第12話 ヒカル琴弥の馭者
桜川城の近くにある気覇宗・北峰の宿舎にいる琴弥は,相変わらず,ヒカルの愛撫に答えた。ヒカルがそんなことばかりに精を出すは,あまり生産性がないと思った琴弥は,煉丹術の本をヒカルに読み聞かせていた。
ヒカルにとっては,琴弥を愛撫するだけで,耳学問ができるという恵まれた環境だった。しかも,その行為は,双修に通じており,ヒカルの気のパワーを強化する作用もあった。一石三鳥だ。
ヒカルは,毒矢に刺された時は,初級後期レベルだったが,琴弥との双修によって,今では,中級後期レベルにまでなってしまった。
もし,ヒトの身で12歳でそのレベルに達することができれば,不出生の天才と言ってもいい。でも,ヒカルはそうではない。
琴弥「ヒカル様,まだ,左腕と左脚がしびれているのですか?」
ヒカル「感覚は徐々に戻っている感じがします。琴弥がマッサージをしてくれるお陰です。感謝します。でも,まだ,シビれが取れません。もうしばらく付き合っていただけませんか?」
ヒカルは,痺れているとウソを言った。琴弥を自分の世話係に縛りつけるためだ。
琴弥は,とてもグラマーな体をしているので,彼女に対してまったく不満はない。自分が希望することは,ほぼ何でもしてくれる。このまま,彼女と一生添い遂げてもいいとまで思っている。
琴弥「はい,それはいいのですが,毎日,こんなことをされてしまっては,わたし,,,そのうち,妊娠してしまいます。わたし,自分では何も取り柄もありません。生活していく手段がありません。ヒカル様に頼るしかないです。ヒカル様,ちょっとでいいので,生計を立てる目処を考えてくれませんか?」
ヒカルは,現実にひき戻された。琴弥には生活力がない。ヒカルも生活力がない。そこが問題だ。
以前なら,軍隊に入ればいいと思っていた。でも,危険な仕事だとわかり,今では軍隊や護衛隊には入りたくない。そうなると,剣上仙人が手紙で残したように,煉丹術か符篆術をある程度修得して身を立てる方がいいのかもしれない。
煉丹術は,覚えることが多すぎる。記憶がさほどよくないヒカルにとっては,ちょっと不向きな分野だとだんだんと分かってきた。ならば,符篆術の方がいいのか?
そんなことを考えていると誰かがドアをノックする音が聞こえた。
コンコン!(玄関のドアが鳴る音)
彩華「誰かいますか? 宗主を了解を取って,ここに来ました。ヒカルさん,琴弥さん,どこにいますか? わたし,彩華でーす」
部屋の中にいた琴弥が反応した。
琴弥「あっ,彩華さんだわ。ヒカル様,服を着てください。彼女は,美味しい料理を持ってきたはずです」
ヒカルがパンツとシャツを着たのをみてドアを開けた。
琴弥「彩華さん,待ってました。食事,たくさん,持ってきましたか?」
彩華「もちろん,持ってきたわよ」
彩華は,背負子を卸して,そこから,大量の食料を取りだした。
ヒカルと琴弥は,久しぶりに豪華な食事にありついた。彩華が自分の自己紹介をした後,いろいろと雑談になったが,その中で,各自がそれぞれの直面している問題点を打ち明けた。
まず,ヒカルから打ち明けた。
ヒカル「ボク,相変わらず,体がしびれていて,満足に歩くこともできません。
体を動かさなくて出来る技術を身につけようと思うのですが,煉丹術を修得するのに向いていないのがわかりました。記憶力がよくないんです。琴弥に何度も読んでもらっても,ぜんぜん頭に入ってきません。
半年もいないうちに,ここから追い出されます。どんな技術を身につければいいのか,まったくわかりません」
彩華「でも,琴弥さんは,すごく強いのでしょう?彼女なら,護衛の仕事は簡単に身につけれるわよ」
琴弥「わたし,,,ヒカル様の子どもを妊娠しそうなんです。そうなると,子育てに専念しないといけません。とても仕事なんてできそうもないです」
