第41話

「工藤くん。いよいよ明日ですね」


夜の校長室。谷川と工藤がいた。


「そうですね。こっちは準備完了です。明日持って来ます」


「よし。わかった」


「所で、明楽はどこに収容しますか?」


工藤は疑問に思った。


「この部屋の裏に、監禁できる場所があります。皆にバレることはありません。万が一暴れたとしても、脱出は不可能だと思います。龍の姿にならない限り…」


「なるほど」


「まぁ、暴れたり、龍になった所でレイが抑えてくれればいいんですがね」


谷川はレイを見たが、丸くなって眠っていた。


「明日は学校自体休みでよかったですね。生徒たちに見られなくて済む」


「俺は出勤ですが…」


「成功したら、休日出勤で弾みますよ」


「よろしくお願いします」


工藤は部屋から出ようとした。


「所で工藤くん」


谷川が止めた。


「なんでしょう?」


工藤は谷川の方に振り向いた。


「薬は、ほどほどにですよ」


工藤は口角をあげた。


「わかってますよ」


「では、明日。よろしくお願いします」


「はい」


工藤は部屋を出て行った。






夢を見た。


「明楽…」


明楽は暗闇を走っていた。誰かに追われていた。


「やだ…」


ヘトヘトになりながらも走った。


「見つけた…」


黒い手が明楽を捕まえた。


「えっ…」


明楽は暗闇に包まれた。明楽は悲鳴をあげた。それと同時に目が覚めた。


「はぁ…はぁ…」


汗が酷い。


「明楽…?大丈夫か?」


クロも目が覚めた。


「うん…怖い夢みた」


また布団に入った。クロは明楽を抱きしめ、頭を撫でた。


「大丈夫だ。俺がいる」


「うん…」


しかし怖くて眠れなかった。


「クロ。眠れない…」


メガネをかけ、窓を見た。


「もう朝か。朝イチに稽古でもするか?付き合うぞ」


「うん。やる」


二人は起き上がり、お互いの武器を手に取った。


「朝から激しくするか!」


「いいよ!」


稽古場につき、武器を構えた。


「…行くぞ」


「うん」


静寂が走ると、同時にクロと明楽はぶつかった。激しく金属がぶつかり合う音が稽古場に響いた。


「いい反応だ」


お互い一旦距離を取り、またぶつかり合ったと思ったら、激しい斬り合いになった。


「全部かわしてみせる!」


明楽は加速して行った。


「ほう…やるな」


クロも加速していき、お互い譲らなかった。不意にクロは明楽を突き飛ばした。


「っ!?」


一瞬でポケットからワイヤーを出し、手甲鉤に絡ませ先端を口に咥えた。


「かわせれるかな?」


明楽にめがけて手甲鉤に絡まったワイヤーが無造作に伸びて来た。まるで蜘蛛の巣のようだった。


「いける」


明楽は二本の刀を握り直し、明楽は回転しながらワイヤーを切り裂いた。


「ほう…」


そのままクロにめがけて刀を突きに行った。クロも手甲鉤で受け止めたが、威力が強い。耐え切れずに弾き飛ばされた。


「ぐぅ…」


手甲鉤を地面に刺し、威力を弱め着地した。


「こんなに強くなったんだな」


明楽は構えた。


「えぇ。クロとウルフさんのおかげよ」


クロも手甲鉤を構えた。


「もう一度、ぶつかり合うか」


一瞬の静寂が走った後、また二人はぶつかった。その衝撃で城が一瞬揺れた。




「んグァ!」


ウルフが揺れで目が覚めた。


「な…なんなの?」


寝ている時に垂れていたヨダレを拭き、部屋を出た。クロの部屋へ向い、ドアを開けた。


「クロ、明楽ちゃん。イチャイチャしすぎじゃ…」


しかし誰もいない。


「ん?」


ウルフは稽古場へ向かった。そこには激しく斬り合いの真っ最中の二人の姿があった。


「朝から元気ね…」


大きなあくびをした。


「さて、二度寝しよ…」


そう言い、部屋に戻るとベットにダイブし布団に潜った。


「寝よ寝よ…」


しかしまた城が揺れた。


「もう!寝れないじゃないの!」


鞭を片手に、また稽古場へ向かった。


「あんたたち。いいかげんにしなさい」


しかし二人には届いていなかった。ウルフは鞭を構えた。


「面倒だから…」


鞭の先端に魔法をかけ、思いっきり鞭を振るった。鞭の先端が蛇のように動き、クロと明楽の片方の足に絡まった。


「ん!?」


「あっ…」


気がつく前に、ウルフは二人を引っ張った。その衝撃で二人は倒れた。


「イッ…」


「あたたた…」


そこへウルフが近づいた。


「グットモーニング」


不適な笑みを浮かべていた。


「ウルフさん…おはようございます…」


「ウルフ。いきなり鞭は…」


「あんたたちね!城を破壊する気!?城が揺れてたのよ!」


怒られてしまった。その後、ウルフの前で正座をさせられた。


「いい?稽古はいいわよ。強くなれるし鍛えれる。だけど、城が壊れたら何もできなくなるでしょ!」


「はい…」


明楽はしゅんとしていた。


「クロ!返事ない!」


「も…申し訳ありません…」


ウルフからの説教で稽古の気持ちがどこか行ってしまった。


「全く。さて、クロ。さっき兵士があなたに用があるって言ってたわ。ここの片付けは、私と明楽ちゃんでするから、行ってきて」


「はい…」


渋々クロは稽古場を後にした。


「明楽ちゃん。片付け手伝うから、さっさと片付けよ?」


「はい…」


明楽はウルフの手を借り、立ち上がった。片付けを手短に終えた。


「ふぅ…」


「明楽ちゃん。お疲れ」


「ウルフさん。汗で冷えそうなので、シャワー浴びて来ますね」


「うん。風邪ひかないでね」


明楽は一人、シャワー室へ向かった。

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