#019
――アンがシェルターを出てミント·エンチャンテッドを探そうとしていたとき。
彼女がいた街から少し離れた上空では、連合国軍ファルコンヘッド所属ブレシング·ダルオレンジと、ストリング帝国の将校リョウガ·ワスプホーネット二人の激しい戦いが繰り広げられていた。
だが、リョウガはマシーナリーウイルスの力によって機械化――
「よく持ってるよ、お前」
リョウガは嬉しそうにピックアップブレードの光の刃を振るっている。
対してブレシングはこれをなんとか銃剣タイプのインストガンで捌いていた。
しかし、前だけに気を取られていると、リョウガが操る円形ユニット――RELAY-Gがその体を切り裂こうと凄まじい勢いで襲ってくる。
光を放ちながら回転し、左右から向かってくるRELAY-G。
前方からはブレードで斬りかかってくるリョウガ。
このままではやられる――。
ブレシングがそう思っていると、そこへエヌエーとニコが現れる。
「ブレシングッ! 待ってて今助けるからッ!」
「ダメだエヌエーさんッ! 近づいたら危険だッ!」
ブレシングの言葉など気にせずに、エヌエーはニコを下がらせて背負っていたジェットパックの速度を上げる。
そして構えていた銃剣の先に付いたナイフで、リョウガをブレシングの傍から引き離そうと突き刺す。
「エヌエーって……あのエヌエー·オーガニックかッ!?」
リョウガはその攻撃を避けると、空中で旋回しながら二人から距離を取る。
それからニタァと不気味な笑みを浮かべると、エヌエー向かって口を開いた。
「こいつはラッキーだ! 言葉にするなら嬉しい誤算、棚からボタモチ
「あなた、ワタシを知ってるの?」
「知ってるに決まってるだろ? エヌエー·オーガニックといえば、夫であるブラッドと、連合国軍で唯一と言っていい良識人メディスンらと共に戦い続けてきた悲劇の未亡人ッ! オレがまだガキだった頃から世界のために頑張っている人だって、ノピア将軍からずっと聞かされてるよ」
リョウガは連合国軍は嫌いだが。
先ほど口にしたエヌエーの夫で殉職したブラッドと、軍に身を置きながら上層部に噛みつき続けるメディスン二人、さらに彼女――エヌエーには最大級の敬意を持っていると言う。
「この世界はあんたらがいなかったらもっと酷いものになっていたって、ノピア将軍が言っていたぜ。オレはその三人の中でも、特にあんたのファンなんだよ、エヌエーッ!」
それからリョウガは何故エヌエーが好きなのかを力説した。
その様子は、まるで子供が好きな物語の登場人物を語るような
興奮して語っている内容からして、どうやらリョウガは強く優しい女性に惹かれるようだ。
「じゃあ、ワタシがお願いしたら退いてくれる?」
「あんたの頼みでもそいつはできないんだよな。オレも軍人なんでね。上の命令には逆らえないんだ」
「そう、それは残念」
エヌエーはリョウガの返事を聞き、インストガンの銃口を彼に向けた。
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