彩華「困ったわね,,,わたしもすぐにはアドバイスができないわ。どう? 思い切って,気分転換に,対抗試合を見に行ったらどう? 4日後に剣流宗で,われわれと親善試合を予定しているの。武道,剣術だけでなく,煉丹術,錬金術,符篆術,陣法・陣盤術などもあるわよ。もしかしたら,心に響くものがあるかもしれないわ」
琴弥「でも,宗主様から,身分を隠しなさいって言われています。参加なんてとてもできないです」
彩華「フフフ。わたしの願い,聞いてくれたれたら,なんとしても宗主を説得してあげるわ。どう?」
琴弥「願いって,なんですか?」
彩華「わたし,煉丹術と武道の部の両方に出場する予定なの。それはいいんだけど,武術が今一なのよ。ここ数日間,わたしと実践形式で模擬試合をしてほしいの。武術の感覚をレベルアップしたいの。どう?それくらいならいいでしょう?」
これには,ヒカルは心の中では反対だ。琴弥とのあの行為の時間が削がれてしまう。でも,,,
琴弥は,ヒカルの顔を伺った。
ヒカルは,已むなく妥協案を提示した。
ヒカル「ボクは,まだ体がしびれていて,自分ひとりでは何もできません。そこで,琴弥には,午前10時から11時まで,午後は,午後1時から2時まで,午後3時から4時までの時間帯なら,自由にしてあげられます。それで,いかがでしょうか?」
彩華「つまり,1日3時間ほどの時間があるのね。うん,それでいいわ。もうすぐ午後1時になるから,早速,琴弥さんを借りるわね。琴弥さん,裏の広場で,武術の訓練に付き合ってちょうだい」
琴弥としても,丸1日犯され続けては大変だ。ちょうどいい気分発散の時間を得た。
琴弥と彩華が部屋から出ていって,ヒカルがひとりになった。
ヒカルがひとりになった時,彼にはすることがある。この部屋で,厳しい筋トレをすることだ。気をあらゆる場所に流して,瞬時に硬化させる,気を超高温の炎に変える,氷結弾を生成する,気を体表に巡らして,防御層を厚くしていく,その動作をキビキビとしていく訓練だ。その一連の操作を短時間で行う。その後,加速の訓練だ。中級後期レベルともなると,加速1.3倍は可能なはずだ。
これまで,毎日欠かさずに繰りかえしてきた一連の連続動作。これまでは,10秒かかっていた。でも,久しぶりに体を動かしてみると,6秒でできた。
ヒカルは,心の中で思った。
ヒカル『え?6秒? もう少しで2倍速に達するのか?どうして?』
ヒカルは,自分の技量が信じられなかった。その後,何度もその動作を繰りかえすと,5秒の壁を突き破った。2倍速を達成した。でも,さらに速くできると思った。さらに,その動作を一心不乱に繰りかえすと,3秒で行うことができ3倍速をクリアした。
その後,琴弥が戻ってきたので,彼女と肌を合わせた後,またひとりになった。
ヒカルは,再度,加速を極めることにした。そして,とうとう2秒で行うことができ,5倍速を達成した。
ヒカルは,琴弥が20倍速を達成したということを聞かされた。ヒカルは,目標を20倍速達成に設定した。この1年で20倍速を達成する。それができれば,,,,
それができても,仕事にはありつけない。
ヒカルは,目の前の煉丹術の本を見た。
ヒカル『俺って,なんて頭が悪いんだろう。やっぱり座って仕事することなんて,俺には無理なのかもしれない』
5倍速を達成した嬉しさは,急にどこかに飛んでしまって,また,絶望に近い感情が彼を襲った。
でも,その感情も琴弥の体を抱くと,すぐに消えてしまった。なんともゲンキンなやつだ。
・・・
この3日間,彩華も,琴弥の4倍速の攻撃を何度も受けることで,4倍速の速度に慣れてきた。それは,彩華にとっての大きな成果だ。
ヒカルにとっても5倍速を確実に自分のものにするいい機会となった。
