第21話 しばらく
そのまま、なんとなく授業が始まった。不穏な空気を含みつつ、いつもの日常が繰り返され始めた。
どのクラスに行っても、生徒たちがソワソワしていた。すでに
……
そこまではいい。学校で事件が起きたらザワザワするのはよくわかる。
でも見逃せない意見もあるのだ。
「やっぱり
多くの人が
……
少し……想定外だった。まさかここまで
自分のクラス、他のクラス……生徒から当時の情報を仕入れていた。その姿はまるで物語の中に登場する探偵みたいで、場違いにもカッコいいと思った。
多くの人が彼方さんを疑う中でも、
「
「全部わかった。犯人も動機も……証拠もある」……そこまで……? 「あとは……その証拠を突きつけるだけ。学校が終わり次第、警察に行くつもり」
……
……
「だ、誰が犯人なの……?」
「……」
「……?」
「犯人から狙われないとも限らないから」
真相にたどり着いた探偵は邪魔でしかない。犯人にとっては。
「だ、大丈夫……僕が守るから」
「……ありがとう」
「……?」
「……私……まだ、前の恋を引きずってる。新しい恋をすることは、しばらくはできないと思う」
「え……あ……」
こうして高校生の恋が1つ散った。まぁ後腐れなく直接フラレたほうが傷は浅いかもしれない。叶わない未練を抱き続けるよりも。
「で、でも……諦めたくはないから……」
「……それは構わないけれど……」
「ありがとう」まだ彼は諦めていないようだ。「いつか……いつか振り向かせて見せる」
ポカンとした表情を浮かべる
「さっき
「……うん……」
「しばらく、って……どれくらいかな……?」
「……どうだろう……それは時と場合によるとしか……」人によっても異なるだろう。「明日かもしれないし、明後日かもしれない。来年かもしれないし……数十年後かもしれない」
訪れない可能性だってあるのだろう。
それを聞いて
「じゃあ……その時に僕が一番近いところにいれば……振り向いてくれる可能性があるってことだよね」
「そうだね……いつまでも、後ろばっかり見ていても始まらないよね……」
過去のことにばかり囚われていては前に進めない。
そんなことは
それから
「それで……犯人は誰なの?」
「……誰にも言わないでね」
……
ついに
「鍵を施錠してから私が教室に入るまで、誰も鍵を開けていない。ならば犯行が可能なのは2人だけ」2人……「1人は私。だけど……もう1人犯行が可能な人がいるハズ」
「……まさか……」
「そう」
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