第10話 決意の逃走
闇が深くなり、冷たい夜風が頬を打つ。主人公は決断した。ここで戦っても次々と押し寄せる追跡者に勝てる見込みは少ない。相手は組織だてられた何者かであり、一人で全てを相手にするのは無謀だ。この場は一旦引くべきだ。
「逃げるんだ…今はその時だ。」
倒した追跡者を後にし、細い路地裏を一気に駆け抜ける。心臓の鼓動が激しくなり、呼吸が乱れ始めるが、立ち止まるわけにはいかない。暗闇に紛れて、次にどこへ向かうかを考えながら走り続けた。都会の夜景が目に入り、通りの向こう側にはビル群が光り輝いていた。
しかし、ふと背後に気配を感じた。追跡者たちがこちらを探し始めているのだ。彼らの足音や、無線でのやりとりが聞こえてくる。主人公はさらにスピードを上げ、次の行動を考えながら、周りの状況を確認した。
「どこか安全な場所は…」
突然、目の前に小さなバーの灯りが見えた。人が少ないが、内部に隠れるにはうってつけの場所かもしれない。すぐに扉を開けて中に入ると、カウンターには眠そうなバーテンダーが一人だけ立っていた。
「何かお飲みになりますか?」
問いかけられたが、主人公は急いでカウンター席に座り、窓の外を見張った。追跡者たちがバーの前を通り過ぎる音が聞こえる。息を殺して、その場にじっと潜んだ。やがて、足音は遠のき、今夜は一瞬の安堵が訪れた。
「これで、少しは時間が稼げる…」
しかし、これは一時的な逃れに過ぎない。追跡者たちはまたすぐにこちらの行動を察知し、再び追ってくるだろう。しかも、今夜の出来事から、主人公は確信した。背後には強大な陰謀がある。あの謎の電話、そして追跡者たち——これら全てが絡み合った巨大な組織の存在が、確実に背後に潜んでいる。
主人公は静かに立ち上がり、バーを出た。これで全てが終わるわけではない。だが、今夜逃げ延びたことで、次に打つ手を考える時間はできた。まずは、安全な場所で体制を整え、この陰謀の全貌を暴く準備をしなければならない。
「終わらせるためには、真実を突き止めるしかない。」
主人公は心の中で固く決意した。これから先、さらなる戦いが待っているだろう。だが、絶対に負けない。真実にたどり着くまで、諦めることはない。
都会の夜に静かに消えるように、主人公は歩き始めた。そして、その背後で、再び足音が響き始めたことに気づくことはなかった…。
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【読者様へのメッセージ】
ここまで物語にご参加いただき、本当にありがとうございました!あなたの選択が、主人公の運命を決め、物語を形作ってきました。物語は今回で一旦幕を下ろしますが、もし続編を望む声があれば、さらに深く物語を掘り下げていくことも考えています!
次はどんな物語を一緒に作っていけるか、楽しみにしています。またご参加ください!
【完結】「選択の迷宮」 湊 マチ @minatomachi
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