加速だけを取り上げると,ヒカルはS級レベルに匹敵する。しかし,気の防御,氷結弾の威力,など,総合的に判断すると,ヒカルのレベルは,まだ中級後期に属する。上級になるのは,あと一歩足りない。
そのステップアップの感覚は自分でよくわかる。気の感じる総量が違う。
たとえて言えば,気を貯める容器が一回り大きくなるイメージだ。初期,中期,後期と同じ容器に気を貯めていき,その容器が満杯になると,新しい大きな容器に入れ替える。それが,初級,中級,上級,S級へのレベルアップとなる。
その翌日,剣流宗に行くメンバーが,道央広場に集合した。
宗主,南峰主,煉丹術などの専門教官4名,選手25名からなるメンバーだ。
2名の西峰と東峰の峰主たちは留守番となる。
通常なら,選手から交代で馬車の馭者役をするのだが,今回は,一部,例外が発表された。
宗主「今回も,荷馬車が1台あります。荷物を運ぶためのものです。例年なら選手が交代で馭者役をしてもらいますが,今回は特別に馭者役の2名を連れて行きます」
そう言って,琴弥とヒカルを紹介した。琴弥は,少しだけ人相を変えている。それでも超可愛い。彼女と一緒なら,いくらでも馭者席にいたいほどだ。
ヒカルは人相を変えれないし,変える必要もない。
宗主「彼女は琴弥,彼はヒカルという名だ。行動を共にするので,覚えておいてほしい。尚,ヒカルは,左腕と左脚に麻痺が残っていて松葉杖を使います。少し気に掛けてほしい。以上だ。では出発する」
ここから,剣流宗まで100km程度の距離がある。徒歩で移動するので,1日の移動距離は30km程度にしている。道があまり良くないので,馬車に収納する荷物が揺れないように,しっかりと固定している。
途中の中継村では,宿泊施設は,満席の状況になっている。桜川城下町が壊滅してしまったため,住民の多くが,近くの宿泊施設を占拠してしまったためだ。そのため,野宿するのを前提に,寝具,テントなどの荷物が加わって多くなっている。
そのためか,馭者を別途採用するのは別に違和感はない。でも,2名の年齢を考慮すると,どう考えてもおかしい。若すぎる。どう見ても10から12歳程度だ。
ここにいる誰しもが,何か特別に訳ありだと推測した。それに,2人は,明らかに気を修練している連中だとわかる。レベルまでは不明だが,その雰囲気からして決して弱くはないようだ。
出発して12時間,30kmほど移動して,野宿することにした。人数が多いので,警戒する人員3名で1時間ごとに交代する程度でいい。ほとんど負担はない。
ヒカルは,ずーっと馭者席で座りっぱなしだ。あまりに道が悪く,ドタンドタンした。でも,彩華がヒカルのために特性のクッションの高い座布団を用意してくれたので,なんとか座りっぱなしになることができた。
琴弥は,早々に馭者席を諦めて,歩くことにした。Eカップの胸は,サラシで固定しているので,歩くのに邪魔にならない。
実は,彩華は,この機会を待っていた。彼女は,歩くのが疲れたと言って,ヒカルの隣に座った。別にヒカルに気があるわけではない。宗主から,ヒカルは,大妖怪,水香の連れだと教えられた。その大妖怪,水香の強さを,どうしてもヒカルの口から聞きたかった。
彩華「ねえ,ヒカルさん,あなた,今のレベルってどのくらい?」
ヒカル「毒矢でやられる前は初期後期でした。今は,こんな体です。レベルはもう意味がありません」
彩華「ふーん,そう?でも,なんか,今でも鍛えていそうな雰囲気がするんだけど。まあ,いいわ。
ちょっと,教えてほしいのだけど,例の大妖怪,水香。彼女って,どんだけ強いの? 宗主に聞いても教えてくれないし,琴弥は会ったことないって云うし。わたし,別に強者に憧れてはいないし,煉丹師を目指しているんだけど,それでも,大妖怪の強さを理解するのは,必須だと思わない?」
