第46話 依頼人と合流してみた
依頼を受けた僕は早速帝都から大きく離れた町まで、全力ダッシュで移動した。もちろん、帝都の出入り口の門では止められたけど、正式な依頼書を見せたら大人しく引っ込んだ。聞き耳を立てたら、ラナーを呼び出そうとしていたので速攻で逃げた。
問題はない。大丈夫。
うん、どうせ何かあったら僕のとこまでかってに来るでしょ。
「いやー、久しぶりに人が全くいない土地だね」
帝都は過ごしやすくていいんだけど、いかんせん人口密度がね。王都ですら、人が多いなと感じていたのに。人がいないからこそ、心の解放感が違うんだよなぁ。
いや、もっとみんな孤独に生きてみるべきなのかもしれないね。
大小さまざまな町がいくつかあるけど、その全てをスルーして僕は一直線に目的の町まで移動する。普通の人が馬車で10日ほどの道のりらしいが、全力で走れば三日程度の行程だ。まぁ、今回はひたすらに歩き続けるので、7日で到着する予定にしている。
多分、僕の移動を聞きつけたラナーが先に到着してるんじゃないかな。あの子、僕がゆっくり移動しているとは、考えなさそうだし。道のダブりさえ起こさなければ、多分大丈夫。
「今回受けた依頼内容も護衛依頼だけど、ちゃんと読んでないんだよなぁ。塩漬けされてたっぽいから、手に取ってみたけど。場所と報酬、条件しか見なかったわ」
休憩している草原で、一息入れながら契約したときに貰った依頼書を見直す。カバンの中で折れ曲がってしまっているが、まぁ読むだけなら問題ない。
「護衛依頼で、依頼者の年齢は10歳。まぁ、ここまでは良いとして………。なるほど、病気の母親に効く薬草の採取か。それで?その薬草は……………ん?」
ちょっと待て、これは良いのか?これ、明らかにDランクの依頼じゃないだろ。報酬限度額で、Dランク分類されてるのか?
この場所、絶対に普通のDランクは死ぬと思うけど。いや、ギルドが行けるって判断してるのなら、大丈夫だとは思うけど。
「まさか、ダリアの渓谷に行くことになるとはな」
目的地の町から、徒歩で一日。その場所には、下が全く見えない程に深く険しい渓谷が広がっていると聞いている。そして、そこに生息する魔物は最低でもダンジョン20階層相当。つまり、CランクどころかBランクレベルの実力がなければ、ソロで護衛するような任務は無理だ。
「さて、この護衛任務。なんの裏がある事やら」
怪訝な表情を浮かべつつ、今の僕にできることは何もないので、ひとまず行くことにした。まぁ、町について実際に依頼人と合流すれば何とかなるでしょ。
まぁ、10歳児だと書かれているので、少し心もとないけど。
「あの、貴方が冒険者さんですか?」
え、この子本当に10歳?
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