第24話 Day11  Skeletonization(白骨化)

Day11  昼1時半 ちょいすぎ 

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方角的には北東の方か

コヨーテを歩いて追いかけながら所々にマーキングをしていく

約10分ぐらいしてからか

川にぶつかる

ここはこの間の沢より上流か

そして川の下流を見てみる

直線ではなく軽くうねりがある様に川が流れている

ああ だからか

思ってたより川にぶつかるのが早かったのは

ただ 男としては今川を渡るのは想定外

それどころかコヨーテの足は濡れていなかった

周りを見てみる

対岸からコヨーテがワンワンと吠えている

いや 川 渡りたいんだけどな

水筒からコーヒーを飲む

そしてどうした事かと思ったら

もう1匹のコヨーテが上流から駆け寄ってくる

軽く頭を撫でて わしゃわしゃ

そして上流に行ってみると

更に細くなった沢

そして両岸からでっぱりのある大きな石

ここで渡ったのか

2フィート60センチぐらいの幅

大股で歩いて渡れる

いや 板を付ければそりも引いていけるな

とりあえず今日はそのまま渡る予定

だた その前に川の岸に石を集めマーキング

そのあと出っ張りから川の対岸へ



男   :「。。。。。。。。。。。。。。。。。」


ただ具体的になんだとは言いずらい

いや 木が白くなってるぐらいか?

そしてコヨーテの跡を再びついていく

暫くすると キラキラ 鈍く光るものが見える

近づいてみる


それは鎧を着た白骨死体であった

既に動物や蛆などが食べれる部分を食い散らかした後

数年は経っているであろう

嫌な臭いは全くしない

いや 服が朽ちた独特の匂いはする


思わず鎧を触ろうとしたのだが

途轍もなく嫌な予感がし 背中に冷汗をかく


男   :「。。。。。。。。。。。。。。。。。」


なんだこれは!?

この白骨死体に何かあるのか!?

最初は変な病気か何かだと思い その辺の枝で白骨死体をつついてみる

そしてその嫌な予感の正体が判る


これは何物かの所有物だ!!


鎧の背中の部分が ベコッ とへこんでいる

相当の衝撃が与えられたのであろう

大きなイノシシか? クマか?。。。。まさかドラゴンとか?

ただこの白骨死体はグローブをしていない


男   :「Hey Where did you get it from?(なー これ何処どこから持って来た?)」


コヨーテに問いかけると くるくる回ってから少し後ろの木に

そこには折れた弓と矢が落ちており 別の白骨死体が


男   :「。。。。。。。。。。。。。。。。。」


参ったな。。。グローブに俺の匂いがついてしまっている

いや 待てよ


ビバリーヒルズコップという映画でコカインの密輸

空港の警察犬の臭覚を誤魔化すためコーヒーを一緒に乗せていた

グローブに水筒の残りのコーヒーの半分をかけ グローブを白骨死体の近くに落とす

そして調べてみると

兜をした後頭部の部分がグシャっと潰れている


男   :「。。。。。。。。。。。。。。。。。」


一体こいつらは誰なんだ?

なんでここにいるんだ?

そしてなんで死んでいるんだ?

何と戦ったんだ?


ただ 白骨化してから時間が経っている

足跡とかは全く残っていない


その後、周りを調べてみると 

合計5体の白骨化された死体が見つかった

弓兵3体 剣を持った騎士2体か。。。


調べている間 コヨーテがまたグローブを噛んで持って帰ろーとするが


男   :「ス――――」

と声を出し コヨーテの首を指2本で少し強めに押していく

犬のしつけの時と同じ要領

そして


男   :「NO スーー  I said NO (ダメだって言っている)」


くるくる走り回りながら それでも理解したっぽい

少ししょんぼりしているコヨーテ


周りを見てみる

木々の間から高い崖が見える


男   :「。。。。。。。。。。。。。。。。。」


とするとこいつらは下流から来たのか

このまま川までもどり下って行ってもいいのだが

ただ渡れる場所が無ければ困る

水の中にこのまま入りたくは無い


”う”ーーーーーうーーーーーう”ーーーーー”


