第2話 異世界
目を開けるとそこには見たことはないはずなのに見慣れている景色が広がっていた。
「は?」
驚きのあまり僕は間抜けな声が出る。
少し落ち着いてから当たりをもう一度周囲を見渡す。
コンビニなどどこにもなく、代わりに
偉そうに豪華なイスに座る冠を被った王様らしき男と、そいつを守るよう槍を構えて立っている奴らが4人いた。
(多分ここって異世界だよな)
僕は異世界に転移したようだ。
そして、今になってようやく自分の体から
痛みが消えていることに気がつく。
顔をつねったりして現実か確かめていると、
王様らしきやつが話しかけて来た。
「よく来た。異界の者よ。」
(異界の者…それって多分僕のことだよな⁉︎)
状況的に見て僕だろう。
そう判断した僕は、その王様らしき人のあいさつに答える。
「ど、どうも」
こういう時にどう返せばいいのだろう。
僕は人とコミュニケーションをとってこなかったことを後悔する。
僕がいろいろ考えている間に王様らしき人は
名乗りと僕をこの世界に召喚した理由を
説明してくれた。
「私はこのローズ王国の国王、
ローズ・クロッカスだ。突然のことで
驚いているかも知れない。私たちは君に
頼みがあって君の世界から君を召喚した」
日本語は通じるようだ。
日本語で話かけられたから大丈夫だとは思っていたがこれでひとまずは安心だ。
だが僕には気になることがあった。
(ローズ王国…僕が好きなRPGゲームの
主人公が住んでいた国の名前。そして
僕が買いに行った続編のゲームにも
出てくる国の名前。もしかしたら何か
関係あるかも。)
考えた末に僕はこの世界のことを探りつつ
結論を出すことにした。
そして本題の頼み…どうなるか分からないが
聞かないことには話が進まない。
しょうがないな、
「あっ、僕の名前は、佐藤颯太です。
それで頼みというのは?」
それなりに上手く話せたことを喜びつつ、
国王の話を聞く。
「佐藤颯太というのか。
頼みというのは魔王の討伐だ。」
(予想はしていたけどやっぱりか。)
「だが装備もなしに魔王の討伐は難しい。
そこで颯太殿には勇者の剣を渡す。それを
使って魔王を倒して欲しい。
最初に金貨を100枚、魔王を討伐した際は、
金貨を1万枚支払おう。
どうか引き受けてくれないだろうか。」
国王はそういい僕に頭を下げる。
国王が頭を下げて頼むぐらいだから、
魔王は相当強く討伐が困難なのだろう。
勇者の剣も性能が気になるがおそらくは
他の人に渡していないことから選ばれた者にしか使えないが、すごい代物であろう。
そしてこの世界での金貨の感覚は不明だが
相当な量だと思う。
それに魔王を討伐しなかったら、
僕も殺されるだろうし、
強くなっておいた方がよいだろう。
「あの…頭をあげてください!
魔王討伐を引き受けます。」
「感謝する。」
そして僕は魔王を討伐することになった。
(それにしても勇者の剣、僕が勇者か、
勇者と言われて悪い気はしないな)
僕はそんな呑気な事を考えていた。
だが僕はまだ重要なことに
気づいていないのである。
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