イタチ

第1話

「マディら」


「君は本当に、私なのだろうか」

私の外見を持ったものを、私は、黒い箱の中から、話している

私の外見を、それを、それほどまでに、まじまじとこれほど見たことはない

しかし、それが嘘だとは、私には思えない

声をかければ、私と同じ反応を起こすが、それは、徐々に変わっていく気がする

先ほどまでは、私だったかもしれないが、しかし、徐々に、変わっていく

一分後の私は、私ではないかもしれない

経験により、それは、私自身でも、身内でもなければ

全く別の他人かもしれない

そもそも、相手は、機械だ

一ミクロンも、肉片は、入って居ない

人体も、砕いて行けば、有機物も無機物に分類できるかも知れない

しかし、実際問題は、そいつが、どれほどまでに、私かという点だ

私自身に、どれほど、正解に、近いのであろうか

私は正解なのか

曖昧な肉体に、正解はあるのか

曖昧さを、正確さの基準にするのなら、機械の曖昧さも、その範疇に、入ってしまうのではないか

その言語の輪廻を語るのは、無意味に、近い、悟りとは、既存のデーターではなく

全く別の新しく、更に完璧なホームでなければならない

より正しく、より・・・



「今日から、お願いいたします」

人造桜は、極度に、破壊したコンクリートの土壌に、ボルトで固定されている

不要なものを、除いて行った結果

人類は、極度の多様性の無さに、直面し

人間的行動は、手足胴体を、排除し

なにも起こさない

何もできない

なにもこれ以上最悪にならない物へと、制御された

それは、ディストピアであるが、そこまでの、宗教的、弾圧が、必要なまでに、人類に、立つ場所は

消失していたのである

それでも、全て機械任せで良いのであるが、未練がましく、縋りつくように、人は、仕事を、求めていた

「住民票は、このファイルへの移動を、お願いします

今日のところは、これだけを覚えていただければ、問題ありません」

機械に説明されるが、全てが、このようなものだ

人間にあうなんて、病院の一部くらいであろう

人は、悪行を犯す

それを、制御できない

悪は、周りの悪により行われる

悪い行動に責任能力はない

それを制御できるのは

決められた制限を、全うするために、人は、ダルマになった

それは、言ってしまえば、生きることと生殖することしかできない

限られた人生

それが、人類が、唯一継続させていただける現状だと決められた

しかし、人はそれでも、働きたがった

正確性にかけ

スピードに欠け

労力に欠け

全てにおいて、無価値なのに

その仕事は、求むべく生命のように

人は縋り寄ったのだ

私の目の前には、大量のファイルが、置かれている

全て、分けてもらったものだが、何の役にも立たない

私の行動の一分で

私の一年分の仕事が終わる

私などは、邪魔をしているだけである

それはおこぼれで、仕事を、させてもらっている

しかし、それ故に、誇らしい

私の生きる価値などは、最初から、奪われている

存在していない

与えられていない

しかし、私が、行える物があるのであれば、それをしないはずもない

私は、その一つ一つをかみしめるように、幾千の選抜から仕事させていただいている

事に、感謝を覚えていた

最初から、なにも頼りにしていない前提なので、私がどれほど遅れようと、どれほど失敗しても何も言わない

そんなものは、最初から何もなかったかのように、終わる

「定時です、仕事を、お疲れさまでした、また、疲れたようでしたら、何日でもお休みください

いつでも、席は空いております」

最初から無意味な仕事を、更には、休むことなどできないだろう

不要だと分かって居ながらも、何の役にも立っておらず、貢献できず

疲れないように調整された仕事を、休み理由とは、どう言えばいいのであろうか

私は、与えられた範囲内で、もう、仕事は、終えられており

まばらに空いた席から立ち、後ろへと出ていく

機械は、相変わらず起動しており

人間が不純物に見えて仕方がない

これほどのおこぼれがいる必要性はあるのか

まるで、不完全な邪魔

除外される物ではないだろうか

我々は、まるで、遊んでいるようである