ヒカル「水香さんとは,少しの間,一緒に旅しました。でも,彼女が敵を倒すところは見ていません。状況から判断すると,敵を,瞬時に倒し,ミイラ状態にできる能力があると思います。それに,ボク,毒矢でやられたのですが,その毒を解毒したらしいとも聞いています。ほんとうかどうかはよくわかりません」
彩華「フーン,情報取れないか,,,」
ヒカル「あの,僕から質問していいですか?」
彩華「いいわよ」
ヒカル「煉丹術,錬金術,符篆術,陣法・陣盤術の試合があるって言ってましたけど,暗記が一番必要のないのは,どれになりますか?ボク,記憶力が良くなくて煉丹術を習得するのは無理だってわかりました」
彩華「そうね,錬金術は,体を駆使するから,ヒカルさんには無理ね。となると,符篆術か,陣法・陣盤術になるけど,どちらもある程度の暗記は必要よ。でも,煉丹術よりも暗記量はかなり少なくなるわ。ヒカルさんの場合,幸い,利き腕がマヒしていないから,取っつきやすさでは,符篆術かな? でも,それって,暗記よりも天性の才能が重要よ。わたし,そっちの方面では,あまり才能が無かったわ」
ヒカル「そういうものですか。陣法・陣盤術のほうはどうですか?」
彩華「陣法・陣盤術を勉強しても,就職には不利よ。言ってみれば,昔の先人達が構築した陣法・陣盤を解読することが中心になるわ。試合も陣法の陣眼を早く発見するという形式で行われることが多いわ」
ヒカル「琴弥から聞いたけど,陣盤を使った人形が人間の動きをしたって聞いたんだけど?」
彩華「ああ,あの試合ね。私もその場にいたわ。あの陣盤,はるか昔の技術で創られたものだと思う。使い方はわかっても,誰も創ることはできないでしょう。それに,ヒトの霊魂を操っていたわ。そうなると,もう学問ではない分野になってしまう。昔は,霊能力者がたくさんいたようだからできたかもしれないけど,今は無理だわ」
ヒカル「そうですか。となると,才能の有無は別にして符篆術くらいしかないですね。あの,才能の有無ってどうやってわかるのですか?」
彩華「1枚の呪符を創るのに,15分から30分は必要よ。その間,気のパワーを一切の乱れなく一定の出力で,高等猛獣の血を使って,篆筆を用いて符篆紙に流し込むの。あっ,そうそう,初級爆裂符は私も持ってるわ」
彩華はリュックから初級爆裂符を取り出してヒカルに見せた。
ヒカルは,マヒしていないであろう右手を差し出して,それを受けとって,マジマジと見た。複雑な篆書文字だが,これだけなら覚えるのはさほど難しくないと思った。
一方,琴弥は,数人の内弟子に囲まれて,好きな男性のタイプは? 気覇術を習ったことあるの? あのヒカルとはどんな関係?などなど,質問ぜめにあった。
一匹のはぐれ狼が,何を思ったのか,荷馬車の馬を襲った。馬が狼を避けるため,90度に急に向きを変えてしまったので,ヒカルと彩華は,その向きの反対方向にはじき飛ばされてしまった。しかも,ヒカルは手に持っていた初級爆裂符を思わず,上空に投げ飛ばしてしまった。
ヒカルと彩華は抱き合うようにして地に倒れた。その際,ヒカルは左手で彩華を抱いて,右手で地面方向に向けて自分ができる最高の氷結弾を放った。そうすることで,その反動で地面への衝突を緩和しようとした。ヒカルと彩華の周囲全体にも気の防御を展開した。
初級爆裂符の威力がどの程度なのか,よくわからないため,ヒカルが展開した気の防御も,自己最高レベルにした。その防御は,地面への衝突の緩和にも役だった。
ヒカルが彩華を庇うように,ヒカルが下になって彩華が上になって地面に倒れた。その刹那,ヒカルは,彩華を抱いたまま,半回転して,彩華を下にした。
空中に投げ出された初級爆裂符がヒカルの背中に接触した。投げ出されたことで活性化したため,次に接触すると爆発してしまう。その刹那,ヒカルが自己のレベルの壁を無意識に越えてしまった。
ボンー!
