも上級魔法以上は詠唱を唱える必要がある。

上級魔法以上の魔法は強力な分、詠唱が長い。

中級魔法ではピクリともしないアルベルトにかつなんて私一人じゃ無理。

もう、なすすべなしなのかな。

どうすればいいの・・・

私の時はまた巻き戻る。


______


絶望していた私を救うかのように奇跡が起こった。

流れが変わった。

今までと変わったことは特にない。

でも、知らない子がここにいた。

黒髪で黄色の瞳をした幼な子。

年は私と変わらないと思う。

綺麗な猫目をしていた。

独特な雰囲気が彼にはある気がした。

今まであんな子は孤児院にはいなかった。

いつもは巻き戻った時と前とでは変わってしまうことなんて一つたりともない。

今回は違う。

私はあの子を観察することにした。

慎重に動こう。

次にあの子がいるとは限らないから。


______


読んでいただきありがとうございました。

休日なので投稿させていただきます。

これでテシアの過去のお話は一旦区切りをつけたいと思います。

次からアルシ視点に戻って書き進めていきます。

フォローやハート、コメント、星をつけていただけると活動の励みになります!!





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る