第4話 闇の中の決断
体育館の照明が消えた瞬間、若林直人の心臓は一気に跳ね上がった。暗闇の中、ただならぬざわめきと、不気味な金属音が混ざり合い、状況は一気に混沌としていた。何が起こったのかを確かめようにも、周囲は闇に包まれ、直人はただ周囲のざわめきに耳を傾けるしかなかった。
「佐倉!」彼は声を張り上げたが、返ってくるのは混乱した生徒たちの声ばかりだった。
暗闇の中で、スマートフォンの小さな光だけが彼の頼りだった。彼は光をかざして前方を照らすが、何も見えない。佐倉はどこにいるのか。確かにすぐ近くにいたはずだが、あの不気味な音と共に彼女の姿はどこかに消えた。
直人は、瞬時に冷静さを取り戻し、考え始めた。ここで慌てるわけにはいかない。シグナルが告げた「悲劇」とは一体何を意味するのか。この状況がその予告の始まりだとすれば、ここで何が起ころうとしているのか?
直人は息を呑み、手にしたスマートフォンの光をより強く握りしめた。彼はふと、ある選択肢に思い至った。音のした方向へ進むか、それとも一旦ここから脱出するか。このまま何もせずにいるわけにはいかないが、どちらが安全なのかは全くわからなかった。
――選択を誤れば、命の危険すらあるかもしれない。
直人は一瞬、冷静に周囲を見渡した。生徒たちがざわつきながらも、何かを恐れて後ずさりしているのがわかった。だが、彼自身もその恐怖に打ち勝たねばならなかった。
「佐倉…どうすればいい?」直人は低く呟き、もう一度周囲を照らした。
不意に、遠くからかすかに聞こえる微かな音が彼の耳に届いた。それはまるで何かが引きずられているような音だった。金属が床を擦る音のように聞こえ、嫌な寒気が背筋を走らせる。
このまま音の方に進めば、何が待っているのか全く予想がつかない。だが、シグナルの予告が何か「悲劇」を意味するならば、それを目撃するかもしれないという一抹の恐怖が直人を躊躇させた。
しかし、逃げるわけにはいかない。何かを確かめなければならないという責任感が直人の心を突き動かしていた。彼は決心し、音のする方向へと慎重に歩を進め始めた。
体育館の広い空間は、まるで時が止まったかのように静まり返っていた。直人は一歩一歩、慎重に歩を進めながら、耳を澄ませた。金属音はますます大きくなり、直人の緊張は極限に達していた。
やがて、薄明かりの中で何かが見え始めた。直人は息を呑む。それは…体育館の中央に倒れ込んだ人影だった。倒れている人物は微動だにせず、彼のそばには奇妙な機械が転がっていた。
「まさか…シグナルが告げた悲劇が、これなのか?」
直人は恐る恐るその人物に近づき、スマートフォンのライトを強めた。倒れている人物は確かに人間で、制服を着ていた。だが、その顔は直人が知っている生徒のものではなかった。
――この人物は、誰だ?
直人は、さらに驚くべきことに気付いた。倒れている人物の腕に、何かが巻き付いていた。細いワイヤーのようなものだ。それが転がっている機械に繋がっており、どうやらその機械は何かの装置のようだった。
「これは…いったい…」
その時、直人の背後から突如、冷たい声が聞こえた。
「動くな。」
直人は驚いて振り返った。闇の中から現れたのは、一人の男だった。その男は冷たい目を直人に向けており、手には何かのリモコンのようなものを握っていた。
「お前がこのシグナルの…?」
直人が口を開こうとした瞬間、その男は静かに口を開いた。
「これ以上近づけば、装置が作動する。」
直人は凍りついた。男が握っているリモコンは、どうやら目の前の装置を操作するもののようだ。彼は今、まさに命を握られていることを悟った。
「これがシグナルの正体か?お前がシグナルを操っているのか?」
直人は言葉を投げかけたが、男は答えなかった。代わりに、男の冷たい視線が直人を射抜く。
「お前に選択肢はない。」
その言葉が響いた瞬間、直人の頭の中は真っ白になった。シグナルの謎、倒れている人物、そして男の手に握られたリモコン。すべてが直人に重くのしかかり、逃げ場を失ったような気がした。
「だが、お前には一つだけ選択肢がある。」
男はそう言うと、リモコンを持つ手を微かに動かした。直人は次の言葉を待った。男の言葉が、次の瞬間に彼の運命を決定づけるかもしれない。
「お前がここで何を選ぶかで、未来は変わる。」
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選択メッセージ
1. 男の指示に従い、装置を止める方法を探す。
- 直人は男に従い、装置を止める方法を模索するが、それが何を意味するのかはわからない。しかし、ここで行動しなければ、命の危険が待っている…。
2. 佐倉を探し、危険を回避しようとする。
- 直人はリスクを冒さず、佐倉と共に安全な場所へ逃げようとする。しかし、時間が迫る中で、その選択が本当に正しいのかはわからない…。
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*選択期限: 本日20時まで*
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