第52話 Day30★ Virginity(無経験)
叔父さんは人を殺した事がある
男がまだ小さかった頃 法廷に行った事を覚えている
ある日 叔父さんの家に 強盗が入った
元々 町に暮らしていた黒人の青年
とあるギャングのイニシエーションとして強盗を行うという物
青年は自分の住んでいた町だと顔が割れると思い 郊外の家を物色
そして
夜中 尿意が近かったので起きたら ごそごそする音が
ベッド横のランプの置いてある棚の引き出しから銃を出す
音は1階からしている
拳銃を持って音に近づくと暗がりに人影が
叔父さん:「Hands In the AIR!!(手をあげろ!!!)」
と叫ぶ
ただ 撃つ事はこの時点では出来なかったらしい
そしたら人影から発砲
”だ――ん”
オレンジ色の小さい閃光に発射音
それが引き金となって叔父さんは拳銃のマガジンを空にする
強盗の発砲は運よく叔父さんに当たらなかった
そしてトイレに行ってから警察に電話
警察からは正当防衛と
後日 青年の母親が叔父さんを訴える事に
一方的に殴られるのは嫌がる叔父さんは母親をCounterSue 訴え返す事に
子供の頃なので詳細は覚えていないが 印象的だったのが2つだけある
相手側の弁護士が青年の母親に質問
そして泣きながら黒人の母親は答えた
母親 :「あんないい子がなんで殺されなければならないの」
いわゆる子供を失った母親の泣き落としである
本来なら叔父さんの弁護士のターンに質問されるはずで
発言が許可されていない叔父さんが叫んだ
叔父さん:「いい子が夜中に人の家の強盗に入る訳ねーだろ!!」
裁判長 :「静粛に静粛に!」
叔父さん:「最初に発砲したのあいつだろ!!」
裁判長 :「静粛に静粛に!!」
叔父さん:「殺されるところだったんだぞ!!」
裁判長 :「静粛に静粛に!!! 発言を控えるように」
発言を抑えようと静粛にとハンマーをガンガンする裁判長
ただ この時にこの裁判の結果は決まった と子供でも分かった
そしてもう1つ
相手側の弁護士が叔父さんに質問
弁護士 :「なぜ 全弾撃ち尽くしたのですか?」
叔父さん:「最初の1発は覚えている
2発目は念の為に撃ったのを覚えています
ただ それ以降は本当に記憶にないんです」
弁護士 :「記憶にないはずないじゃないですか?」
叔父さん:「殺されそうになったんだぞ 必死だったんだ」
叔父さん側の弁護士が警察を証人喚問人
警察の人が殺した時 記憶が飛ぶのは珍しくないと反論してたっけ
裁判は叔父さんの勝訴
そして数日後 叔父さんは言った
叔父さん:「俺は運が良かった
相手の発砲がそれて
もし襲われそうになったら 人を撃つのは難しいかもしれん
でも人に銃を向けるのはそれなりの理由があるからだ!
その時は
Day30★ 10時半 ちょいすぎ
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
Scar と 一緒に森から戻ってくると違和感
右側に荷車が そして男の家の額縁に入ったポスターなどが載せられている
男の認識はノーマルから
馬が2匹右側の柵に繋がれており ドアが開いており
左側の畑には2匹のコヨーテが死んでいる
男の認識はアラートから
その
そして1回り綺麗な青く鈍い光を放つ鎧を着た騎士が男に切りかかる
それは3つの幸運だった
1つ目は環境
晴れていた、そして昼下がり、更に太陽は騎士の方にあった
2つ目は男の視線
2匹のコヨーテが殺されていた それを見ていた為 視線が少し下の方に
この2つの幸運が重なり合い 馬から騎士が剣を振りかざしているのが影で分かった
男はとっさに前に でんぐり返しのように前転して
騎士の攻撃を避ける
ほんの数秒 いや コンマ数秒の 一瞬の遅れがあれば剣の長に殺されていた
普通の人間が避けることの出来ない達人の攻撃を避けたのだ!
3つ目
殺されそうになった為 前転し終わった後 反射的にショットガンを解き放った
”ダン”
一番 大変な人に向けての初めての発砲 それを反射的に終えたのだ!!
”ドサッ”
ショットガンを受け 1人目の騎士が馬から落ちる
即もう1発を隣の馬に乗っている騎士に打ち込む 戸惑いは全くなかった
”ダン”
”ドサッ”
2人目の騎士も馬から落ちる
”ひひひーーーん”
馬の鳴き声
そんな中 ショットガンでは鎧を貫いていないと考え
即イーグルを2発鎧の首筋に撃ち込む
”ドンドン”
血が出ているのを確認
そしてScarがもう1人の騎士に向かって
1人目が死亡した
なら2人目だ!
