第25話

「ほう…」


谷川と工藤は校長室で奪った資料を読んでいた。


「夜は静かでいいですね。資料を読むのにはかどります」


「見た限り…かなり難しい?」


「興味深いところはあるんですが、成功例がない」


谷川は悩んだ。


「実験的に、誰かを送るのも手だが…場所の特定すらよくわからんな…」


「生きてる意味のない人間はいくらでも居ますが、一方通行だと情報収集もできん」


「でも、一回くらいはありだと思うんですがね」


工藤はポケットから缶コーヒーを出し、飲んだ。


「まぁ、今日行ったばかりだし。資料も山のようにある。焦らずに手がかりを探しましょう。ただ、工藤君」


「なんでしょうか?」


「人は用意しておいてください。どうでもいい人間だけで十分です」


「わかりました。もう少し読んでいてもいいですか?コーヒー飲んだので、眠気がなくなったので」


「いいですよ。私も、コーヒー淹れようかな」


「校長先生の分も買ってきましたよ」


工藤はポケットから缶コーヒーを出した。


「ありがとう」


谷川は缶コーヒーを受け取り、飲んだ。


「久しぶりだ。缶コーヒーは…」


「そういえば。レイは?」


工藤は谷川の机を見た。


「あぁ。レイなら家で寝ています。最近ついてこないんですよ」


「そうなんですか」


「さて。資料はたくさんあるので、今日はできるところまで読んでいきましょう」


工藤と谷川は資料を読み漁った。






“気をつけて…”


“では、失礼します”


クロが誰かと喋ってる声が聞こえた。


「クロ…?」


辺りを見回しても、クロはいなかった。すると、扉が開きクロが入ってきた。


「起きたか」


「おはよ…」


「朝食できてるぞ」


明楽はゆっくりと起き上がった。


「イタタ…」


「どうした?」


「昨日の、激しかったかな…」


「明楽もまだまだってとこだな」


明楽は朝食を食べた。


「クロー」


ウルフが入ってきた。


「見送ったのね」


「あぁ。一応カラスに跡を付けてと飛ばした。万が一のことだ」


クロは朝のお茶を飲んだ。


「明楽ちゃん。今日の稽古一緒にしない?」


明楽はパンを食べていた。


「いいですよ?何やるんですか?」


「狙撃対決しよー」


「いいですね!」


クロはお茶を飲みながら、本を読んだ。


「俺は不参加だ」


「クロって下手だもんねー」


ウルフが挑発してきた。


「練習しても上達しないから、ある意味才能なしだ。自覚してる」


「明楽ちゃん。ご飯食べたら待ってるからね」


「わかりました」


ウルフが部屋から出て行った。


「明楽」


「なに?」


「頑張れよ」


「うん」


明楽は食器を片付けた。




「明楽ちゃん。やるねー」


ウルフは銃の照準を合わせた。


「ウルフさんも、すごいですよ」


二人はマトの中央に全ての弾丸を当てていた。


「じゃぁ、次は連射で」


連射の銃を使っても、二人は互角の差だった。


「やるねー」


「負けてたまるか!」


あまりの撃ち合いに、横で狙撃の練習をしていた兵士達が怯えるほどだった。


「すごい…」


「ヒェ…」


皆固唾を飲んでいた。しばらくして、結果発表をした。


「うそ!」


「本当に!?」


明楽とウルフは的を見て驚いた。なんと同点だったのだ。


「こんなことあるんだ…」


すると、クロが入ってきた。


「お前らどうだって…」


クロも的を見て驚いた。


「どんだけムキになってるんだよ…」


二人を見ると、苦笑いをしていた。


「まぁ、汗を流して来い。明楽はその後、少し勉強ができる時間があるから一緒にやろうか」


「わかった」


「明楽ちゃん。シャワー浴びてこよ」


「行きましょ」


明楽とウルフはシャワーを浴びに行った。


「やれやれ」


そう言うとクロは銃を手に取り、的に向かって放ったが。


「やっぱりそれるんだよな」


見ると、的の外に命中していた。

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