出勤0日目 面接
勤怠不安定でクビになりそうになるたび、夜職をしようかと考えたことがあった。
202×年夏。
今回は本当にあとがないと思い、風俗求人サイトでお店を探すことにする。
こだわりは、
・店舗型(デリバリーはこわいから)
・軽めの内容(擬似的なものがない、体内に指が入らない)
の2つ。
年齢の問題があり、応募できそうな店舗はずいぶん少なかった。
これならできるかも?と思った2店舗(手だけのお店)に、ダメ元で連絡する。
私が気にしたのは次の2点。
・未経験でも大丈夫なのか。
・身バレ対策のための写真の公開範囲。(店頭でも公開してほしくなかった。)
1つの店舗からは、
「とにかく面接に来てくれ」
という内容の返信がきた。ちょっとこわい。
もう1つの店舗は、
「年齢は関係ない。未経験でも大丈夫。写真については責任者に確認して、明日連絡します。」
という親身かつ丁寧な返信だった。
そして翌朝、
「店頭の写真もモザイク可能です。」
という返信がきた。誠実な対応で安心する。
しかし私は急に勇気がなくなり、その後返信せず放置してしまう。
10日ほど経ったある日の午後。
昼職の転職面接の手応えが微妙で焦った私は、親身に対応してくれたお店に突然連絡する。
「面接をお願いしたいのですが…」
そして、1時間後に面接が決まった。
必要なものは、身分証と住民票。
市役所で住民票を発行してもらい、急いでお店へ向かう。
お店の前につき、おそるおそる電話する。
「こんにちは。どうぞ。」
普通の(失礼!)お兄さんが愛想よくお店に入れてくれる。
人生で初めて足を踏み入れる風俗店。独特のにおいがする。心臓の音が大きくなるのがわかる。
接客に使う部屋に通され、書類を持ってくるらしくお兄さんが出ていく。一人になる。
監禁されているような気持ちになりつつ(警戒心強め)、おそるおそるあたりを見渡す。
ローション、たくさんの箱ティッシュ、大きな鏡、タオル、そして小さなシャワー室。
思ったよりも普通だ。
嫌な感じもない。もっとこう、悲壮感があるというか、陰な雰囲気かと思ったが、特にマイナスな印象はない。
なんとなく、大丈夫そうな気がしてくる。
そもそも、本当に働くのかどうかも決めていない。昼職さえ決まれば、すぐ辞めるつもりだ。
コンコン。お兄さんがやってくる。
差し出された書類に、説明を受けながら記入していく。
ちゃんとしている…。契約書のようなものなどが、思ったよりちゃんとしていて(失礼!)安心する。
これまでの夜職経験?をチェックする箇所に、全て未経験で記入したとき
「え、ガールズバーとかもないの?」
と聞かれる。
確かにこの歳で全くの未経験は、逆にどうした?という感じなのは自分でもなんとなくわかる。
源氏名を決めるときに私が優柔不断をかまして時間がかかったり、オプションのNGを多くしすぎて(ちなみにハードなオプションはありません!)相談して○を増やしたりしているうちに、時間が過ぎていく。
「写真撮ろうか、制服持ってくるね。」
ということになり、あれ?採用なのか?と思いながら従うことにする。自撮りがHP用の写真になるそうで、自分で撮ってほしいとのこと。撮った写真は交換したお店LINEに送るように言われる。
テキパキと照明などを準備して、お兄さんが出ていく。
「次来るスタッフは、違う人になるからね。」
不安なときに先のことを伝えてくれると安心するなぁと思いながら着替えて写真を撮る。何枚か送るも、微妙すぎる。(大丈夫?これ?)自撮りはしたことがない。
しばらく待っていると、さっきと違うお兄さんが登場。優しそうなお兄さん。
「写真撮ろうか、こっちきて」
そう言って、プロなみのポージング指導で何枚も撮ってくれる。すごい…。
写真を撮るにあたってカップ数など聞かれたときに、異世界にきた感じがしたのはここだけの秘密。
あれよあれよという間にことが進み、気づけば入店が決まった…らしい。(合格だよーみたいなのはないらしい。)
最後に店長さんが、HP用の写真のモザイクの確認と、店頭での写真は全部モザイクにするか、目だけを出すかを実物を見せて確認してくれた。
私が事前の問い合わせでぐちゃぐちゃ言ったばっかりに申し訳ないな…と思いながら、写真の確認をする。でも、情報がきちんと共有されて対応してくれて安心できた。
本当は当日に体験入店する予定だったが、
「新人好きなお客さんもいるから、少ししてからの方がいい」
というアドバイスをもらい、初仕事は後日になった。
「出勤日は、さっきのLINEに連絡してください」
という説明を受けて店を後にする。
ん?
なんだか普通に「ありがとうございました」とか言って出てきたけど、これは入店ということなのか?
頭の中が「?」でいっぱいになりながら。
でも、安心できる対応にホッとしながら。
私は風俗で働くことになりました。
昼職でメンタルを病んだ私が風俗で働いてみた話 @snowusagi
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