第4話 天使様
人間と友達になるのは比較的に簡単だ。『友達になりましょう』と言えば、大抵の相手は照れながら『はい』と答えてくれる。
その後さらに仲良くなれるかは相性次第になるが、とにかく友達だと名乗ることは難しくない。
でも中には……その取っ掛かりすらつかめない人物がいるのだ。会話はしてくれるのだけれど、一定の距離感を置かれることがある。
そんな相手が
「何度も友達になろうって話しかけてるんだけど……何度も断られちゃうんだよね。なんでだろう」
「そういう人もいるんだよ
「それはそうかもしれないけれど……」
「でも私は
「なんで
「それは……」
ハッキリ言って、
彼女に憧れるきっかけは数か月前にある。
☆
春にしては暑い日だった。まさか夏でもないのにこんなにも暑い日が来るとは想像もしていなかった。
日差しも強かった。雲一つない晴天だった。風もなくて、ただただ
新しい学校の周辺の地理を確認するために散歩に出たのはいいが、
今にして思えば明らかに熱中症だった。まだ春で暑さに警戒していなかった
なんとか家に帰ろうと歩を進めるが、体が異様に重い。降り注ぐ太陽の光が恨めしい。春からこの調子では夏場が思いやられる。
これはダメだ。まずは近くのコンビニにでも入って体力を回復させなければならない。
そう思ったときには遅かった。
「……あれ……?」
気がつけば
助けて。死にたくない。新しい学校での青春が私を待っているのだ。こんなところで死んでいられない。
想いとは裏腹に、
自分だってそうする、と
このまま助けがなければ自分は死ぬのかもしれない。ああ……思えばずいぶんと長く生きたものだ。もっと早く死ぬと自分では思っていた。
これで人生も終わりか……
「――」
遠くから声が聞こえた気がした。いや、それは意識が遠ざかっている
目を開けると、眼の前に天使がいた……と
返事をしようとするが、声が出ない。
そのあたりで
☆
「それで……その人が近くのコンビニに連れて行ってくれて、救急車を呼んでくれたみたい」それが数ヶ月前の思い出。「もう少し救急車を呼ぶのが遅かったら死んでたかもってお医者さんに言われたから……その人は命の恩人なんだ」
「それが
「おそらく……」
「ずいぶん曖昧だね」
「……本人には確認してないから……病院でも名乗らなかったらしいし」だから確証はないのだ。「でも……
自分のことを助けてくれた天使様だ。忘れるわけがない。
「ふーん……」
「そんなことないよ」ついムキになってしまった。「困ってる人は見過ごせないタイプだと思う」
「じゃあなんで
ぐうの音も出ない反論だった。たしかに
……
とにかく……
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