崖の方から唸り声が聞こえる

一瞬 人の声かと思ったが

いや 牛? カリブ? または。。。。。熊か


その声を聞いてコヨーテ2匹が警戒態勢に入る


深入りはやめよう


男   :「Hey! we need to go back(帰るべきだ)」



そう言って すたすた と男は川の方へ歩きはじめる

コヨーテ2匹は唸り声を警戒していたが

パックリーダーである男が川へ そのまま歩いているので後についていく事に

川に着き 大きなでっぱりの部分に残りのコーヒーをバシャバシャかける

川の流れとコーヒーの匂いで コヨーテと自分の匂いがある程度消されている

。。。と思いたい

そして川の出っ張りから対岸へ渡り

そのまま マーキングを目印に家へ戻る


一体なんの動物だったのであろうか?

少なくとも兵隊のパーティーを倒すぐらいだ

相当な獲物なのであろう


男は叔父さんと共にハンティングに ちょくちょく 行っていた

とはいえ ビッグゲームに参加した事はない

釣りのライセンスが約35$

鹿のハンティングライセンスが約60$

熊のハンティングライセンスが約200$

グリズリーだと それが20000$に跳ね上がる!

エベレストの登山と同じ 車が買える値段のお金が必要となる

危険 危険じゃない以前に お金の無い人間には無縁の状態

新車が買えてしまう値段

選択肢にすら有り得ない

唯一の例外が制限された環境か。。。

男が子供の時にディスカバリーチャンネルか似たような番組で

エスキモー 最近ではイヌイットと呼ばれる

氷で家を作る人達がグリズリーやクジラを散弾銃で撃って仕留めていた

彼らはビッグゲームのライセンス料なんて払わない


因みにエスキモーは 生肉を食べる人 という意味であり 

大の日本贔屓びいきの叔父さんはイヌイットという呼び方に激怒をしていた


叔父さん:「生肉を食べる それの何が悪い!? 

      素晴らしい文化じゃないか!

      何故それが差別用語になる? なんで勝手に判断している?

      刺身を食べる日本人に喧嘩 売ってるのか!!?

      自分だけの狭い基準で勝手に野蛮だと判断している

      本当にふざけてやがる

      大体 本人達も 俺たちはエスキモー 生肉が好きだ

      と言っているんだ

      なんで偽善ぶった第三者が勝手に呼び名を変える?

      勝手に人の文化 歴史を壊してんじゃねーよ!

      これだから カナダ人は信用できねーんだよ!

      なにが フレンチカナダだ! ケベック州だ!

      これだから フランス語を話す奴等は信用できねーんだ

      第2次世界大戦 真っ先に降伏したのはフランスだしな」 


エスキモーがハンティングしたクジラ

皮と肉 そして目玉まで食べつくし

脳油はそのまま油として火をともすのに使う

一匹とれれば 家族3~4カ月養う事が出来

また 一年の決まった時期にしか狩りが出きない

更に鯨を銃で仕留めた後引き上げる必要がある為 岸に鯨が近づくのを

極限の寒さの中 数日間に渡り辛抱強く待つ必要がある


グリーンピースとか 一般の人間が鯨を食べるな! なんて言うこと自体

ナンセンスだ

余りにも厳しい環境下 生きていく為に必要な行為なのだから

そこで生まれ そこで育ち そこで暮らしていく

今までそうしてきた生活 何で勝手に第三者が判断して壊していくんだ!


男にはハンティングの経験はあったがビッグゲームの経験はない

ハンティング それは基本的に安全な獣に対してである

ただ 山猫と対峙したときは本当に焦った記憶はあるのだが

そんな事を考えながら家に着く


日が傾いてきている

さて 夕飯の用意でもするか

シロ蛇とコヨーテ3匹に餌を与えてから夕飯の用意を始める



***20分前***

自分の縄張りに人間とコヨーテ2匹が入ってきている

ただ今はお腹が空いていない

その為 軽く不快感を表す唸り声をあげる

この時、白骨死体を所有する獣はコヨーテと男の存在に気づいていた

だた、軽く発した唸り声で即逃げた事に満足していた為

そのまま ハンターとコヨーテを見過ごしたのだった

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