ヒカルの背中で,初級爆裂弾が爆破した。
彩華は,一瞬何が起こったのかわからなかった。馬車から投げ飛ばされて,ヒカルにキツく抱かれてしかも地面に衝突しても,まったく怪我することもなく,しかも,半回転されたとき,ヒカルの背中部分が爆破した。
このことで,彩華は何が起こったのかをやっと理解した。ヒカルは身を呈して初級爆裂符から彩華を守ったのだ。
ヒカルは,無意識に彩華をキツく抱いたままなので,彩華はまったく身動きができない。
ヒカルと彩華が投げ飛ばされた場所は,少し凹んだ場所だった。周囲にいる門弟からは死角になった。
はぐれ狼は,周囲にいた門弟たちに追い払われて,どっかに逃げていった。荷馬車は,90度曲がったことで,車輪のひとつが荷台から外れてしまった。
彩華は,ヒカルの拘束から逃れるため,自分の体に気を流して,肉体を強化して逃れようとした。30%程度の気を展開すればいいだろうと思った。
彩華『え? ぜんぜん抜け出せない』
彩華は,50%まで引き上げた。でも,ダメだった。
彩華『そんなバカな! ヒカルは初級後期のレベルなんでしょう?』
そう思ったものの,抜け出せないのではどうしようもない。已むなく,自己最高のパワー100%の気を展開した。
彩華は,このパワーなら,すぐに抜け出せると思った。
彩華『え? どうして? これでもまったくヒカルの拘束を解除できない! ええーー? どうして?』
この時,ヒカルは,中級後期の壁の破って,上級前期に変わりつつあった。そのレベルアップを落ち着かせるため,今の体勢を維持した。
周囲の門弟たちは,ヒカルや彩華が視界に入っていないので,そのまま放置した。それよりも,狼を追い払って,馬を落ち着かせるのが先だ。その後,外れてしまった車輪を直す作業もある。視界にないヒカルや彩華のことなど,気にする者は誰もいない。
それに,ヒカルの背部でさほど大きくない爆発音がしたが,馬の悲鳴や荷馬車の車輪が外れる音などで,打ち消されてしまい,その爆発音に気がつくものもいなかった。
レベルアップ中のヒカルは,自分が抱いている彩華が大量に気を発しているのに気がついた。その気を取り込みたいと思わず思った。
彩華は,まったく抜け出せないので,ヒカルに声をかけることにした。その刹那,ヒカルは,自分の唇を彩華の唇に合わせた。
彩華『え? 何? ヒカルさん? え?え?』
彩華は,キツく抱かれた体勢で,かつ,キスまでされて,初めて,性的な感覚が全身を覆った。それとは別に,自分が展開した気が,どんどんと失われていく感覚を覚えた。その失われていく感覚が,性的興奮をより一層強くさせた。あたかも処女が奪われていうような感覚だった。
ヒカルは,自分が抱いているのは,彩華ではなく琴弥だと錯覚した。ならば,自由自在にしていい。
ヒカルは彩華の服をはだけさせ,胸をきつくまさぐり,あの部分を露わにさせて,いつも琴弥にする荒々しい行為をしてしまった。
それでいて,唇を合わせているので,彩華は声も出せず,短パンや下着を脱がされてしまい,なんら抵抗できずに,自分の初めてを奪われてしまった。
・・・
ヒカルは彩華の気を大量に取り込んでしまった。その能力,気呑術は母親譲りの術だ。母親も禍乱からコピーした能力だ。でも,その事実をヒカルは知らない。
ヒカルは,上級初期レベルはおろか,上級中期を越えて,上級後期にまでレベルアップして,そこでやっと落ち着いた。
逆に,彩華は,気も体力も失ってしまい,マグロ状態となり,ヒカルに犯されるままの状態になった。彼女は,絶頂を感じて海老反り状態になりたかったが,海老反りになる体力もなかった。
ヒカルが,大量の粘液を彩華の体内に放出した後,やっと,レベルアップが落ち着いた。
