第5話 危機への挑戦

直人は冷たい汗が背中を伝うのを感じた。目の前に倒れている人物、そしてその人物に繋がる奇妙な装置、さらに、その装置を操るリモコンを握る男。その全てが一つの悪夢のように直人を包み込んでいた。


「お前に選択肢はない」と言われた時、直人は一瞬動けなかった。しかし、次の瞬間、彼は決断した。


「装置を止める方法を教えてくれ。」直人は冷静を装って男に問いかけた。


男は微かに笑ったようだったが、その笑顔は冷たく、そこに人間らしい感情は見当たらなかった。


「賢い選択だ。だが、油断するな。これは単なるゲームではない。お前のミス一つで、ここにいる者たち全員がどうなるかはわかっているな?」


直人は無言でうなずいた。目の前の装置がただの「ゲーム」ではないことは、すぐに理解できた。何か重大なことが起ころうとしている。そして、その中心に自分がいる。


「まず、その機械に近づけ。触れるな。近づくだけだ。」男の命令が響く。直人は恐る恐る一歩、また一歩と装置に向かって歩みを進めた。


装置は複雑な機械のように見えた。金属製のパネルがあり、その一部にいくつかのボタンとスイッチが並んでいる。男のリモコンからは、まるでそれらを一括して操作するための無線信号が送られているようだった。


「お前は、この中にある解除コードを入力する必要がある。しかし、コードを間違えれば装置は暴走する。わかるな?」


「わかってる…」


直人は緊張で喉が乾き、ゴクリと唾を飲み込んだ。間違えるわけにはいかない。だが、そのコードが何なのか、どこにあるのかは何一つわからない。男は冷静に直人を見つめたまま、次の指示を出した。


「装置の右側にある小さなパネルを開けろ。その中に表示されているコードを確認しろ。」


直人はゆっくりと指示に従い、慎重にパネルを開けた。そこには、小さなスクリーンがあり、無数の数字が表示されていた。数字は高速で変わり続け、どれが正しいコードなのかを判断するのは至難の業に思えた。


「これが、解除コードか…?」


「その通りだ。しかし、数字は絶えず変動している。正しい瞬間を見極めて入力しなければならない。」


直人はスクリーンをじっと見つめた。数字が次々に変わる中、正しい瞬間を捉えるためには、並外れた集中力が必要だった。だが、プレッシャーの中で冷静さを保つのは簡単なことではない。


「もし失敗したら…?」


「失敗すれば、終わりだ。だが、成功すれば全てが元に戻る。」


直人は深呼吸をし、スクリーンに再び集中した。数字のパターンを読み解こうとするが、焦るほどに頭の中が混乱していく。時間がどんどん過ぎ去る中、正しいタイミングを見極めることができるのか…。


その時、直人は突然あることに気づいた。


――この数字の変動は、一つのパターンを描いている。


見た目にはランダムに見える数字の並びが、実は一定の周期で繰り返されていることを直人は発見した。それを理解した瞬間、彼の心には再び冷静さが戻ってきた。


「いける…」


彼は自分に言い聞かせ、スクリーンに表示された数字が次のサイクルに入る瞬間を待った。そして、その瞬間が訪れると、直人は一気にキーを叩いた。


――ピピピピ…!


一瞬の静寂が流れた。心臓の鼓動が耳に響き、周囲のざわめきが遠のいていく。


そして――


「解除されたな。」


男の声が静かに響く。直人はホッと胸を撫で下ろしたが、その一瞬の安堵が、次の緊張を呼び込むことになるとはまだ気づいていなかった。


解除音が響き渡った瞬間、直人はようやく緊張から解放された。しかし、その安堵は一瞬のことだった。男の冷たい声が再び彼の心臓を締め付けた。


「解除は成功だ。だが、これで終わりではない。次のステージが始まる。」


直人の足元の床がわずかに揺れた。彼は再び警戒心を強め、男に鋭い視線を向けた。解除されたとはいえ、状況はまだ解決していない。そして、その時、男の視線が暗闇の中の一人の人物に向けられていた。


「協力者が必要だ。お前には一人では無理だ。」


その視線の先にいたのは、直人のかつての友人、佐倉彩香だった。


「佐倉…お前も関わっているのか?」


佐倉の目には、直人に対する複雑な感情が映っていた。そしてその瞳の奥には、何か重大な決断を迫られていることが読み取れた。


---


選択肢

1. 佐倉に協力を求め、共に次のステージに進む。

- 直人は佐倉の真意を確かめ、彼女と協力してシグナルの次の謎に挑むことを決意する。


2. 佐倉を信用せず、一人で次のステージに進む。

- 直人は佐倉が敵か味方かを判断できず、彼女を信用せず一人で進むことを選ぶ。


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選択期限: 本日23時まで

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