第2話
『おい、とりあえず禁呪の余韻は取り除いたぜ?』
と、俺に話しかけてくるのはフェニックスのライア。
赤と黄金、青色の羽が入り混じった体を揺らしながら彼女は不服そうにぼやく。
『ていうか禁呪を使えるほどの実力があるのは認めるがよー、それを使ったらどうなるか分からないような脳みそのやつを助ける必要はあったのかー?』
「人助けに善悪はないだろ」
『極悪人を切り捨てる事も善行だと思うぜー?』
「……彼女はそこまで悪人では無いはずだ、ただ間が悪かっただけで」
『あーそーかい、ちなみにどんな悪人もそんな風に言い訳すると思うぜ? ていうか、お前はあいつの何を知ってるんだよ?』
「まあ、それなりにぼちぼち」
俺は適当に誤魔化しつつ、飽きたのか巣の方に戻ってうとうとし始めたライアから視線を外す。
さて、彼女は目を覚ましただろうか?
とりあえず彼女が寝ているであろう部屋へと移動して、そしてそこでテレジアが目を覚ましてキョロキョロと周囲を見渡しているのを見つけた。
「起きたんだな」
俺がそのように声をかけるとテレジアはびくりと身を震わせ、それから声のした方を見て俺の存在に気づいた彼女はまた体を震わせた。
「ら、ランド・アンデス……!?」
「おう、そのランド・アンデスさんだが」
「ど、どうして貴方が」
どうしてと言われても、倒れてたから拾ったとしか言えないのだが。
とはいえそれを言うと「捨て猫か私は」とか怒りそうな気がしたのでとりあえず黙っておく事にする。
代わりに「体調の方は大丈夫か?」と尋ねると彼女はそこで不思議そうに自らの身を見下ろした。
「そう、いえば。私、どうして……」
「一応、お前の身体を蝕んでいた禁呪──【ヒュナスの呪い】の余韻はこちらで対処した。今後それでどうにかなるとかはないだろうから安心してくれ」
「は、はい?」
彼女は目を白黒する。
「あ、貴方どうして私が使用した禁呪の事を……! て、ていうか禁呪の影響を取り除いたってどうやって……!」
「あ、うーん」
実はこっそりフェニックスを飼ってるとか言えない。
一応、この世界においてファニックスを飼育する時は様々な許可証が必要だったりと面倒臭いので今の今まで無許可飼育をし続けていた。
バレたらやばい。
ので、適当に「まあ、ぼちぼちと」とはぐらかす事にした。
「ほ、ぼちぼちってそんな簡単になんとか出来るはずが──!」
「とりあえずそこまで叫べるなら体調は大丈夫だろ」
とりあえずこの調子ならば大丈夫そうだ。
そう判断し、俺はひとまず踵を返す事にした。
「ちょっ、どこに?」
「まあ、時間が時間だし」
俺は振り替えずに彼女に告げる。
「とりあえず、ご飯を食べようか」
モブ貴族だけど悪役令嬢が落ちてたので持ち帰る事にした カラスバ @nodoguro
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