地下から、表へと行く道を歩く

歩く事さえ、時間のかかる我々は、固定された乳母車のような機械化された、その全自動の乗り物で、運ばされる

一日一時間は、部屋で、運動を、強制され

食事も、歯磨きも、完璧に、管理される

どれほどの難病であろうとも、我々を機械が見たら大差はない

全てを、入れ替えてしまう

ルービックキューブのように

クッキーでも作るように、その人間から新しい臓器を、作り出し

それを交換する

遺伝子も、書き換える

機械から人間を見たら

その程度なのだ

データーを書き換える程度の物なのである

人は、ストレスを、極力与えられていない

しかし、それでも、過激なデーターを読み込んだりして、疑似的経験を、欲するものも多い

過度の仕事によるストレス sex 会話の破綻

しかし、全ては、自分に何一つとして、問題を起こさず、緊張を有する必要はない

それ故に、仕事を、したがるのかもしれない

子育ても、殆どが、機械に任されている

そして、大抵の場合は、片方が、それを、育てている

仲が悪いわけではない

ただ、それほど、長くいるわけでもないのだ

出産も、完全に管理されており

増えず、減らず

子宮 精巣も管理されており、そのおかげで、無理に増えることも無いのである

人間の体は、機械により縛られている

まるで、関節人形のように

動く部位が機械にそばくされているのだ

唯一ある脳みそでさえも

体を、洗脳を、それは、大して変わらないのかもしない

物質的に、変えなくても、その無意識化は鉱物化するかのように

人は、何に縛られてしまったのだろうか

それは本当に機械か

存在しない、いや、誰かの作りかけの世界にいつのかもしれない

知らないだけで

未完成の悟りの世界に


静かなbgmの流れる茶色い木に組まれている喫茶に、存在しているのは

二人である

目の前にいるそれは、人間である

崩れた均等の取れない顔

それはまさしく人間だ

奇麗な場所にいれば、奇妙に感じる

しかし、機械が、それをしないかと言えば、そうではない

出来ないのではなく、しないのだ

人間だとわかるように

人に会う事は少ない

わざわざ人にあわずとも、その情報量は、機械や、過去の人間が残したもので、間に合う

わざわざ人があっても、気を遣う事に、阻害され

それ以上の力を出すのは難しく

疲労も、大変なものだ

しかし、それでも、人は、時として、ひととはちがうもものをさがすために、人に会う

もちろんそれだけではない、主義思潮とは違うものだ

しかし、無理に合わなくて済むことを願う人間が合う事は極端に少ない

それにより、人類は、大きく二つに分かれる

人との会話のできる人間と

人と会話しても、それは、画面越しに人と話すような緊張感のない意味だけを、有したもの

相手への思いやりやいたわりではなく、行動原理の追及に、全ての意味を優先させた者

つまり、人間を捨てていると言っても良い

それを、機械族と、呼んでいたりする

彼らの優先事項は、人命ではなく、この世の継続である必要性を考える

ある意味、自己犠牲が強いと言っても良い

この世の停滞や危機は、過去の人間の感情に、押し流された消費だと

人と人とのしがらみが、戦争を起こす、いじめを起こす、そして一番重要な、星の存続を危ぶまさせた

その教育を、聞くもの

聞いていないもの

その論議による戦いを、避けるために、極力人は、合わないことを、推奨されている

まるで、刑務所の面会のように、慎重を、期さなければならない

喧嘩でもして、殺し合いになろうものなら、会う手続きは、非常に手間になる

人の死は難しい

無理やり心臓を、入れ替えて、生き延びるのも、別段異常な事とはされない世の中だ

半分近くが、ある年齢

もしくは、心臓に、異常がみられるもしくは、死亡した次の瞬間には、移植の手続きを願っておいている

最近では、人造の脳みそに、徐々に入れ替える試みもされているが

それが何処まで、人間なのかは分からない

金持ちは、好き好んで、していると言うが

この世に貴族性は、無くなった

それでも、継続はしている

本人が望めば、それは、ぼんやりとしたものである

金も、欲しければ、幾らでも得られる

子供銀行のように

