第30話

「終わった〜」


明楽は伸びていた。


「お疲れ様」


クロは明楽にお茶が入ったマグカップを渡した。


「綺麗になったな」


明楽は刀を照らした。


「すごくいい…」


ふと窓を見ると、まだ外は明るかった。


「今何時?」


「昼頃だな。何かしたいか?」


明楽は少し悩んだ。


「うーん。お昼寝…したいな。でも、その前にお風呂も入りたいな。手が汚れたし、汗もかいた」


「本当にお昼寝好きだよな。まぁ、風呂入ってスッキリしてからにしよう。今日はオフの日だ。体を休めよう」


道具を片付け、着替えを準備し風呂へ向かった。クロは服を脱いだ。


「相変わらず…すごい傷跡だね」


クロの背中の傷が目に入った。


「まぁな。でも、傷が突っ張るとかは無いのが幸いだ。ここまで深く切られてると後遺症もあるかもだが、それも無い。幸いだよ」


明楽も服を脱ぎ、二人で浴槽に浸かった。


「きもちいい…」


「あぁ。疲れが飛ぶ」


リラックスし、互いに体を洗った。


「スッキリ」


「こんな時間も大事だな」


シャワーを浴び、タオルで体を拭いた。長い髪を束ね、着替えた。


「髪綺麗にしていいか?」


ブラシを片手にクロが準備していた。


「うん。お願い」


椅子に座り、クロに髪を綺麗しにてもらった。


「終わったぞ」


明楽は体を伸ばし、ベットにダイブした。


「ふぅー」


クロはそっとベットに座った。


「可愛いな」


「え…」


明楽は驚いた。


「いいじゃないか。思ったこと言っただけだし」


「恥ずかしい…」


クロは明楽の頭を撫でた。


「明楽。今日はゆっくり休め。俺も一緒に休む」


「うん。お休み」


クロは明楽に布団を掛け、自分も布団に入った。


「お休み。夕飯は普通に食べような」


「うん」


二人は眠った。




「あぁ…今日は白夜なのね。寒いところ限定なのにここでは体験できるのいいわー」


ウルフは外に出ていた。


「ウルフさん。今の所異常なしです。今日は穏やかですね」


一人の兵士がウルフに喋り掛けた。


「まぁね。あの二人も休んでるし。今日は白夜よ。寝る時間気をつけなさいよ」


「はい。失礼します」


兵士は走り去っていった。


「私も休もうかな」


体を伸ばしながら、自分の部屋へ向かった。ふと、クロの部屋をのぞいた。


「二人とも、休んでるわね」


寝息が聞こえると、ウルフは安心し自分の部屋へ戻った。




「うぅん…」


明楽は目を擦りながら起きた。


「あれ?まだ明るい…」


クロも目を覚まし、眼鏡をかけた。


「うん?明るい…」


クロは窓の方を歩いた。


「ほう…今日は白夜か」


「白夜?」


明楽も窓の方を歩いた。


「知らないのか?太陽が沈まないんだ。夜も」


「三日月龍にしたら死活問題…」


「…そうか。そうなるのか」


「うん」


「でも、明楽はこうして見れるんだ」


「確かに。人間も案外悪く無いのかな?」


明楽は外を眺めていた。


「不思議…」


明楽はうっとりとしていた。


「さ、夕飯にするか」


「うん」


明楽とクロはキッチンに向かい、調理した。


「今日はどうする?」


「うーん。ビーフシチューがいいな」


「好きだな。よし。作るか」


二人で調理し、盛り付けた。


「さて、食べよう」


明楽は一口食べた。


「おいしい…」


「よかったな」


クロは明楽の笑顔を見てふと思い出した。


「明楽さん…」


クロは小声でつぶやいた。


「どうした?」


「いや。なんでもない。俺も食べる」


クロもスプーンを進めた。


「うまい」


あっという間に平らげ、食後のお茶を飲んだ。


「美味しかった」


「よかった」


明楽はお茶を一口飲んだ。


「まだ明るいのね」


「今日は寝にくいと思うが…」


「ごめん。今日は疲れてるから眠れそう」


「そうか。よし、片付けするか」


食器を片付け、明楽はベットに座った。


「不思議。ずっと夕日みたい」


クロも明楽の横に座った。


「だな。こうして誰かと一緒に白夜を見るの初めてだな」


「そうなんだ」


しばらく無言で二人は外を眺めた。


「そろそろ寝ようかな」


明楽は大きなあくびをした。明楽を布団に入れ、クロも布団に入った。


「おやすみ。明楽」


「おやすみ。クロ」

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