第3話
「カイは黙ってて!」
カイと呼ばれたスラリとしたスーツの若い男は、誰に見せるでもなく、やれやれのジェスチャーをしてみせる。
「いやいやいや……、ご遺体見つけたら、まず通報でしょう? 第一発見者の現場鑑識なんて前代未聞だぜ。鑑識の人泣いちゃうよ? アーサーも一緒んなって何やってんのさ?」
アーサーの名前に反応してか、シャーロットは素早く振り返って、カイにスマホを突き出す。
「ちょっと! カイ! 言ってやって! アッシュの浮気現場だ! 現行犯!」
「えぇ? 浮気現場て、アーサー、
「こ、……こ、これにはだな、……ふっ、深い理由があってだ……」
「おいおい、アーサー。どういう状況だよ、これ?
「おっ? おぉ! カイか? 助かった! シャーロットを
「いや、無理だろ、それ」
カイが振り返ると、シャーロットは特殊警棒をストラップでぶら下げた手を腰に当てた仁王立ちで、
貧相な若い男は、紫スーツの関係者らしく、オヤジのカタキなどと
「女ー! おまえー! 顔覚えたかんなー! ゼッテー
「やってみなさいよ!」
シャーロットは、若い男の挑発を遮りながら、靴カバー代わりに被せていたシャワーキャップとニトリル手袋を外すと、特殊警棒を振り出して伸ばす。更に、左右に振って風切り音を鳴らすと、フェンシングの
ほう、
「なあ? お前の妹って強いの? フェンシング」
カイが
「……あ? ああ……、そうだな。もう、フルーレじゃ勝てないし、最近は、何か……
アーサーといえば、大学の
そう腹を決めたカイが、巡査に
巡査を
ざわめく巡査達を、カイが再度静止した。
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