あやかしパンク

北星 ユイ

プロローグ 或る決闘の話

あぁ臥せよ、また始まるぞ。


まさに達人同士の間合だ。


そして両者踏み込み、四千九百六十八回目の剣戟。


影が瞬時に交錯する。


そしてすすきが凪いだ。


夜烏も黙った。


しかし、それだけのを重ねようが、結果は変わらず無惨なものだった。


また女の方が斬られていた。


剣を構えた姿勢のまま、女性の腹部から赤い滲みが広がる。女の薄桃色の着物が斬撃で裂かれていて、そこから血がとめどなく流れ出しているのだ。


腹を裂かれた痛みに、女が疼くまる。

彼女は、見た目は15、16程の少女だ。


煌々と月明かりに照らされる少女……その姿は、見る者に憐憫と、そして嗜虐心を揺さぶる本能的な感動を与えていた。


「これで、四千九百六十八回目……一体いつまで繰り返すつもりだ?お鶴よ…………!」

「────ッツ!」


女を斬った剣士が振り返り、疼くまる女──お鶴を見下ろす。

その剣士は虚無僧のつける天蓋を被っていて、表情が読めない不気味な男だ。鼠色の着物を着ていて、女同様に刀を構えている。


お鶴と呼ばれた女は男にきっと睨み返すも、その顔には玉のような脂汗がいくつも浮かんでいる。


なんとか倒れまいと片手で剣を地面に突き刺して支えにするも、もう片手は傷口から臓器がまろび出ないように抑えるのに必死で、到底戦うことなどできない様子だ。


「はぁ……!はぁ……………!クソッ!」


悪態をつくも、その腕、その躰、その表情からは段々と生気が失われていく。


当然、死ぬのも近いだろう。


彼女が、


決して倒れまいと必死に苦痛を堪え、また立ちあがろうとするのは、無謀な悪あがきではない。

月夜に彼女の紅水晶のような美しい角が照らされた時、それは証明された。


あぁ、神よ!仏よ!どうして彼女にその呪いを与えたか!


なんということだ。血が、泉のようにどくどく流れ出していた血が………みるみる傷口へと戻っていく!


そして何事もなかったかのように傷口が塞がり、裂かれた着物すらも自ずから元の形に戻る。


「何度見ても、見事だな」

「……………」


虚無僧の男がそう語りかける。


「しかし残念だな。鬼の血の後継者……本気の貴方と戦ってみたかった」


「申し訳ないが、これがの限界でね……」


痛みすらも引いたのか、お鶴はいつの間にか立ち上がって剣先を男に向けていた。


「だから、勝つまで死に続けるだけじゃ」


彼女の透き通った赤い瞳にはいつまでも戦うと、そう確固たる意志が残っている。しかし。


「もう、やめないか」


「何じゃと?」


男の方は、もう戦意を失ってしまったようだった。


「………残念だが、私には不死身のお前を殺せない。しかし、あろ何千回演ろうとも私に今の貴方の刃が届くことはない………」


「………じゃが、それがどうした?それが我々が戦いをやめる理由になるのか!?」


どうやら、彼女の方は彼の発言が気に食わないみたいだ。さっきまでの好きな玩具を買い与えられなかった子供みたいに駄々をこねている。


「ここまで続けておいて、『やめる』、じゃと?お主、愚弄するのもいい加減に──」


しかし、お鶴の文句にはもう取り合うつもりはないのか、それとも彼女の気持ちは変わらないと確信したのか、男は諦めたようにため息を吐いて。


「………封印」


ふいに、男が懐から一枚の紙切れを取り出して、そう言った。

紙切れには「封」との文字と、怪しげな紋様が描かれている。


「何を──ッツ!?」


すぐに、異変は起きたことにお鶴は気づいた。

先程斬られた傷口のあった場所から、蜘蛛の巣状に紫の線が体中に広がっている。それは夜闇に怪しげに光りながら、どんどん拡散している。


そして、そんな事は今までの戦闘では起こらなかったという事実──


お鶴は、すぐに自分が何をされたかを理解した。


「謀ったな!?空亡!!」


お鶴は男──空亡を見て叫ぶ。そして今にでも空亡に斬りかかろうと走り出すも、もう遅かった。

紫の線は既に体中に廻り、彼女の体から力を奪っていく。そしてまた、その場に倒れる。

しかし先程と違うのは、もう既にその場から立ち上がる気力もないという事だ。


「クソ………負けたか」


「負けではない」


すかさず空亡が訂正する。そして、お鶴を見下ろして話を続ける。


「………最期に聞いておくがいい。私の刀に、封印術式を組み込ませて貰った。対象を斬ることで術式の発動条件が満たされるというものだ。だが、安心しておけ。お前程のあやかしを恒久に封印できる程私は腕利きではない。お前はいつか、目覚める事になる。それは、数十年後か、はたまた数百年後か………」


お鶴は段々と目の前が掠れて、意識が朦朧としていくのを感じる。もう、何を言っているのかさえ上手く聞き取れない。


「今回の決着は私も───やはり、──信用────騙さ─────」


だが、彼女の耳は最後の力を振り絞ってだけは聞き取った。


「またいつか、殺し合おう」


そして、意識がぷつりと切れた。


それと同時にお鶴の体から煙が立ちこめる。


煙が晴れるとそこにはお鶴が着ていた服と、一つの人形が落ちていた。


そうして、最強と名高いふたりの妖──お鶴と空亡の決戦は一旦幕を閉じる。



──────────


ラノベ?を書きたくなったので書いてみました。

右も左もわからないド級の初心者(ド心者だ!)なので、暖かい目で見てください、、

とりあえずオチは決めてるので、なんとか書き切りたいです。一体いつになるのやら……


もうここまで来たらライブ感で邁進していくしかないんだ。ブ⚪︎ーチの如く。

(ブリー⚪︎以外でその言葉はルールで禁句スよね えーっ)


更新頻度はできるだけ早めにします。エタりはしないように。

でも全然いい展開が思いつかない。人生の悲哀を感じますね



あとがきが長くなりましたが、星とブクマとかお願いします。

てかめっちゃ欲しい。異常承認欲求者


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あやかしパンク 北星 ユイ @roratyann

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