第3話 勇者の剣
僕は、鎧をまとった大柄の男が持ってきた神秘的な剣に目を奪われていた。
(これが、勇者の剣か…)
僕は思わず胸を躍らせる。
「佐藤颯太よ、これが勇者の剣だ。」
国王の言葉を聞き、やはりなと思う。
どんな効果があるのかは分からないが、
特に刃物などに詳しくない僕でも
この剣がすごいことだけは分かる。
(これがあるなら僕でも魔王を倒せるかも)
僕に自信を持たせるほど勇者の剣は、
神秘的で物凄い力を感じた。
「佐藤颯太よ、この剣に触れてみよ」
国王の言葉に僕は無言で頷き、
差し出された剣に触れる。
…何も起きなかった。
こういうのって大体何か光ったりとか、
体に力がみなぎったりするものじゃないの?
少し困惑しながら王の顔をみる。
王もまた困惑している様子だった。
「…なぜだ。なぜ…なんだ」
「国王陛下?」
しばらくの沈黙の後、国王が口を開く。
「すまない…佐藤颯太。君は勇者の剣に
選ばれなかったようだ。」
「え…。」
僕は絶句する。
(なんで?どうして?この世界でもまた
何もできないのかよ)
僕が絶望をしている時、
不意におぞましい気配を感じた。
次の瞬間轟音が鳴り響き、
城の天井が崩落する。
天井が崩落し、空が見える。
すると、そこにはおぞましい気配の正体で
あろう者が浮いていた。
困惑しながら国王を見ると、
国王はその者を睨み、国王の近くにいた4人は
国王を守るように武器を構え、立っていた。
「…魔王‼︎」
国王が憎らしそうな顔でおぞましい気配の
正体をみる。
どうやらこいつが魔王のようだ。
(この世界にきたばかりなのに
もう死ぬのかよ、やっぱりこの世界も
ゴミだな)
僕が諦めて涙を流してながら
絶望していたところに魔王が
話しかけてくる。
「貴様が勇者か、時空が歪んだのを
感じてきてみれば…。フッ。
来る必要もなかったようだな」
魔王は僕を一蹴して国王を見る。
「勇者を召喚したようだがこんなやつに
何ができる?笑えるな」
魔王は愉快だと言わんばかりににやける。
「そやつは勇者ではない。
勇者を呼び出すことには失敗したが、
人類はまだ負けてはおらぬ!」
国王が叫ぶ。
次の瞬間、魔王と謎の男が空中で火花を
散らしていた。
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