第11話 8話〜閑話〜の蛇足の話

近況にも記載しましたが、ギフトをいただいたので嬉しかったで書いてみました。


更に、思ったよりも、王太后のキャラクターの評判が良かったので、こちらにも転載しました。

近況報告に記載したものと内容は同じです。

あくまで閑話の蛇足(どれだけ付け足しなんでしょう)なので短めです。


日頃から応援や暖かいコメント並びにレビューありがとうございます。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜


王太后の訃報を他国に通知した時に、とある国から親書が届いた。


その国とは、王国の隣に位置し、王太后が生まれる前や子供の頃は、小規模な争い、外交の場での闘争や辺境付近での警備兵の諍いなどは日常茶飯事だったが、彼女が王女として政治の場に参加するようになってからは直接的な軍事上の争いは鳴りを潜めていた。


お互いに軍事的なやり取りをする事の愚かさに気づいたのだろう。


隣国の王は、王太后が、まだうら若き王女の頃から、この世界というチェス盤を挟んで、常に相手側の位置に座り、それぞれが外交、政治、経済、軍事という駒を使い、自国を発展に導き、相手国の失敗を狙うという丁々発止のやり取りを続けていた。


隣国の王は政治や経済の場では、王太后とは犬猿の仲であり、怒鳴り合うような事はなかったが、静かに策謀を仕掛け合い、それぞれが綱渡りのような状況でも、にっこりと笑いながら、相手に致命的な一撃を与えるべく、やり取りを行っていた。


そしてその関係はそれぞれが、相手を見つけ、結婚し、子をなしても良きライバルとして政治や経済の場で続いていた。


その相手から王太后の訃報に際して親書が届いたのだ。


現国王は親書を開く前から、暗鬱な気持ちであった。

隣国の王は、王太后を嫌って、いや、憎んでおり、罵詈雑言が書かれているかもしれない。もしくは、国の柱であった王太后が亡くなった今、宣戦布告の文字が書かれているかもしれないのだ。


好んで手紙を読む者はいないだろう。

国王は嫌々ながらも親書を開き、読み始める。


『貴殿のご尊母の訃報に際して、私は、女傑、いや、英雄が没した悲しみに打ちひしがれている。私は彼女の能力や功績には、敵ながら尊敬をしていた。もちろん、だからと言って攻撃の手を緩めることはしなかった。いや、実際には手を緩めると、こちらがやられてしまうから手を抜くことができなかったというところが正解だ。

貴殿は私が喜んでいるとお思いかな?

残念ながら先にも書いたように私は悲しみに打ちひしがれている。この喪失感は、妻や子が亡くなった時以上のものだ。しかも、最後まで彼女には勝てず、あの世まで勝ち逃げされてしまった。死に顔が見れずに残念だが、彼女のことだ。

あのニヤリと笑ういつもの笑顔で死んだのだろう?

大方、あの女好きの亭主にいっぱい食わせてやったってところだろうな。

最後まで、私は眼中になかったのが悔しい。この様子では、私があの世に行く頃には、地獄は彼女が手中に収めているかもしれぬな。まぁ、現世では敵同士だったが、あの世では彼女の先兵となって、悪鬼共と戦うのも悪くはない。

我が国は、英雄に敬意を表し、私が存命中は、貴国と争うことはしないことをここに誓おう。

そして英雄のたっての希望で国葬をしないとのことなので、私が国葬参列時の移動費など、本来かかるべき費用が余ってしまった。弔慰金と共に届ける。英雄の手向けとなる民の笑顔を少しでも増やすことに使ってくれると嬉しい。私と我が国の国民は一人の英雄の御霊が安らかに眠りにつく事を切に願う。』


と記載されており、この親書は隣国との友好の証として王家に末代まで遺されることとなった。

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