第4話 母様を助けて!

■エグナシア島 海岸 はじまりの小屋


 日も落ち始めた頃、僕たちは小屋の外でバーベキューをしていた。

 食べるものはマンモスの肉に釣った魚、アモスが森でとってきたキノコである。


「思ったよりも豪華ね……コホッコホッ」


 咳き込む母様に、マンモスから剥ぎとった毛皮を毛布のように羽織らせた。

 毛がゴワゴワしているけれど暖かいので僕も羽織っている。


「アモス、母様の具合がよくないんだけど……治療とかってできる?」

「坊ちゃま、こちらをどうぞ。まずは診察をしてみないことには判断ができません。診察を行ってもよろしいですか?」


 アモスが肉をカットして差し出してくれるけど、坊ちゃまという呼び方は慣れなかった。

 皇宮にもメイドさんはいたけれど、それらは僕を腫物を扱うように距離をとって、形だけの”様付け”をしていたのを思い出す。

 こんなに丁寧に僕らを扱ってくれたのはこのアモスくらいである。


「それじゃあ、診察をお願いするよ。母様、小屋にいこう?」

「ごめんね、アリオス。私がこんな体なばかりに……本当にごめんね」


 弱弱しく謝る母様が本当につらそうなので、僕は一緒に小屋の中へと連れていった。

 ボロボロなベッドに母様を寝かせて、アモスの診察を待つ。

 どういう風にやるんだろうと思っていると、アモスの目から光が出て母様の体全体を見ていった。


「生体スキャン技術なんてすごい……」

「さすが坊ちゃま。私たちの技術についてご理解がありまして、うれしいです……スキャン完了。疲労が主ですが、病も患っておりますね。薬が必要ですので、地下倉庫へ取りに行きましょう」

「地下倉庫!? この島に地下があるの?」


 僕は一瞬驚いたが、冷静に考えると遺跡の壁を触ったら振動が起きて、アグリオスが出て来たのでエレベーターがあったとしてもおかしくない。

 この島と思っていたものは、アモスの存在もあることからとんでもない物なのかもしれなかった。

 前世の性分もあり、こうしたものを調べてみたいという気持ちが強くなる。


「私一人で行ってきますので、坊ちゃまはここでお待ちください」

「いや! 僕もいく! でも、いくなら明日!」

「坊ちゃま……かしこまりました。明日の朝、朝食後に出かけることといたしましょう」

「ありがとう、アモス」


 嬉しくなった僕はアモスに抱き着いた。

 アモスは抱き着いた僕の頭を優しくなでてくれる。

 ロボットのはずなのにその手は柔らかく温かかった。


「じゃあ、ちょっと早いけど……明日も早いから、寝ようか。ベッドはないからどうしようかな……」

「それならば、私が抱きとめておりますので、坊ちゃまは私の腕の中で寝てください」


 それは寝れないよと言いたかっけど、ほっとしていた僕は気が抜けていたので同意する。

 誰かに抱きしめられて寝るなんて、前世では考えられなかったことだ。

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