この時になって,ヒカルは,自分が犯している女性が琴弥でないことに気がついた。胸の膨らみがまったく違った。彩華はDカップとかなり大きいのだが,それでも琴弥のEカップからみれば少し小さい。
ヒカルは,半分意識が飛んだ彩華の顔を見た。
ヒカル『そうか,彩華さんを犯してしまったのか。しかも,彩華さんの気まで奪ってしまった,,,申し訳ないことをした』
ヒカルは,彩華さんの着衣を直して,血のついた股間部も綺麗に拭いてあげて,下着や短パンを元通りにしてあげた。その後,彼女の体全体に気を流して,気を少しでも回復させてあげた。
ヒカルは,彩華さんが妊娠してしまうことを恐れた。責任のとりようがない。でも,,,どうしようもない。
気を少し取り戻した彩華は,しばらくして完全に意識を取り戻した。ヒカルに無理やり犯されて,,,でも,最高に気持ちよかった。性的絶頂を味わうって,こういうことだったんだと,別の世界を味わう感覚を覚えた。その意味では,ヒカルに犯されたことに後悔はなかった。
ヒカル「彩華さん,,,ごめんなさい。つい,琴弥だと思って,彩華さんを犯してしまった,,,」
彩華「しょうがないわ。事故のようなものだもの。でも,責任はとってちょうだい」
ヒカル「どうすればいいでしょう?」
彩華「わたし,たぶん,妊娠したと思う。結婚まではしなくてもいいけど,子どもが生まれるから,しっかりと生活費を稼いでちょうだい」
ヒカル「わかった,,,煉丹師は無理だから,なんとか符篆師になれるよう頑張ってみる」
彩華「そうね,,,ところで,ヒカルさん,いえ,ヒカル,,,」
彩華はヒカルを呼び捨てにした。
彩華「ヒカルは,ほんとうに初級後期レベルなの?わたしの全力の気の展開でも,ヒカルの拘束を解けなかったわ。それに,背中に爆裂符が爆発したけど,まったく影響ないみたいだし」
ヒカル「・・・,今はそういうことにしておいてほしい」
彩華「そうね,馭者役のあなたが,あまりレベルが高いと,他の門弟の嫉妬を買ってしまうものね。フフフ」
彩華は,ヒカルがすでに上級レベルに達していると思った。彩華にしても,ヒカルにしても,若干10歳か12歳くらいなのに,なんとも,異常なほど高いレベルだ。天才でも,ここまでのレベルにはならない。何か秘密があるはずだと思った。
彩華は,ヒカルに気を奪われしまい,中期前期にまでレベルダウンしてしまった。でも,その後,ヒカルから気を少し戻されて,マグロ状態だったところから,なんとか歩ける状態にまで体力を回復した。
その後,他の門弟たちが,車輪を荷台に取り付ける作業が終わったのを見計らって,ヒカルと彩華は,何事もなかったかのように,窪地から這いだしてきた。
宗主が,全員の無事を確認して,一行は再び出発した。
野営の際,ヒカルと彩華は,こっそりと一目を盗んで,トイレと言いながら,森林の奥にまで入っていって逢瀬を重ねた。性に目覚めた彩華は貪欲だった。
この行為は,双修と同じであり,ヒカルの気を彩華の体内に巡らし,彩華の気をヒカルの体内に巡らすことで,お互いの気のレベルアップを図るものだ。
その行為を経て,彩華は失った気をほとんど取り戻し,上級中期に復帰することができた。ヒカルは,上級後期のレベルを確実なものにしていった。
琴弥は,夜寝る時も,門弟が護衛してあげると言われて,常に数人の連中と一緒になって,テント内で一緒に寝ることになった。しかも,他の門弟たちと不公正にならないように,『護衛』の添い寝は30分交代になった。別に,体に触れるわけでもないけど,それでも豊満な胸の谷間をしっかりと鑑賞できるので,その30分は,門弟たちにとって満ち足りた感覚を味わうことができた。
その後は,さほど大きなハプニングもなく,野営を2晩経て,剣流宗に到着した。
ー 剣流宗 ー
気覇宗の一行は,剣流宗側で用意した施設内の宿泊所に案内された。そこで体をしばらく休めた後,その日の夕方,懇親会に参加した。
この場では,ヒカルと琴弥は選手ではない。そのため,一番末席で並んで座った。ヒカルは,一目につかないように琴弥の体をまさぐった。ヒカルは彩華のことなどもう頭になく,琴弥とエッチすることだけしか考えてない。なんとも軽薄な男だった。
その懇親会では,明日からの試合に参加者する自己紹介を兼ねている。自己紹介をするのと同時に,得意技を披露する場でもある。
懇親会が始まり,双方の管理側からの挨拶・紹介が行われた後,試合のルール説明が行われた。
通常の試合をして,勝った方はプラス3点だが,不戦勝では5点もらえる。試合をして,負けた場合でも1点もらえる。自ら負けを認めるとゼロ点となり,反則負けはマイナス1点となる。
武術,剣術,煉丹術,符篆術,錬金術,陣法・陣盤術の6種類の競技があり,試合は勝ち抜き戦で5回行う。そのすべての競技の総合点数の比に応じて,気覇宗と剣流宗の双方で,合わせて気鉱石800個が割り当て分として年に一度販売される。その800個をこの試合の成績によって振り分ける。
その意味では,非常に大事な試合となる。S級レベルの選手は参加不可。それ以外はレベルは問わない。
司会「では,選手リストを提出してください」
その言葉に,剣流宗の宗主が選手リストを提出した。
剣流宗の宗主は,早乙女という名で女性だ。25歳にも満たないのに,すでにS級前期に達している。
S級になるには,通常の修練ではまず達成できない。高価な聚気丹などの薬の補助,強者による双修など,有効な補助手段を受ける必要がある。
彼女の場合,前任の剣流宗宗主,現在の笛吹仙人の直弟子となり,かつ,彼の性奴隷となることで双修を毎日され続けた結果,わずか23歳にして,S級前期に到達して宗主に抜擢された。
そのためか,早乙女が宗主になった当時,その他の女性の直弟子や内弟子たちの多くは,それを嫌がって辞めて,隣の気覇宗に編入した経緯がある。
前日から,笛吹仙人が剣流宗に剣客として貴賓館に泊まっているので,早乙女宗主は,彼の泊まる貴賓館に入り浸りになっている。この懇親会も貴賓館から直接宴会場に来た始末だ。宗主の仕事をほんとうにしているのか,はなはだ疑わしい限りだ。
選手の総数は,予備の生徒も含めて35名までと決まっている。剣流宗側は総数の35名のリストが提示された。
気覇宗の宗主は,提出する前に,再度,選手リストを見た。25名の名前が連なっている。空欄が10箇所もある。ふと,琴弥とヒカルを,遠くの末席にいるのを見た。
宗主『まあ,ダメ元で,名前を書いとくか』
宗主の勝手な判断で,琴弥とヒカルの名前をそこに付け足して司会に提出した。
司会は,双方の選手リストを全員に見えるように壁に貼り付けて,剣流宗の選手から,リストの順番に5名ずつ壇上にのぼって,ひとりずつ自己紹介と2,3分程度の演武もしくは得意技を披露してもらった。
半数の選手は演武を披露したが,残りの選手は,気を火炎に変えて火の玉を使ってお手玉をする,水を繰り出して小さな噴水を演出する,などの手品紛いの芸を披露した。演武をみるよりも,手品紛いの芸をみるほうがまだ面白かった。
剣流宗の選手が終わって,次は気覇宗の選手の番だ。気覇宗の選手も人ずつ壇上にのぼって,自己紹介と芸を披露した。芸の内容は,剣流宗とさほど変わらなかった。
最後に,2名が残った。ヒカルと琴弥だ。
司会「では,最後にヒカル選手と琴弥選手,壇上に来てください」
ヒカル「え?」
琴弥「なに?」
気覇宗宗主が,ヒカルと琴弥のそばに来た。
宗主「すまん,人数合わせてで,選手リストに加えさせてもらった。ちょっと自己紹介と簡単な技を演武してするだけでいいから。この場を適当にやり過ごしてほしい」
そう言われては,ヒカルも琴弥も断り切れない。
