第19話 好きなんですよ
「教室の中は密室でした。扉の鍵も、窓の鍵も施錠されていました」
「それは間違いないよ。私も確認したからね」前日の夜に
この事実から考えられることは、やはり
「……
美少女が真剣な表情をしているのは絵になるが……
「……どう? なにかわかった?」
「……」
「……恨まれてた……って、そんなわけないか……」だって
一瞬、
それから
「とりあえず……まだ情報が足りません。どれだけ考えても推測の域を出ませんからね」その物言いだと、仮説はあるようだった。「明日から学校が再開されるんですよね?」
「予定通りに行けば、そうだね」
「……では……情報収集が必要なようですね……」
「情報収集? 犯行時刻は夜中でしょ? 生徒に聞いたって意味ないんじゃない?」
「好きなんですよ、無意味なこと」
はぐらかされた気がした。
ならばそれを利用していこう。
「じゃあさ……無意味な会話しようよ。なんの意味もない世間話を」どうせ手がかりは今この場にはないのだ。「最近あった嬉しいことは?」
「……終了したと思ってたシリーズの最新刊が、突然出版されたことです」
「なるほど……じゃあ、悲しかったことは?」
「……前の校長先生のことが結構好きだったんですけど……異動になっちゃいました」
人間には得手不得手がある。人間関係に対しても同じだ。苦手な人間もいれば得意な人間もいる。それだけ。
「じゃあ……好きな人とかいるの?」
「……それは恋愛感情として、ですか?」
「もちろん」
高校生なら恋愛の1つや2つするだろう。
「……1年生の頃、いましたよ。憧れの先輩だったんですけど……」
「あ……ごめんなさい……」亡くなったのか……「無神経だったね……」
「いえ……大丈夫ですよ」
あんまり大丈夫そうには見えないけれど。とはいえ軽々しく踏み込める話題じゃない。
「じゃあ……えっと。クラスで仲の良い友達は?」
「……今のクラスにはいませんね。そもそも私の友達って、
「
「はい。ひょんなことから仲良くなりまして」
……どうやって仲良くなったのだろう……この
「今のクラスにも友達、作ろうよ」そこで盛大に冗談を言ってみる。「
笑いどころのつもりだったのだが、
「……」冷めた目で見られた。「……何度も言いますけど……私は――」
「頑固だなぁ……」呆れ果てるほどには頑固だ。「まぁ……いつかあなたもクラスの仲間になれるよ。心配しなくても大丈夫」
……
本当に頑固な生徒だ。教師から見れば問題児である。
……
やはり生徒の問題は、生徒が解決したほうが良いのだろうか?
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