第14話

目を覚ますと、部屋の天井が入った。


「夢か…でも…誰だったんだろ」


ゆっくりと体を起こし、髪を縛り部屋を出た。廊下を歩くとウルフの部屋からイビキが聞こえてきた。


「ウルフさん…昨日たくさん飲んでたから…」


クロが寝ている部屋のドアをノックした。


 …明楽か?入っていいぞ。


明楽はドアを開けた。


「おはよう。どうした?」


「おはようございます。変な夢見てしまって。目が覚めてしまいました。男の人と、三日月龍がいたんですよね」


クロは驚いた。


「どんな人だった?」


「うーん。あんまり覚えてない。ボヤけてて…」


「そうか」


明楽は椅子に座った。


「傷はどう?」


「昨日よか大丈夫だ。今日は自分の部屋に戻るよ。ごめんな」


「昨日、ウルフさんと女子会してました。すごく楽しかったです」


「それはいいことだ」


「あと…やっぱり一人で寝るのが寂しいです。恥ずかしいけど…」


明楽は顔を赤くした。


「別にいいんじゃないか?明楽はナイトと一緒に寝てたんだ。一人で寝ることに慣れてないし。俺と寝ることで明楽が落ち着いて寝てるんだと思うと、嬉しいよ」


「クロは嫌なことしないってわかってるし。今日からまた一緒に寝られるの、嬉しいな」


すると、ウルフが入ってきた。


「おはよ〜」


大きなあくびをしていた。


「おはよう」


「おはようございます。ウルフさん」


「傷どう?」


「痛みが治ってる。そこまで長くないナイフだったからよかった」


クロはベットから降り、フードを羽織った。


「どこ行くの?」


「部屋だ。あと、ちょっと出かける」


「え…」


明楽は心配そうに言った。


「大丈夫。心配するな。今日の稽古はウルフに任せるぞ」


「了解〜」


「明楽。夕方までに戻る。絶対に」


クロは明楽の肩に手を置いた。


「わかった」


クロは部屋へ行った。


「さてと、明楽ちゃんは私と稽古しようか!その前に、朝ごはん食べよう!」


「うん!」


ウルフと明楽は朝ごはんを食べ、稽古場へ行った。


「今日は銃を使ってみようと思うの」


ウルフはいろんな形の銃を出してきた。


「使い方も教えるから。初めてだよね?」


「はい」


「私はたまに銃使うんだけど、クロは命中率ゼロだから、無理なの。明楽ちゃんはどうかな?」


ウルフは明楽に銃の操作を教え、的を用意した。


「なるべく真ん中命中で」


明楽は数発打った。すると、どれも真ん中に命中した。


「うそ!」


「え…まじ…」


二人で唖然としていた。


「明楽ちゃん。センスありすぎ〜」


「ま…まぐれですよ!」


ウルフは別の銃を明楽に渡し、明楽は的に銃を放った。


「まぐれじゃないでしょ!」


全部真ん中に命中。


「あ…はは…」


とうとう城にある銃を全て使いこなしていた。


「明楽ちゃん…すごい…」


ウルフはびっくりを通り越していた。


「でも、私は刀が使いやすいです。銃だと、弾切れの心配があるし」


「なるほど。でも、二刀流もできるわよ。レパートリーが増えるのはいいことよ。でも、明楽ちゃんが刀でやるなら、それでも全然いいと思う。極めるはいいこと!」


「刀で強くなりたいです」


「わかった。でも、もうお昼だから切り上げよう」


銃を片付け、ウルフは明楽と一緒に昼食を作った。






「ふぅ。ここか」


クロはこの世の世界に来ていた。肩にはカラスが止まっていた。


「まずは一人目…」


とある廃墟の目の前にいた。カラスはクロの耳元でクチバシを動かした。


「ただの逸れ者…全部で四人か…クソが…」


カラスは飛んで行った。気配を隠しながら、廃墟へ入っていった。ジメジメしており、カビの匂いが広がっていた。


「ん…」


人の気配を感じた。クロは身を隠した。


…でさ。


報酬は…


最高だったよ…


クロは声のする方へ慎重に歩いた。見ると、男が三人いた。手甲鉤に手を掛け、深い呼吸をした。クロは影の如く、男たちの襲いかかった。


「なんだ!」


男たちは武器を手に取ったが遅かった。


「遅すぎる!」


クロは男たちの四肢を切り刻んだ。


「ついでにだ…」


二人の男の股間を手甲鉤で刺した。あたりに断末魔が響いた。


「あぁ…」


四肢を切られたもう一人の男が逃げようにも逃げられない。声を上げるしかなかった。


「お前と話がしたい。出血もあるから手短にだ」


クロは手甲鉤を男に向けた。


「あいつらはもう死ぬ。その前に、お前ら何をやったかわかってるよな。悪いことしすぎて、何のことかわからないだろう」


男は震えながら答えた。


「すみません…何のことで…」


「お前ら…少女を襲ったな」


クロはそういうと、男は笑顔になった。


「はい…覚えてます…」


「ほう…」


「最高でした!」


クロは思いっきり殴った。男の顔が壊れた。


「この手甲鉤便利でさ。メリケンサックに刃がついてるんだ。殴れるし切れるし。で、居るだろ。ほかに仲間が」


「仲間ではありません…あそこの二人と依頼者と四人で襲いました…」


「依頼者の名前は?」


男は言いにくそうだったが、クロは男に手甲鉤を押し当てた。


「吐け!」


「工藤です!」


クロは男の股間を切り刻んだ。男は声もあげず、泡を吹いた。


「お前ら、まだ息あるだろ。教えておくよ。死んでも苦しむ運命だから。覚悟しておくんだな」


クロは去っていった。




明楽とウルフはクロの部屋でくつろいでいた。すると、雷が鳴った。


「あら?誰か来たのかしら…」


すると、部屋にクロが現れた。


「おかえりなさい」


「あぁ。ただいま」


クロは椅子にドッカリと座った。


「ウルフ。三だ」


「…オッケー」


そういうとウルフは部屋を出た。


「クロ。三?て」


「明楽。その話はしないでほしい。君が辛くなる」


明楽は少し考えた。


「まさか…」


「それ以上は話さない。すまない」


クロは立ち上がり、明楽に近づいた。


「俺が絶対守る。もう、辛い思いはさせないからな」


そう言うと、明楽の頭を撫でた


「クロ…ありがとう…」


「気にするな。さてと、俺はシャワー浴びてくるよ」


クロはシャワー室に入っていった。綺麗に拭いたと思っていたが、服には飛び血が少しついていた。シャワーを浴びながら、クロは思った。


「あいつ…絶対に許さない」


悔しさと憎しみが湧き上がってきた。






何度電話をかけても出なかった。


「おかしいな…」


工藤は首を傾げていた。


「仕方がないか…」


そう言うと、工藤は外に出て車に乗った。


「お金を出せば動いてくれるやつだし、ましてやいい思いもさせたのに、バックれは考えられない」


夜道を走り、廃墟についた。車から出て、廃墟の中へ歩いた。


「いるか?」


大声で呼んだが、応答がない。


「チッ…」


奴らがいたであろう部屋に行くと、もぬけの空だった。


「どう言うこと…ん?」


ライトを照らすと、床や壁に血がついていたが、遺体がない。


「喧嘩か?それとも争い?」


ふと、カラスの羽が落ちていることに気づいた。


「まぁ、古いから入ってくるのか」


何も気にせずに、廃墟を出て車に乗った。工藤は電話をかけた。


「校長。お疲れ様です。工藤です」


“どうしました?”


「すみません。雇った連中がバックれました。奴らのアジトに血痕がありましたが…」


“ほう”


「仲間割れしたんだと思います」


“本当にそうですか?”


「わかりません。ただ…」


“ただ?”


「カラスの羽が落ちていました」


“ふむ…とりあえずわかりました”


電話が切れると、工藤は車を走らせた。

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