第二話 おい、神父!!

ザーザー、ゴロローン!!

神父様を心の中で叫び続けてからさらに雨が強くなってきた。

だがいまだに神父様が来ない。

おかしい。

テンプレは絶対じゃないのかよ!!

こういう時は傘をさした神父様が

「こんな雨の日に一人ぼっちで心細かったでしょう。さあ私と一緒に暖かいところへ行きましょう」

って言って登場するもんだろ!!

それとも神父様が来ないということは俺に何かまだ足りない部分でもあるのか?


<考え中>


あ、そういえば俺泣き声出してないや。

こんな大雨の中わざわざ橋の下を確認しにくる神父様なんている訳ないじゃん。

今から泣いても間に合うよな?

いくぞ

「あーあーくー」

おー声出た。

でも、そこまで声大きくでてないんだよなあ。

雷と雨の音で打ち消されてる気がするし・・・

どうすっかなー。


助けも呼べずただひたすら死を迎えるまで待たなければならないのかと思ったその時だった。

傘を出した白髪のイケオジが目の前に現れたのは。


「こんな大雨の日になんて可哀想なんでしょう。今まで一人で寂しかったでしょう。    

 もう安心してください。あなたのことは私が守ってあげます。」


白髪のイケオジが慈愛深そうな表情をしながら俺を持ち上げた。

神父様来たー!!助かったー!!

これでもう安全と言っても過言では無いのでは?


_______


現在俺は教会らしきところに居る。

神父様がここまで連れてきてくれたのだ。

暖炉の前に寝かせてくれている。

あったかくて気持ちー。

神父様ありがとー!!と心の中で叫ぶ。


そういえば教会に来るまでに分かったことがある。

俺が捨てられていたところだが街のはずれに位置する場所のようだ。

現在は割と中心部に近いところ。

(俺が勝手に判断したことだから信憑性を求められても困るけど)

建物は良く異世界物で出てくる中世ヨーロッパそのものだった。

これって冒険者とかギルドとか期待していい感じですか。

魔法とかあったらマジ最高!!

あと今いる教会だけど割と豪華で庭も広い。

孤児院って勝手に古くてオンボロのイメージがあったけど180度印象変わったわ。


んっとここまでは良いところなんだけど一つ問題点があります。

それは神父様が俺が持ってたらしい宝石を

「おおーこれは結構いい値がしそうですね。せっかくですし貰っちゃいましょう。」

とかいって持っていってしまったことである。

おい神父ざけんな!!

さっきまでの慈愛に溢れてますよオーラはどこにいったんだよ。

それに宝石ってどっかの貴族の子の証とかじゃないの?

俺が貴族になってゴロゴロ過ごすとかいう作戦立てれたかもしれないじゃん。

その宝石なくなったら自分の身元証明できるもの無くなっちゃうんですけど・・・

でもこれでよかったのかも。

身元不明の貴族の子とか絶対ヤバイじゃん。

下手に貴族と関わっても良いことなさそうだしね。


それにしても神父の性格と教会がやたらと豪華なところを見ると怪しいんだよなあ。

神父絶対に何かやってるだろ。

そもそも夜遅くに外を出歩く時点でおかしい。

まあそのおかげで俺は助かったんですけどね。

とっとと一人でも生きて行ける道を見つけてこんな怪しいとこらからおさらばするのが吉ですかな。

明日から頑張るぞー!!


俺はそう決意して静かに瞼を閉じた。










  













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