鎧は1人目と違って薄そう でも同じように首筋に2発撃ち込む
”ドンドン”
Scarが家の方に向かって
2人目も死んだのであろう
”ひひひーーーん”
騎士の乗っていた馬2匹が逃げていないので手綱を庭の柵に繋ぐ
そして男は首を振りながら家の方を見る
初めて人を殺した その難しい初体験はもうない
ただ それでも 初めての経験
そして現在はアラーム状況
いわゆる少し遅く世界が進んでいる
それはトンネルビジョン いわゆる視点が
叔父さんに子供の頃 拳銃の打ち方を習っていた時に教わったトレーニング
拳銃を1発 撃ったら首を右、首を左、そして次の銃弾を撃つ
大人になってもそのトレーニングを当たり前のようにしていた
そして その対応をしている
トンネルビジョンの対応は凄く単純だ
もし視点が狭まっていて斜め横が見えないのであれば
首を振って視点を動かしてやればよい
ガレージは締まっている
荷車と繋がれた馬の方には敵はいない
反対側はコヨーテの死体
首を振りながら周囲を確認
次の瞬間 拳銃の音と聞きつけた騎士1人が剣を抜いて家から出てくる
男 :「HANDS IN THE AIR!!(手をあげろ!!!)」
男は叫んだが騎士は走ってくる
”ドン”
男は足にイーグルを撃ち込む
そして騎士は倒れこむ
”ドンドン”
後頭部に2発
7発撃った そして すかさずリロード
Scarが家の中に向かって
もう1人居るって事か?
まず首を振る そしてから ガレージのドアを静かに少しだけ持ち上げる
Scarに手を結んで開いて結んで開いてを繰り返し 吠えるように
”ワン ワン ワン”
通じた
”ワン ワン ワン”
吠えている間にガレージへ そしてからゆっくり玄関へのドアへ
物陰が玄関へ動いているのが見える
ゆっくり そーと 近づいてから おもいっきり騎士の背中を蹴り倒す
騎士が玄関から外へ蹴り倒される
そして
”ドンドン”
2発後頭部へ
Scarが
念の為 一通り家を見てみるが4人で終わり
荷車に約2人乗れる場所があった
馬に乗ってた2人 荷車と繋いでいる馬2匹から降りた2人 数は合う
男 :「。。。。。。。。。。。。。。。。。。」
幾つか やる事がある
1つ目 死体から使える物を
特にブーツがあれば角ウサギに怯えなくて済む
そしてこ いつらの死体の処理
2つ目 馬について
4匹を飼うのか? 処分するのか? 馬小屋を建てるのか?
3つ目 騎士達が来た方の探索
こいつら4人だけなのか? まだ来るのか?
とりあえず家は安全か
手早く家の中を確認する
リュックから携帯とアタッチメントで熱源での確認もする
大丈夫だ 隠れていたりとかしていない
男 :「ふーー」
息をゆっくり吐き 本当にほんの少しだけ男は気を緩めた
次の瞬間 急に震えが来る!
。。。。。俺 たった今 人を殺した
男 :「。。。。。。。。。。。。。。。。。。」
キッチンの戸棚からウィスキーを取り出し 震える手でカップに注ぎ込む
手が震えている為 注ぎ口がグラスにぶつかり合う
”かちっかちかちかち” ”とくとくとくとく”
それをカップから がぶ飲みする
喉が焼けてくる
そしてカップに水を入れ ごくごく 2杯飲む
男 :「。。。。。。。。。。。。。。。。。。」
興奮はまだ
その震えを酔いで強引に抑え込む
そして水で顔を洗う
少しだけ頭がクリアになる
ガレージに行き ビニールの紐とシャベルを取る ソファー用のブランケットも
両手にそれらを持ち庭へ
そして騎士の死体を無視して畑へ
まるで生まれたての赤ん坊を抱きかかえる様に
丁寧に丁寧にコヨーテの死体をブランケットに
そして裏庭の少し先の草原までもって行き 丁寧に置く
もう1匹のコヨーテの死体も同じように
Scarは ”わん わんっ” 偶に鳴きながら男について行く
”ざしゅっ ざしゅっ” そして男は一心不乱に穴を掘る
***数分後***
男はコヨーテの死体を抱きかかえ 穴に入れる
男 :「In The Name of Jesus, Able,Noah, Samsong
(イエス アベル ノア サムソンの名において)」
男 :「I 。。。。。。(俺は。。。)」
言葉に詰まる
男 :「I 。。。。。。(俺は。。。)」
短い期間であった
それでもこのコヨーテの舌をだして笑っている顔
餌をねだる仕草
撫でた時の温かさ
それらは男を支えていた
そして それが無くなってしまった
男 :「I 。。。。。。(俺は。。。)」
それなのに最後に交わした言葉は怒鳴り声であった
本当に申し訳ない事をした。。。。。。。
男 :「I 。。。。。。(俺は。。。)」
生きている時 Donahueは山猫から男を助けた
死んでいる時 Donahueは視点を変えさせる事で男をまた助けた
男 :「I 。。。。。。Thank you(俺は。。。ありがとう)」
思わず口から出た感謝の言葉
そしてScarの鳴き声の中
死体に土を
そして森から枝を4つ拾い 2つ繋げビニール紐で簡易な十字架を2つ作り
2匹のコヨーテの墓が出来上がった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます