吸血鬼はだいたい悪者
「さあ今日は吸血鬼が出てくる映画を観るぞ」
検索で、吸血鬼やヴァンパイアのタグがついている映画で人気のあるものを選んで再生する。
「あー!」
壮大な音楽が流れると共に、アカメはルンルンの様子でバンザイした。
そして映画の終盤、朝日に当たった吸血鬼が燃え上がり、灰になった。生き残った男女が熱いキスを交わし文句のつけようのないハッピーエンドである。そして物語は壮大な音楽とともにエンドロールが流れる。
しかしどうやらアカメにとってはバットエンドだったらしく、彼女はプルプルと体を震わせて、僕の腕に抱きついていた。
アカメからしてみれば、同族が活躍する映画だと思ってワクワクしていたら、同族が寄ってたかって殺されるホラー映画だったわけだ。……旗から見たらぼくはとんだ鬼畜野郎だな。
よくよく見ると、映画のタイトルが「ヴァンパイア・ハンター」とか明らかに吸血鬼が狩られるタイトルだった。気づけよ。
「なあ、やっぱりおまえも日光に当たったらやばいのか?」
「あー、うー?」
アカメはコクリと頷いた。が次に頭を横に振る。そしてテレビを指し示して、両手をクロスしてバッテンを作った。
多分、日光には弱いがさっき見たようなひどいことにはならない……ということだろうか。
ならそんなに怯えることもないだろうに。と思ったが、ふとぼくの脳内でさっきほどの吸血鬼が灰になる場面が、アカメを役者に置き換えて再上映された。
確かにアカメは日光に当たっても、死ぬことはないのかもしれない。
「……まあそれでも一応、日光には当たらないようにしような」
アカメは首が折れるんじゃないかってくらい激しく頷いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます