第22話 Day10 Pressure Canner(圧力瓶詰め釜)

Day10 昼3時半 ちょいすぎ 

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人類の英知とは凄まじいものがある

その中に食べ物の保存方がある


例えば米や小麦

味は落ちるが数年間保存できる


例えば酒

ウィスキー、梅酒、ワイン 数十年間保存で美味しくなる


例えば冷凍

腐敗を温度を下げる事で途轍もなく腐敗を遅くする事が出来る


例えば酢漬け

キャベツの酢漬けザワークラウト、キュウリ、ニンジン、パプリカ等のピクルス

また その応用の紅茶キノコのコンブチャ

リンゴジュースとリンゴ酢の中間のアップルサイダー


例えば缶詰

蝋で蓋をして保存する方法から戦争に持ち出せるように缶に昇華

ただ缶だと持ち運びが不便でまた缶の切り口で傷を負いやすい為

レトルトへ昇華


そんな中 ハンターは基本的に5つの方法を使っていた

1つ目は冷凍庫

2つ目は燻製

3つ目は塩漬け

4つ目は瓶詰

5つ目は真空パック バキュームシーラー使用


ザワークラウトとコンブチャ紅茶キノコを 一時 樽で作っていた事もあったが

酢漬けは運が悪いとカビが生えてくる

場所、湿度、光が当たる場所かどうか? 等 何回も試したが

カビとの闘いで疲れたので酢漬けは諦めていた


冷凍庫にはコヨーテの肉が

燻製も既にコヨーテの肉と角ウサギで作っている

そして簡単に作れるのが塩漬け

肉を塩でコーティングしてやれば保存が効く

ただ問題がある

普通に塩でコーティングをすると大抵 失敗する

それは腐敗を塩で抑えるのだが コーティングが足りないとそこから腐敗が始まる

その為 容器に塩を入れ コーティングした後 塩の海に突っ込んでやるのが

ハズレが無いやり方なのだが

その為には大量の塩が必要になる


調味料の基本の1つで安く大量に買う事が出来る。。。元の世界では

塩を買いに行く事の出来ないハンターにとって

今ある貴重な塩を使う訳にはいかない


バキュームシーラー用の袋には限りがある

本当に重要な時以外は使いたくない

その為 やろうとしているのは瓶詰

一般的にレトルトや缶詰などで保存する方法があるが

個人でやる場合は瓶詰めの方が楽である

必要なのはビンとプレッシャーキャナー

ビンはスーパーで簡単に購入出来る

用途は色々

園芸用に土と種を入れたり

タピオカミルクティーやタイアイスドティーの容器に使ったり

ピクルスなどの瓶詰に使ったり

そして今回 ハンターがやる肉の貯蔵ように使ったり 等々

だからアメリカの一般的な家庭ではからの瓶が意外と多くあったりする

そして庭で小さな畑を作るぐらい園芸に興味があり

実際に瓶詰をするぐらいの男の家には100近く 瓶があったりする


男はまず まな板をガレージに持ってくる

そして電気コンロとプレッシャーキャナーも持ってくる

まずは 角ウサギの肉の少ない油部分を出来るだけ残すようにし 肉を切り分ける

シカやウサギなどのリーンミートは脂肪分が少ない

だから普段なら減らすように切り分けるが今回はあえて逆に残すようにする

シロ蛇 コヨーテ3匹に少し分け与えてから

角ウサギの肉をビンに入れていく

パントリーからフリーズドライされた刻み玉ねぎとニンニクを取ってくる

肉、刻み玉ねぎ、肉、ニンニク、肉 刻み玉ねぎ

これで1瓶を 一杯にする

それを5個 用意出来たら蓋をしてプレッシャーキャナーに入れる


プレッシャーキャナー

いわゆる圧力鍋 ただ 料理用ではなく缶詰 瓶詰作成用

値段は圧力鍋とほぼ同じ

要は瓶詰の瓶が入るかどうか?

入らなければ圧力鍋 入ればプレッシャーキャナー

圧力鍋とプレッシャーキャナーとして両方使えるのも売ってはいるが

ハンターの場合はそれぞれ別で持っていた

瓶詰したものは大抵 賞味期限が1~2年

これは美味しく食べられる期間であってさらに数年は貯蔵できる

この方法はアメリカで伝統料理や手料理を作る家庭で育っていれば

当たり前の知識だ 

その知識は文明の発展、交通手段、輸送の発展

その便利さが知識を侵食するようになったが

例えば雑菌を完全に削除するテクノロジーで本来 数日しか持たないサルサが

2週間以上保存が効くようになり 輸送期間があっても問題なく

全米で食べられるようになったり

季節ごとの食べ物が輸入やハウス栽培によって 一年中食べられるようになったり

そのような便利さが日常生活に溶け込んでいく

便利さは人々の生活を向上させる。。。知識と伝統と引き換えに


因みに明らかに無謀な事をするのもまた人間である

余りの馬鹿らしさに即 廃れたが

今は潰れているチェーン店 シアーズが 一時的に売りにしていた商品

それはオーブンと冷凍庫が合体したモノ

冷凍機能を有したオーブン

七面鳥やラザニアをオーブンで焼く

そして焼きあがったら そのままオーブンが焼きあがったものを冷凍する

何が悲しくて折角の焼きたてを冷凍するんだ?


男   :「。。。。。。。。。。。。。。。。。」


まー潰れて当然の店だ


そんな事を考えながら男は

5瓶準備が出来たのでプレッシャーキャナーに入れ電気ストーブの上に

電気ストーブををON

時間は大体90分かかる

その間に次のバッチ 5瓶を用意し 夕飯も作り始める


***90分後***

ぐつぐつ肉汁で茹でられたような肉が入っている瓶5つ出来上がる

キャニングジャーリフター この為ようの瓶を捕まえる大き目のトング

それで中の出来上がった5瓶を外にゆっくりと出し

新しい瓶を5個いれ プレッシャーキャナーに入れ 電気ストーブをON

出来上がった瓶は熱いのでテーブルの上で冷ます


この作業をひたすら繰り返す

日が暮れ始め、バーベキューグリルを取り出しウサギ肉を焼き始める

そしてソーラーパネルをガレージにしまう

肉が焦げる匂いがする

肉は焦がしてなんぼである


男   :「Thank you for this meal

      In the name of Jesus Able Samson」


月明りの下、角ウサギのグリルを楽しみながら

当然ながら返答が無いのはわかっているが

一方的なシロ蛇とコヨーテと会話をし

25個の瓶詰が出来上がる

その後 片づけ シャワーを浴びベッドへダイブ

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