しかし、それで満足をえれるとは、機械はしていない

集団としての必要性が、消えた現代に、つながりを考えることは、非常に難しい

集団を集めるための役職は、消失し

ただ、行動するための理由だけが、そこには存在する

その基盤のない宙に浮いた目標は

バベルの塔を、越えてしまったのか

言語は使われなくなったように、消失しかけている

国は意味をなさず、地域は、意味をなさず

ただそれでも、小さな集団の中で、完結は、出来てしまう

一人が、集団の王であり

また平民であり奴隷なのだ

そのリンネを輪を、抜け出すほどの考えを、人類は、見出せたのだろうか

喫茶店の四角い木のテーブル

相手と私の前には、白いカップが置かれ

湯気を立てる

相手は、こちらを見ている

相手の世界は、何だろうか

統合された一世界で間違いはないのであろうか

それとも、オリジナルを求めた正解だろうか

相手は、愛そうよく声をかけた

機械だろうか

「やあ、どうも、最近は、世界を作るのに、忙しくてね」

相手は、同世代だ

今の時代そんなものは無意味だ

赤ん坊も老人も大して変わりはない

同級生も関係はない

しかし、それでも、話してくれる

それに意味を見出してくれる人間は居る

目の前の相手が、其れだ

私は、コーヒーを見る

この成分は何だろうか

コーヒーは、コーヒーではない

その主成分で、考える

コーヒでは無いのだ

機械は、それを、成分で考える

しかし、人は、それを、行動で考える

「どうも、この世界は、怪しくてね、君が今働いている

役所、それは君にとって、なぜそれほどに、重要なんだい」

彼は、何かを見たのだろうか

何へと向かおうとしているのか

彼は確か、男だったような気がするが、どうだったのであろうか

記憶がおぼろげだ

これほど、理を、重要視する人間が、どうして、会うという選択肢を、選んだのであろうか

非正確性

会う事によるブレを求めているのか

「私は、働くことにより、何が起こるかを知るために、働いているんです」

相手は、こちらを覗き込むように見ている

私が、何を考えているか、機械を見るように

私は、少し考え込む悪戯とでも言うようなものか

ぶれが、ぶれを起こすように、更にブラしてみようか

「あなたは、どうして、私に会いに来たんですか

人間の情報など、さして意味はないでしょ

あなた自身の感情でも、探ってみたらどうですか」

相手は、こちらから目を離さない

どちらが機械であろうか

「いや、実は、困ったことがあってね、役所に勤めている

君だったら、どうにかなるんじゃないかと思ったが

すいません」

相手はそう目を伏せて、出ていく

その行動に、私は、あやふやさを、感じた

データー的行動345に、該当する

つまり、人間同士が、会話したときに、相手への存在に、左右された行動を、示した

過去を、懐かしむために、私に会い来たのだろうか

私は、彼を、見ながら、考える

相手のコーヒーが、真っ赤に染まっている

「嘘だ」

どこから何処までが

私が、目を覚ますと、先ほどまであっていた人間からの電話が、かかってきている

今現代、電話を使うこと自体が珍しい

この機械で、電話が使われた記憶はない

四角い箱を前に、私は、声に出る

「何でしょうか」

箱からは、鼓膜を使い、声が聞こえる

「彷徨様でしょうか

わたくし、佐嶌京須家のお世話をしている機械頭の起動と申します

実は、今日午後五時に、京須家様が、死亡しましたので

それに伴い、あんた様に、お手紙がございまして、メールを、送信させていただいて、宜しいでしょうか」

機械頭の名前は、大抵起動と言う

しかし、わざわざ、電話で、しかも手紙を出せと、指示したから、こういう事に、行動しているのだろうが

しかし、この年齢での死亡は、自殺しか考えられない

私は、直ぐに、ログを調べると、夢かと思ったが、彼奴に会っている、記録が、そこには、記録されていた

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イタチ @zzed9

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