第61話 より良い告白とはなんぞや
「告白、か……」
凛との会話で水瀬に対して気持ちを伝える決心を固めたものの、いざどうやって伝えればいいのかが分からない。
これまで友達の恋愛相談には乗ってきたけど、自分が告白するなんて経験は一度もない。そもそも、どうやって告白すればいいんだ?
俺はベッドに寝転びながら、スマホを手に取った。
頭の中でいろいろ考えてみても、答えは出ないし、こういう時はやっぱりネットの力を借りるのが一番だ。
「告白 タイミング 成功率」
検索バーに打ち込んで、検索ボタンを押すと、すぐにいろんな恋愛指南の記事が表示された。
俺は早速一つのサイトを開いてみる。
「出会って3ヶ月以内が、告白の成功率が最も高い……」
最初に目に入ったその一文に、俺は思わずスマホを握りしめた。3ヶ月以内……?
俺と水瀬が出会ったのは、もう少し前だ。つまり、この法則はもう適用されないってことか?
「やばい、もうチャンス逃してるかも……」
一気に焦りが募る。
こんなことなら、もっと早く気づいていればよかったのか?いや、でもそもそも3ヶ月以内って……そんな厳密なこと、あるのか?
次に目に入ったのは、別の記事のタイトルだった。
「3回目のデートで告白するのがベスト!」
デートか……。
俺たち、まだちゃんとデートらしいデートもしてないんだけど……。
そもそも、デートをしなきゃ告白できないのか?いや、でもこのサイトが言うには、3回目が成功率が一番高いらしい。
「……ってことは、まずデートに誘わなきゃいけないのか?」
俺はスマホを見つめながら、頭を抱えた。
確かに3回目のデートっていうのは、よくドラマや漫画でも見かける。でも、デートの回数で告白のタイミングを決めるって、本当にそれでいいのか?
さらに別の記事を読んでみると、今度はこんなことが書かれていた。
「告白は相手の気持ちを確かめてから行うのがベスト。相手が好意を示すサインを見逃すな!」
相手の好意……サイン……?
俺はすぐに頭の中でこれまでの水瀬とのやり取りを思い返してみた。
けど、水瀬が俺に好意を示すようなサインなんてあっただろうか?少なくとも、はっきりとそう思わせるような瞬間はなかった気がする。
「サインを見逃すなって言われても……そんなの気づけるかよ……」
俺はため息をついた。
相手の好意を見極めることなんて、そんな簡単にできることじゃない。
ましてや、俺みたいな恋愛初心者にそんな高度なテクニックが使えるわけがない。
さらに調べてみると、次は「告白の場所が重要」とか「タイミングを見極めろ」とか、もっと細かい指南が出てきた。
「夕日が差し込む場所で告白すると成功率がアップします!」
「告白するタイミングは、相手が喜んでいる時がベスト!」
「いや、こんな理想的なシチュエーション、現実で作れるかよ……!」
俺は頭を抱えて、スマホをベッドに投げ出した。
結局、どの情報も「完璧な告白」をするためのハードルをどんどん上げているようにしか思えない。
こんなに細かいことを気にしていたら、告白なんて一生できない。
「どうすりゃいいんだよ……」
自分の恋愛経験のなさを痛感しながら、俺は再びため息をついた。ネットの情報を読めば読むほど、使えそうなものはほとんどない。
それに気づいてしまった今、余計にどうすればいいのか分からなくなってきた。
「そもそも、こんなデータに頼るのが間違ってるのか?」
水瀬に気持ちを伝えたい。
それだけはもうはっきりしている。けど、どうやって伝えればいいのか、その具体的な方法が全く見えてこない。
結局、ネットで調べた結果は、余計に混乱を招いただけだった。
タイミングだの、場所だの、サインだの──そんなことばかり頭に浮かんで、肝心の「俺の気持ちをどう伝えるか」が全く進まない。
「水瀬に……ちゃんと伝えられるかな……」
俺は天井を見つめながら、ぼんやりと考えた。
ネットの情報に振り回されるよりも、自分の気持ちをそのまま伝えるのが一番なんじゃないか?でも、そんな簡単にできることなら、最初から悩んでない。
俺の頭の中はますます混乱するばかりだった。
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