蕃先生 その1
第8話 良い筋肉ですなぁ
―――――――――
職員室にはタバコの匂いが充満していた。一応職員室は禁煙なのだが、誰もそのルールを守っていない。嘆かわしいことである。
「
教員である
はて……この教師の名前は何だったか。同じ職場で働く教員のはずだが、どうにも名前が覚えられない。
「相変わらず、良い筋肉ですなぁ……」同僚教員は
「……家で自重トレーニングしてるだけですよ……」ジムに行く時間的余裕はない。「……知ってますか? 最近は同性同士でもセクハラになるんですよ」
「おっと、それは困った」同僚教員は肩をすくめて見せる。全く反省していなようだった。「いやいや……
「……どういうことですか?」
「
「……」ため息をつきそうになる。「うちのクラスのみんなは、全員が素晴らしい生徒ですよ。悪く言うことは許しません」
「おっと……怖い怖い」怖がっているようには見えない。「まったく
嫌われていたら悲しいな。
「……生徒とは友達のように接するように心がけていますよ」
「おや……私とも友達みたいに付き合ってくれない?」
「……あくまでも仕事仲間でしょう?」
「冷たいなぁ……」
冷たくはない。あくまでも教員は同僚でしかないのだ。
「まぁ、あんまり気負いすぎるなよ」同僚教員は
「……ご忠告……ありがとうございます」
そんな会話を終えて、同僚教員は自分の机に戻っていった。
ふと気がつくと、
缶コーヒーを飲むと、自分が水分不足であったことを自覚した。時計を見てみると、いつの間にか17時過ぎになっている。どうやら仕事に熱中しすぎて時間を忘れていたようだ。
同僚教員の言う通り、努力してばかりでは倒れてしまう。ここは少し休憩するとしよう。
缶コーヒーをゆっくり飲みながら、
……
……他の教員からすれば、自分も問題児に含まれるのかもしれないな……そんなことを
しかし彼ら彼女らも、直接接してみれば普通の高校生だ。こちらが友達として接したら、ちゃんと彼らは好意を持って接してくれることが多い。
……
そんな中でも孤立している生徒はいる。それが
教師として孤立を見逃すわけにはいかない。彼女にはちょっとした恩もあるし、なんとかクラスに溶け込めるようにしなければ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。