ヒカルは,松葉杖を引きつつ,ゆっくりと歩き,その後ろを琴弥が歩いた。
ヒカル「あの,,,ボク,どうやら人数合わせて選手にされたみたいで,,,」
この言葉に,「ハハハ!」 という声が湧き上がった。これだけで十分だ。
ヒカル「名前はヒカルといいます。怪我をする前は,初級後期レベルでした。怪我してから,まだ手足に麻痺が残っていて,このありまさです。
演武ですが,,,では,ちょっと小さい火の玉を出してみます」
ヒカルは,利き腕の右手から,小さな炎を出して,空中で何度か回転させて見せた。
「ワオーー! いいぞ!」
「手品師!」
「意外とやるな!」
この技は,かなり訓練しないと出来ない芸当だ。ヒカルは,小さい炎を繰り出した後,小さい風刃を手の平から連続的に繰り出して,炎にぶつけて,空中で回転させるという高度な技を披露した。
実は,ヒカルは,これまで琴弥を抱いている時,琴弥が書物を読み着させているのだが,それを聞くのに飽きると,今回演じたような芸当をして,気晴らしをしていた。そのため,その制御力は精緻なレベルに達していた。
ヒカルの芸を見た選手たちや,管理側も,自分で出来るか試してみた。
すると,誰も再現できるものはいなかった。風刃の制御が難しく,かなり訓練する必要があるのがわかった。
ヒカルの次は,琴弥の番だ。
琴弥「あの,,,わたしも人数合わせて選手にさせられました。琴弥といいます。あのレベルはまだ初級です,,,芸ですが,,,」
琴弥は,気覇宗では,雑役係で初級中期レベルにしている。でも,本当のレベルは,彩華だけは知っている。芸などできないし,,,自慢出来ると言ったら,,,数日前から,EカップからFカップに大きくなったこのおっぱいくらいか? ならば,思い切って,,,
琴弥「芸は,何もできませんが,胸だけは自信があります」
琴弥は,腰紐を解いて着物を脱いだ。サラシで巻いているとはいえ,深い胸の谷間がクッキリと見えた。
「ワオーーー!!」
「きょにゅうーー!」
「最高ーー!」
「琴弥ちゃん!! 愛してるーー!」
会場が最高潮に達した。
しかし,女性選手にはブーイングだった。
「なに,ちょっと,巨乳で可愛いからって,おかしいんじゃなの?」
「そうよ,あのチビの体で,あのおっぱいは変態よ」
「ここ,ストリップ劇場と間違っているんじゃないの?」
「そうよ,場をわきまえなさいよ,場を!」
などなど,辛辣な声が少し響いたが,男ども喝采によって打ち消されてしまった。
琴弥「すいません,こんなことしかできなくて,以上です」
琴弥は,脱ぎ捨てた着物と帯を拾って,そそくさと着てその場を去った。
アンコールの嵐が沸き起こったが,司会から厳重な注意が出されて,辛うじてやんだ。
司会「おほん,ちょっと,ハプニングはありましたが,これで選手紹介を終わります。明日は,中央大広間で,朝9時半から,武術の試合を行います。その後,引き続き,剣術の試合を行います。時間的に余裕があれば,煉丹術の試合も行う予定です。では,これで懇親会を終了します」
自分の座席に戻ったヒカルと琴弥は,周囲のものから拍手を受けた。
剣流宗の早乙女宗主は,琴弥を遠目に見ながら,笛吹仙人の言葉を思い出していた。
『俺に,最高レベルのグラマーで超美少女をあてがいなさい。俺が満足しれば,この笛をあげよう』
その笛とは,そんじょそこらの笛ではない。その笛で美しい曲を奏でることで,大気の気のパワーが笛に集まって,その気のパワーを攻撃用に使うことができる仙器だ。
彼女は,ニヤッと微笑んだ。
早乙女宗主『どうやら,最高レベルのグラマーで超美少女がやっと見つかったわ。フフフ』
ーーー
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