第65話 大丈夫、俺ならできる
「今日は楽しかったな……」
家に帰り、ベッドに腰を下ろすと、自然と今日のデートのことを思い出した。
水瀬との時間は想像以上に楽しく、緊張していたけれど、あっという間に過ぎていった。
映画の感想を共有して、ショッピングモールを歩きながら話して、そして最後の笑顔──すべてが、俺の中で大切な思い出として残っている。
「やっぱり……俺は水瀬のことが好きなんだ。」
デートを通じて、改めて自分の気持ちに気づかされた。
彼女の笑顔や楽しそうな姿を見るたびに、俺の中で彼女への気持ちが強くなっていった。
そして、その気持ちを伝えたいという想いが一層大きくなっている。
「よし……次は告白だ。」
今までためらっていた告白の決意が、今日のデートを通じてしっかり固まった。
水瀬との距離が縮まった今、気持ちを伝えるタイミングを計らなければならない。
「でも、どうやって伝えればいいんだ?」
まだ少し緊張が残っている。告白することは決めたものの、やはりその方法やタイミングについては慎重にならざるを得なかった。
俺は再びスマホを手に取り、メモを開いて考えを整理し始めた。
まず、どんな言葉で伝えるか。告白のシチュエーションや場所も重要だ。
光莉にアドバイスをもらった時のように、自然体でいきたいけれど、できるだけ水瀬にとっても心に残るような告白にしたい。
「シンプルに……でも気持ちはちゃんと伝わるように……」
頭の中でいくつかのフレーズが浮かんでは消えていく。
だが、やはり気持ちを素直に伝えることが一番だろう。
余計な飾り立てた言葉より、水瀬に対して自分がどう思っているのか、率直に伝えようと決めた。
「場所は……どこがいいんだろうな。」
告白する場所も悩むところだ。
今日のデートのように、落ち着いて話せる場所が理想だが、どこが適しているのかはまだはっきりしない。
映画館やショッピングモールのような場所は賑やかすぎる気がするし、静かな公園やカフェのような場所の方がいいのかもしれない。
俺は頭を抱えながら、もう少し具体的な場所やシチュエーションを探ることにした。
だけど、焦って決めるより、水瀬がリラックスできるような場所を選ぶことが大事だと思った。
「……告白は、自然なタイミングで。」
俺は自分にそう言い聞かせた。
これまで、いろんな恋愛指南やアドバイスに振り回されてきたけど、結局は自分らしく、自然な流れの中で伝えることが一番だと感じる。
ただ、次に会う時にはそのタイミングを見逃さないようにしなければならない。
水瀬と一緒に過ごして、彼女がリラックスしている時に、そっと自分の気持ちを伝えたい。
それがどこで、どんな風になるかはまだ分からないけれど、今の俺ならきっとできる。
「よし……次こそ、ちゃんと伝えよう。」
そう心に決めた。今のこの気持ちを、水瀬に正直に伝える。それがどんな結果になろうとも、俺は自分の気持ちを言葉にするべきだ。
俺は深く息を吸い込み、スマホを置いてベッドに寝転んだ。次に会う日を想像しながら、少しずつ気持ちを落ち着けていく。
「大丈夫だ、俺ならできる……」
心の中でそうつぶやきながら、ゆっくりと目を閉じた。
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