第2話
「え、私がですか」
「うん、さっきから何回もここ通ってるから。新入生?」
「はい、そうです……」
目の前の彼はどうやら在校生らしい。たじたじしている初音をじとっと見つめた後、その男子生徒は教室の電気を消し、廊下へと出てきた。
「どこ行きたいの」
「あ、えっと、はい、昇降口です。というか校門です」
「そう、じゃあ来て」
「え?」
廊下をさっさと歩き出した彼。高い身長に長い脚。ランウェイみたいだ、と初音はついくだらないことを考えた。突っ立ったままの初音を、今度は彼が振り返る。
「昇降口、案内するから」
窓から差し込む春の日差しに照らされ、彼の表情がよく見えた瞬間、初音はその整った顔立ちに思わず呼吸を忘れた。
「……ねえ。来ないの?俺も暇じゃないんだけど」
「わ、すみません、あまりにかっこよくて」
「は?」
「すみません!ついて行きます!」
冷たい視線の彼に慌てて追いつく。隣に並ぶと緊張してしまうくらい、完璧な容姿。ほのかに香る柔軟剤の香りまで、甘い。昇降口へと歩みを進めるふたり。
高鳴る鼓動を意識したまま、初音は淡い一目惚れをした。
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