第51話 金を回収しに行こう

薄暗い路地、平時なら絶対に近寄らない町のはずれから続く薄汚い路地裏。そんなところを、気配を消してくまなく調査する。どうせ、こういった小さな町でも元締めと呼ばれる、親玉が存在するんだ。

面倒だから、その親玉から順番に下側に潰していこう。


「子供相手に暴力を振るう奴らなんだ、別に手加減なんて要らいなよね?」


だって、君たちは同胞相手に情け容赦なく、その力を振るうことができる者なのだから。僕が同じようにしても、問題ないでしょ。

だから、せめて静かに血の海をつくってくれ。


「さて、その為にいろんな雑務を熟しますか」


人の配置は無理だからね。この抜け道を適当に潰して、何かあった時には諸共殺せるようにしておこう。






太陽が沈み、月が世界を支配する夜。まん丸満月が、少しだけ明るく世界を黄色く彩る。既に町中の灯は失われてしまい、悲しいくらいの静寂が訪れている。

そんな世界の一角で、今日も騒がしい場所が一つだけ存在する。そこは、この町の悪の巣窟。領主からや町長からも見放された、町のゴミだめ。

そんな場所で開かれるパーティーを、僕は主催していた。


「ひぃぃぃ、たっ、頼むっ!こ、殺さないでくれ!」

「か、金なら返すっ!返すからぁぁぁ!」

「くっ、来るなぁ!ひぃぅ!くるなぁぁあああ!!」

「いやだ、い、いやだっ!死にたくねぇぇぇぇぇぇ!!」

「ゆ、許してくれよ。あのガキから奪った金は、ほらっ!」

「お、俺は関係ねぇだろっ!見逃してくれ!」


パーティーはやり、こうでなくてはならない。楽しいかどうかは別として、華やかで賑やかでなければ。この雑魚どもは良い感じに、にぎやかにしてくれる。

逃げていく男たちを、手当たり次第に殺す。最高なのは、バラバラ死体だからなぁ。順番も何も関係ないでしょ。


「た、たのむっ!殺さないでくれぇぇ」

「じゃあ、騒ぐな、カス」

「わっ、わかった!わかったから、切らないでくれぇぇぇ!!」

「黙れって言ってんだろ?」

「っ!?」


息をのむだけの男の表皮を切る。涙を流して失禁しながらも、声を上げまいと必死に下唇を噛んで我慢している。


「おお、えらい、えらい」

「んぅ、ぅううぅうんんんんんーーー!!」


おお、面白い。頑張るねぇ。


「じゃあ、死んでね?」

「はぁ?」


惚けている顔をしたまま、その首を跳ねる。どこかに飛んで行った首は、転がって行くと周りにいた敵の足元に転がって行った。


「て、てんめぇ!やりやがったな」

「知らないさ、君たちだって似たようなことはしているだろ?ほら、、騒げ、わめけ、助けを呼べーー!!」

「くっそぉぉぉぉぉぉぉぉ」

「あっははははははは」


高笑いと共に、血飛沫を浴びる。あはは、どんどん町が、血であふれていくなぁ!

なます切りにして遊んでも叫び続けてくれる敵は、ありがたい。新しい仲間が、急いで駆けつけてくれるからね。その敵が首を切られて、噴出した血液があたり一面を赤く染めあがる。この成果で、周囲が赤く染まるから華やかになってくれる。


「素晴らしい」


いやー、ベットリして時折赤黒いものが出て来るから面倒だけど。綺麗な赤いバラを、僕程度の人間はキレイに用意できないしな。適当にゴミ掃除をして、赤く染まるのならよい。


「おい、金はどこにある?」

「か、金は俺たちが持ってるわけじゃねぇんだ」

「そうか」


金のありかを知らない男は、殺してしまおう。さっさと首を跳ねて、新しい噴水を構築だ。これでまた、新しい赤いバラが咲いたなぁ。


まあ、匂いがきつくていやだけど。良いことないな。


「「「「ぎゃぁぁぁ~~~!!」」」」


夜中に男たちの悲鳴が響き渡った。



適当に敵を殺しまわるのでは、意味がない。大事なのは敵に恐怖心を与えつつも、適度にこちらが時間を浪費すること。トップには二つの種類の人間がいて、危険がせった瞬間に逃げる人間と、立ち向かう人間だ。今回で言えば、立ち向かう側なのだ。

逃げる側の人間なのは、裏のトップではなく町長サイド。なので、ここでの争いを連絡されると面倒だけど、今回に関しては問題ない。


伝令に走った雑魚どもは、通りすがりで削除しているのだから。通信用の魔道具もあるらしいけど、それに関しては僕の魔力でジャミングしている。大丈夫。


「さて、乗り込みますか」


裏路地で一番小さな家。表から見るだけでは、まさかここが相手のアジトであるとは思うまい。ぱっと見では普通の一件家で、表の入り口が少し大きいくらいしか特徴がない。

まぁ、幾つか見た目からして変な建物がいくつかあるからな。多分、地下回りで抜け出せる場所なんだろうけど。


「ここからは、最速で攻略していくか」


いくつもの抜け穴と抜け道があることは、既に把握済みだ。そして、僕から遠くに存在する抜け道は、既に封鎖済みだ。もしも実力者を連れていた場合でも、問題がないようにしてある。


壁が破壊されたら、爆発して知らせるようになっているのだから。


「さて、金はどこに眠ってるかなぁ」


僕は、一軒家の表面を吹き飛ばして、地下の入り口からゆっくりと地下に侵入した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る